テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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カルミナとブラーナ(第14話)

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 飛行船「白波号」は、惑星Σ-11の付近を周回する衛星へと降り立った。衛星とは言っても、ちょっとした町くらいならすっぽり入ってしまうほどの規模を誇る浮遊島だ。飛行船「白波号」は難なく着陸し、カルミナ達が外の様子を確認するために出てきた。

 この衛星自体は、別段何もない場所だ。言うなれば、地面の一部を切り取って、空に浮かべたような感じで、少し先に湖があり、その周囲を林が囲っている。ここまでは、前文明時代の地上(現文明では、地上は砂漠だけになっている)の様子とさほど変わらないが、やはりここも天空世界なのだということを実感させる光景がある。それは・・・。

 近くに見える惑星Σ-11の存在だ。

 衛星から見る惑星Σ-11は圧巻の一言だった。惑星と衛星にはそれなりの距離があるはずなのに、巨大な球状の物体が、まるで目前まで迫ってくるかのような迫力があった。この惑星の色彩は、水色に近い薄い青といった感じで、それは宇宙の中の地球を髣髴とさせるものだった。そして、惑星の周囲に雲がまとわりつき、その裂け目の部分から浮遊大陸が確認できる。

 前文明時代には、決して見ることのできない光景であった。

「うーん、やっぱり外はいいわねぇ。体を思いっきり伸ばせるし」

 カルミナは、外に出るなり思いっきり背伸びをする。ここ最近はずっと飛行船内での作業が多かったため、ろくに外に出る機会もなかった。

「それに、ひと暴れできるし?」

 その隣で、ブラーナがからかうように言う。

「もう、ここんところずーっと船の中だったんだし、羽を伸ばしてもいいじゃないのよ」

 カルミナが、多少むくれて返事をする。そんなカルミナの頭をポンポンと軽くたたきながら、

「それもそうね・・・かくいう私も、久々に外の空気を吸うことができて気分爽快だし」

「ブラーナも同じじゃん」

 ブラーナの手を軽く払いのけてから、カルミナは後に続いて降りてきた残りの3人に向かって、

「さあ、今日の初仕事よ。ここで、害蟲を迎え撃つわ・・・各自、準備はいいかしら?」

「私はいつでも戦闘可能です」

「こっちもOKだぜ」

「久々の獲物だ、思う存分に狩ってやろう」

 3人とも、準備、気合とも十分のようだった。

「それじゃあ、害蟲を呼び寄せなきゃね・・・黒羽、お願いできる?」

「お任せを」

 黒羽は、カルミナの方に右手を差し出すように向けた。その掌には、例の黒い羽根が載せられていた。

「距離・・・ここから南東5104・・・どうやら、魔力乱流自体は収まりつつあるようですが、そこから発生した害蟲がこの惑星めがけて移動しているようです」

 人間が活動する場所に、魔力変動は常に存在するものだ。当然、害蟲達はその魔力につられて移動する。このままだと、ゼルキンス村のある惑星Σ-11に大移動するのは目に見えていた。

 したがって、「蟲除け」ならぬ「蟲寄せ」の術で、害蟲達の移動ルートを変更する。その術の使い手もまた黒羽だった。

「では、皆さん。これから害蟲達を呼びますので、戦闘準備をよろしくお願いします」

「おうともよ!」

「久々に、腕が鳴るわね」

 黒羽の掌の黒い羽根が、強い魔力を帯びる。そして・・・。

 普通の人間には視認できない魔力の渦巻きが、その羽根から発せられたー。

 
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