テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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モリガン一人旅(第4話)

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 というわけで、

「やれやれ、久しぶりじゃのう、空の旅も」

 目的の浮遊大陸がある惑星Σ-11行きの便ー。

 飛空船の座席に座り、窓から外の景色を眺めながら、独り言ちるモリガン。もっとも、「秋の領域最大の魔女」である彼女なら、「空を飛ぶこと」自体は自分でも可能だが、こうして乗り物に乗っての空の旅というのも、たまには悪くないと思えた。

「ま、自分で飛ばんでもいい分楽ちんじゃしな・・・転送魔法陣であっという間に到着なんていうのは、あまりにも面白みがないしのう」

 使い魔である執事君グレートは、晶たちに預けてある。万が一、何か起こった場合はすぐにモリガンに連絡がいくような手筈となっていた。

「地下世界に蟲憑きがいたくらいじゃからな・・・何もなければそれに越したことはないが・・・」

 蟲憑きがうろついていた以上、用心するに越したことはない。まあ、晶たちならそうそう後れを取ることも無いだろうが・・・。

「・・・まあ、すぐに事が起こるというわけでもなし、ゆったりとくつろぐかの」

 うーんと背伸びをして、背もたれに寄りかかるモリガン。なんだか、妙に眠かったりする。

「・・・ミケさんくらいは連れてくるべきじゃったかのう。あやつをいじくりまわしておれば眠気も吹き飛びそうじゃし」

 最初、ミケさんと出会ったばかりの頃は、彼を追い掛け回して髭を引っ張ったりして遊んだものだが、最近ではさすがに控えている。

 眠気をこらえつつ、窓の外を眺める。陽の光を浴びて輝く白銀の雲海と、どこまでも果てしなく続く蒼穹の空の世界ーモリガンも、自身の魔法で空を飛ぶことはあるが、やはりじっくりとこの光景を拝むのであれば、自分の力を消費せずとも済む乗り物の中からの方が適していた。

 最初の空の旅は、母であるエレオノーラに連れられてのことだった。まだ3~4歳くらいだったが、今でも鮮明に思い出せる光景だ。

 当たり前だが、まだ幼かったモリガンは、その当時はまだ「魔女の叡智」を引き継いでおらず、魔女としての素質はあったものの、今ほどの魔力もなかった。もっぱら、偉大なる魔女であるエレオノーラの魔術を見て育った。

 自分の母親ながら、やはりエレオノーラは偉大な魔女であったと、今でも思う。顔を合わせれば反発することが多かったモリガンだが、自分は一生かかっても彼女には追い付けないだろうとも思っていた。

 それは、「魔女の叡智」を母から受け継いだ今となっても変わらない。いや、受け継いだ後だからこそ、なおのこと彼女に追いつくことはできないということを、否が応でも実感させられたのだった。

「元気でやっておるかのう、うちの両親は」

 父親の方は、魔法とはあまり縁のない人物で、母と熱烈な恋愛を経て結ばれたらしい。ほぼ駆け落ちに近かったと聞いている。

「まあ、あの万年バカップルなら心配は要らんか・・・」

 我が親ながら、年齢や月日を全く感じさせないバカップルぶりに、思わず思い出し笑いをしてしまうモリガンであったー。
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