テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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アサギと黒羽(第14話)

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「勝負!」
 
 アサギと黒羽は、二人同時に叫んだー。

 アサギは自らの闘気を具現化した矢を、黒羽は黒い羽根から生み出された漆黒の矢を、それぞれ放つ。

 闘気の光と、魔力の闇が、お互いにぶつかり合い、せめぎ合う。

「・・・!」

 二人の顔からは既に笑みは消えていた。ここからは、一瞬の油断も、そして退くことも許されない必殺の領域だ。純粋な力のぶつかり合いであるがゆえに、もたらされる結果もまた、とてもシンプルなものであった。

 勝者と敗者ー。

 この一撃で、どちらに軍配が上がるのかが決まるー。

 アサギも黒羽もそう確信していた・・・だが!

「・・・これは!」

 先に、アサギが驚愕の声を上げる。対する黒羽も、何かに気が付いたようだった。

「お互いの力が・・・ほぼ互角というわけですか」

 お互いのスピードや動き、膂力については、ほぼ互角であることは、最初の斬り合いの段階で確認していた。だが、まさか技の方まで全くの互角だったとは・・・。

 いや、アサギも黒羽も、自身の技の技量にそんなに差はないだろうとは予測していたが、だとまでは思わなかった。アサギの放つ闘気や黒羽の魔力の波動ーお互いに使いこなす技の性質が異なるため、相手と自分の力量差を読み違えていた可能性がある。

 こうなると、あとは属性同士の戦いとなるが・・・アサギの闘気は光、黒羽の魔力は闇を帯びており、お互い正反対の力を有しているので、その上ほぼ互角のパワーのぶつかり合いともなれば、その結果は・・・。

 消滅ー。

 アサギも黒羽も、そのことに気が付いた時点で、後方へと飛び退った。その直後、周囲の大地を、空を、揺るがす大爆発が起こったのだー。

ーー

「・・・!」

「い、今の爆発は・・・何?」

 アサギと黒羽が戦っている間、カルミナとブラーナが一旦飛空船「白波号」に戻り、画材を用意して村に戻ってきたところで、突如地響きと爆風の余波に見舞われた。

「なんだか、ものすごい爆発が・・・あっちの丘の方よ、ブラーナ!!」

 カルミナが、傍らに立つブラーナの方を見やる・・・が、既にブラーナは、カルミナに指摘されるまでもなく、問題の丘の方をにらみつけていた。

「あの子・・・もしかして!?」

 剣呑な表情で丘の方を睨みつけながら、一人呟くブラーナ。どうやら、ブラーナには何か思い当たる節があるようだった。

「・・・?ブラーナ・・・何か知ってるの?あの子って・・・」

「カルミナ・・・今すぐ翔と卓と合流しましょう」

 厳しい表情で、ブラーナが駆け出す。

「え、え・・・?」

 何が何だかわからないカルミナ。

「翔と卓なら、村の外だよ、ブラーナ。あと、呼ぶなら黒羽も・・・」

 そこまで言いかけたカルミナに対し、ブラーナが告げる。

「その黒羽が原因よ、この事態は」

 それを聞いたカルミナが、ぽかんと口を開けたー。
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