108 / 464
土竜の街を目指せ(第3話)
しおりを挟む
ベンジャミンの集落まで、後3時間ー。
まあ、確かにただ巨大土竜の後をついていくだけの強行軍では、つまらないのも無理はないー。
さっそく、モリガンが音を上げ始めた。
「だあぁぁ~、何もない暗い一本道をただ歩き続けるなんぞつまらなさ過ぎて死にそうじゃ!」
この魔女殿、考えてみれば早苗の一個下の13歳。事あるごとに「秋の領域最大の魔女」を自称するが、精神的にはまだまだお子様であった。
「おいおい、しっかりしろよ、魔女殿。まだ1時間も歩いてないぞ・・・」
呆れ顔で窘める晶であった。
・・・それにしても、まだあと2時間以上もあるのにこのざまでは、果たしてベンジャミンの集落まで無事にたどり着くことができるのだろうか・・・?
段々不安になる晶であったが、ここまで来て引き返すというのもバカらしい。ここは、魔女殿に無理を言ってでも引っ張っていくしかないだろう。
「モリガン、あまりごねると、鏡香さんの「お尻ぺんぺん」が炸裂するぞ」
「な・・・!」
一気に顔が青ざめるモリガン。どうやら、前に鏡香にやられたことがかなりのトラウマになっているらしい。
「ひ、卑怯じゃぞ、晶!チクるのか!!」
「必要とあればな」
まあ、たかがこの程度のことをチクるつもり等毛頭ないのだが、モリガンにはこれが一番通用するようだ。
それにしても、鏡香さんは、普段は「お淑やかなお姉さん」そのものなのだが、怒らせるとマジで恐ろしいからな~。美人は怒らせると怖いとは言うが、彼女の場合それ以上の迫力があるー。
モリガンが、鏡香の背後に「般若の面」を見たと言っていたが、あながちあれも誇張表現とは言い切れないところもあるのだ。
結論から言えば、絶対あの人を怒らせてはいけないーの一言である・・・。
「というわけで、もう少しおとなしくしているんだ、モリガン」
「あうう・・・」
言葉もなく、うなだれるモリガンであった。
「鏡香さん、怒らせると怖いよね~、うんうん」
早苗が横から相槌を打つが・・・。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
晶、ミケさん、モリガン3人とも微妙な表情をしつつ、無言のまま彼女を見つめ返す。
「え、何々、みんなどうしたの?」
「いや・・・」
「なんというか・・・」
「無自覚というニョは本当に怖いもニョですニャー」
ただ一人、早苗だけがクエスチョンを頭に浮かべている。どうやら、前の毒舌ニャンドラゴラのことはもはや全く頭にないらしい。あれにより、彼女の「本性」があらわになったわけではあるが、本人にそもそも自覚がないので・・・。
「モリガン、ミケさん、絶対にこいつと鏡香さんだけは怒らせるなよ。咲那姉と違ってマジやばいからな」
「うむ・・・」
「それが一番ですニャー」
3人がこそこそと話し始めたので、一人蚊帳の外に置かれた形の早苗が不機嫌になる。
「もう、3人ともどうしたの!?」
腰に両手を当てて3人に強い口調で迫る早苗ーやばいな、これは。
「いや、打合せしてたんだよ、わりぃ。仲間外れにしたわけじゃないからな、清野」
とりあえず、早急にこの場を収めるべく、晶が適当にごまかす。
早苗は、まだ納得がいかなそうな表情をしていたが、あまり長引かせると本当にやばそうなので、何とか話題を変えることにした。
「ところでベンジャミン、集落にも蟲は現れることはあるのか?」
害蟲駆除チームの一員らしく、敢えて蟲についての話題に切り替えることにしたー。
「蟲って、この前のいがぐりみたいなやつか?」
「まあ、一言に蟲といっても、形が決まっているわけじゃない。いろんな形状のがいるよ」
「・・・おいら、よくわからんけど・・・」
少し考え事をしてから、ベンジャミンが答えた。
「たまに、得体の知れないやつが集落に出ることはあるぞ」
とー。
まあ、確かにただ巨大土竜の後をついていくだけの強行軍では、つまらないのも無理はないー。
さっそく、モリガンが音を上げ始めた。
「だあぁぁ~、何もない暗い一本道をただ歩き続けるなんぞつまらなさ過ぎて死にそうじゃ!」
この魔女殿、考えてみれば早苗の一個下の13歳。事あるごとに「秋の領域最大の魔女」を自称するが、精神的にはまだまだお子様であった。
「おいおい、しっかりしろよ、魔女殿。まだ1時間も歩いてないぞ・・・」
呆れ顔で窘める晶であった。
・・・それにしても、まだあと2時間以上もあるのにこのざまでは、果たしてベンジャミンの集落まで無事にたどり着くことができるのだろうか・・・?
段々不安になる晶であったが、ここまで来て引き返すというのもバカらしい。ここは、魔女殿に無理を言ってでも引っ張っていくしかないだろう。
「モリガン、あまりごねると、鏡香さんの「お尻ぺんぺん」が炸裂するぞ」
「な・・・!」
一気に顔が青ざめるモリガン。どうやら、前に鏡香にやられたことがかなりのトラウマになっているらしい。
「ひ、卑怯じゃぞ、晶!チクるのか!!」
「必要とあればな」
まあ、たかがこの程度のことをチクるつもり等毛頭ないのだが、モリガンにはこれが一番通用するようだ。
それにしても、鏡香さんは、普段は「お淑やかなお姉さん」そのものなのだが、怒らせるとマジで恐ろしいからな~。美人は怒らせると怖いとは言うが、彼女の場合それ以上の迫力があるー。
モリガンが、鏡香の背後に「般若の面」を見たと言っていたが、あながちあれも誇張表現とは言い切れないところもあるのだ。
結論から言えば、絶対あの人を怒らせてはいけないーの一言である・・・。
「というわけで、もう少しおとなしくしているんだ、モリガン」
「あうう・・・」
言葉もなく、うなだれるモリガンであった。
「鏡香さん、怒らせると怖いよね~、うんうん」
早苗が横から相槌を打つが・・・。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
晶、ミケさん、モリガン3人とも微妙な表情をしつつ、無言のまま彼女を見つめ返す。
「え、何々、みんなどうしたの?」
「いや・・・」
「なんというか・・・」
「無自覚というニョは本当に怖いもニョですニャー」
ただ一人、早苗だけがクエスチョンを頭に浮かべている。どうやら、前の毒舌ニャンドラゴラのことはもはや全く頭にないらしい。あれにより、彼女の「本性」があらわになったわけではあるが、本人にそもそも自覚がないので・・・。
「モリガン、ミケさん、絶対にこいつと鏡香さんだけは怒らせるなよ。咲那姉と違ってマジやばいからな」
「うむ・・・」
「それが一番ですニャー」
3人がこそこそと話し始めたので、一人蚊帳の外に置かれた形の早苗が不機嫌になる。
「もう、3人ともどうしたの!?」
腰に両手を当てて3人に強い口調で迫る早苗ーやばいな、これは。
「いや、打合せしてたんだよ、わりぃ。仲間外れにしたわけじゃないからな、清野」
とりあえず、早急にこの場を収めるべく、晶が適当にごまかす。
早苗は、まだ納得がいかなそうな表情をしていたが、あまり長引かせると本当にやばそうなので、何とか話題を変えることにした。
「ところでベンジャミン、集落にも蟲は現れることはあるのか?」
害蟲駆除チームの一員らしく、敢えて蟲についての話題に切り替えることにしたー。
「蟲って、この前のいがぐりみたいなやつか?」
「まあ、一言に蟲といっても、形が決まっているわけじゃない。いろんな形状のがいるよ」
「・・・おいら、よくわからんけど・・・」
少し考え事をしてから、ベンジャミンが答えた。
「たまに、得体の知れないやつが集落に出ることはあるぞ」
とー。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる