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モリガンの適正(第3話)

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 というわけで、モリガンの方はリリィにお願いすることにしたー。

「まあ、モリガンの方はリリィさんにお任せしておけば大丈夫だろ」

「うーん、もう爆発はないの?」

 ・・・なぜか、残念そうに早苗が尋ねてきた・・・。

「・・・いや、爆発させないようにやるのが本当だからな、清野」

 なんか、根本的にずれているような気もするが、この際はおいておくことにする。

「ミケさんの方も、まあ、魔道具は借りたから、これから次第ってところか・・・あまり過度には期待できないけどな・・・」

 過度に・・・というか、ほとんど期待はしていないが、あまり本音を喋りすぎても後々面倒なことになりそうなので、敢えて自重する。

「というわけで、今回のところは引き上げ・・・って、ミケさんよ、ベンジャミンと一緒に何やってるんだ?」

 見ると、野外に将棋盤を持ち出して、ベンジャミンとミケさんが対局しているではないか!

「・・・いつの間にそんなものを持ち出した・・・ていうか、何か仲良くなってないか?」

「ふふふ・・・」

 また不敵に笑うミケさんである。もちろん、その笑いに大した意味などーない。

「いろいろとはニャしを聞いてみたら、ベンジャミンはとてもいい奴だということが分かったニャ」

「まあ、そんなわけで、一緒に将棋をやろうって、話になったんだ」

 ・・・なんか、いつの間にか打ち解けているミケさんとベンジャミンである。

「まあ、本人達がそれでいいならこっちは構わないけどな。しかし、酒飲みニャンコのミケさんが将棋をたしなむとは聞いてなかったぞ」

 意外な趣味に、素直に驚く晶であった。晶の中では、ミケさんについては、酒とつまみしかイメージがない。そのくせ酒にもあまり強くはないという何ともダメダメなニャンコの姿しか思い浮かばなかった。

「それにしても意外だったな、ミケさんが将棋とは・・・どれどれ」

 多少、将棋をかじっている晶は、試しに将棋盤の上を覗いてみた。

 ・・・そして、すぐに半眼になる。

「・・・おい、ミケさん」

「・・・ニャ?」

「お前、将棋弱いな・・・」

「ニャンと!?」

 ミケさんが驚いた次の瞬間!

「王手!」

 なんと、ベンジャミンが王手をかけてしまった・・・。

「待ったなしだぞ、ミケさん」

「ニャー!」

 ・・・この腕前では、とてもではないが、ミケさん相手に一局打ったところですぐに終わってしまうだろう。そもそも、穴の中で長いこと一人暮らしをしていたベンジャミンにすら軽くあしらわれる始末である。素人同然もいいところだ。

「・・・お前、本当に何やらせてもダメダメだな・・・」

「ウニャーン」

 ・・・この分では、魔道具の方も将来的に使いこなせるようになるとは思えない。

 つくづく、使えないニャンコである。

「何か一つくらい特技を持とうぜ、ミケさん」

「ニャ~」

 なんとも情けない返事を返すミケさんであったー。
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