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水無杏里の物語(第7話)
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「やあ、君がカイト君だね・・・私は杏里の父・水無壮太と言います」
人のよさそうな笑みを浮かべて、杏里の父である水無壮太は自己紹介と共に握手を求めてきた。
「は、初めまして・・・僕はカイトと言います」
杏里の父親の登場に、緊張の色を隠せないまま、カイトは握手を返す。
「ははは、そんなにかしこまらなくてもいいよ」
人見知りがちな杏里と違い、どうやら父親の方は気さくで人付き合いに慣れていそうな人物だった。そんな彼の姿を見て、カイトも少しだけ緊張を解いた。
「杏里から、君のことは生体端末で窺っているよ・・・飛空鎧乗りのハンターなんだって?」
水無壮太は、カイトの背後にある半壊状態の飛空鎧に目を移した。
半壊状態・・・ということからもわかる通り、損傷が激しく、このままではとてもではないが、空へ戻ることはできない。これでは、修理するにしても、町にある工場に頼むしかなさそうである。
「かなり損傷しているな・・・よほど激しい戦いだったと見える」
実は、壮太自身も飛空鎧には興味がある。幼いころから、飛空鎧をそのまま縮小したプラモデルなどで遊んでいた彼だ。この年になっても、飛空鎧好きは変わらない。
「この飛空鎧は・・・青い狩人かな」
顎を撫でつつ、半壊状態のカイトの飛空鎧を見回して、カイトに飛空鎧の名前を確認する。
「よくご存じですね。そうです。うちのチームの古参機体で、先輩からのおさがりですよ」
共通の話題ができる相手の登場に、カイトのテンションも次第に高くなっていく。
「その他にも、僕のチーム蒼き風には、主に青を主体とした機体が揃っていますよ。先輩たち専用の機体もありますね」
「なるほど・・・だからこそ「蒼き風」なのか」
盛り上がる二人に、ぽつんと取り残される形の杏里・・・だが、童心に戻ったかのような父と、自分のチームでの活躍や、先輩たちの話をまくしたてるカイトの姿に、思わずくすくすと笑ってしまう。さすがに、話の内容にはついていけないが、これだけ夢中になって話しまくる彼らを見ているだけで、なんだかとても満たされたような気分になった。
「ああ、ごめんよ杏里。すっかり話に夢中になってしまった」
いやあ、すまんすまんと娘に謝罪する壮太。カイトも、バツが悪そうに頭を掻いていた。
「いえ、私はいいのよ。カイトも元気そうだし、お父さんも、久しぶりに楽しそうにお話してたから・・・」
「やれやれ、お前にはかなわんな・・・」
ははは・・・と笑いながら、壮太は今度は杏里と話し始めた・・・カイトに聞こえないように、少し声を潜めて。
「なかなかの好青年じゃないか・・・お前が気に入るのも無理はないかな」
「えっ!?」
思わぬ父の言葉に、逡巡するとともに顔を紅潮させる杏里。壮太は、そんな娘の姿を微笑ましい笑顔で見守りながら、
「すまん、カイト君。君も疲れているだろう。町までご案内しよう。飛空鎧については、腕のいい技術者がいる場所を知っているから、彼に頼むとしよう」
「あ、ありがとうございます」
これで、飛空鎧の方も何とかなりそうだ。一刻も早く、先輩たちに無事な姿を見せなければー。
人のよさそうな笑みを浮かべて、杏里の父である水無壮太は自己紹介と共に握手を求めてきた。
「は、初めまして・・・僕はカイトと言います」
杏里の父親の登場に、緊張の色を隠せないまま、カイトは握手を返す。
「ははは、そんなにかしこまらなくてもいいよ」
人見知りがちな杏里と違い、どうやら父親の方は気さくで人付き合いに慣れていそうな人物だった。そんな彼の姿を見て、カイトも少しだけ緊張を解いた。
「杏里から、君のことは生体端末で窺っているよ・・・飛空鎧乗りのハンターなんだって?」
水無壮太は、カイトの背後にある半壊状態の飛空鎧に目を移した。
半壊状態・・・ということからもわかる通り、損傷が激しく、このままではとてもではないが、空へ戻ることはできない。これでは、修理するにしても、町にある工場に頼むしかなさそうである。
「かなり損傷しているな・・・よほど激しい戦いだったと見える」
実は、壮太自身も飛空鎧には興味がある。幼いころから、飛空鎧をそのまま縮小したプラモデルなどで遊んでいた彼だ。この年になっても、飛空鎧好きは変わらない。
「この飛空鎧は・・・青い狩人かな」
顎を撫でつつ、半壊状態のカイトの飛空鎧を見回して、カイトに飛空鎧の名前を確認する。
「よくご存じですね。そうです。うちのチームの古参機体で、先輩からのおさがりですよ」
共通の話題ができる相手の登場に、カイトのテンションも次第に高くなっていく。
「その他にも、僕のチーム蒼き風には、主に青を主体とした機体が揃っていますよ。先輩たち専用の機体もありますね」
「なるほど・・・だからこそ「蒼き風」なのか」
盛り上がる二人に、ぽつんと取り残される形の杏里・・・だが、童心に戻ったかのような父と、自分のチームでの活躍や、先輩たちの話をまくしたてるカイトの姿に、思わずくすくすと笑ってしまう。さすがに、話の内容にはついていけないが、これだけ夢中になって話しまくる彼らを見ているだけで、なんだかとても満たされたような気分になった。
「ああ、ごめんよ杏里。すっかり話に夢中になってしまった」
いやあ、すまんすまんと娘に謝罪する壮太。カイトも、バツが悪そうに頭を掻いていた。
「いえ、私はいいのよ。カイトも元気そうだし、お父さんも、久しぶりに楽しそうにお話してたから・・・」
「やれやれ、お前にはかなわんな・・・」
ははは・・・と笑いながら、壮太は今度は杏里と話し始めた・・・カイトに聞こえないように、少し声を潜めて。
「なかなかの好青年じゃないか・・・お前が気に入るのも無理はないかな」
「えっ!?」
思わぬ父の言葉に、逡巡するとともに顔を紅潮させる杏里。壮太は、そんな娘の姿を微笑ましい笑顔で見守りながら、
「すまん、カイト君。君も疲れているだろう。町までご案内しよう。飛空鎧については、腕のいい技術者がいる場所を知っているから、彼に頼むとしよう」
「あ、ありがとうございます」
これで、飛空鎧の方も何とかなりそうだ。一刻も早く、先輩たちに無事な姿を見せなければー。
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