テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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モリガン一人旅(第5話)

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 浮遊大陸まで、大体あと半日くらいかー。

 座席の背もたれに寄りかかり、そのままウトウトとしていた時ー。

「・・・む!?」

 突如、モリガンは強い魔力の波動を感じ、窓の外に目を向けた。

「・・・何じゃ、今の感触は・・・」

 感じたのは、はるか西方ー残念ながら、肉眼で確認できる距離ではないが、少なくともこれだけの魔力のぶつかり合いともなれば、モリガンならすぐに察知できた。

 ゆえに、一気に眠気が覚めてしまったのである。

「大きな反応が4つ・・・うち1つが、消えかかっておるな」

 おそらく、この魔力のぶつかり合いは、戦闘によるものだ。しかも、かなり激しいときた。ただ、その魔力の波動から察するに、蟲は関わっていない。むしろ、機械と魔法の両方がうまく合成されたかのような、特殊な形状の魔力波動だった。

 4つのうち、やたらとでかいのが1つ、その他3つは大体似たり寄ったりのレベルで、そのうち1つが追いつめられているのか、放たれている魔力の波動が小さくなっていた。

 モリガンは、飛空船の窓の外ー要するに、空に向けて魔力を集中させた。魔力の渦が飛空船の窓の外に作られ、そこから単眼蝙蝠の可愛らしい使い魔が出現した。基本的には、地下世界で召喚したものと同系統のものだったが、こちらは天空という特殊な環境下でも影響なく活動できるように手を施された使い魔である。

「こやつに探らせてみるか・・・あれだけの魔力だと、少なくともの戦いではないな」

 そう言えば、天空世界には飛空鎧という乗り物に搭乗して戦う者達がいるという話を聞いたことがある。元は、「空賊」と呼ばれる、空の世界のマフィアみたいな集団が、主にその飛空鎧で活動していたらしい。

 今では空賊をやめてチームとなったという連中もいるようだが、正直あまり関わり合いになりたくはない連中であるのは確かだった。

「確か・・・飛空鎧は、正式にはアルマ・ヴォランテスとか呼ばれておったかのう・・・わしは実物を見たことはないが・・・」

 以前に、何かの本でその写真を見たことがあるくらいだった。モリガン自身、飛空鎧に関しては特に興味もなかったので、それ以上詳しく調べる気になれなかったというのが本音ではあるのだが・・・。

 ひょっとしたら、晶の方が詳しいかもしれない。この手の話が好きそうだからだ。

「行け、使い魔よ。あの場所で何が起こっているのか、わしにその映像を送るのじゃ」

 直接関係があるわけではないが、やはり自身のいる場所の近くでこれだけ派手な動きをされたのでは落ち着かない。せめて、あそこで何が起こっているのか、それだけでも把握しておきたかった。

 モリガンに命じられた使い魔は、小刻みに空間転移を繰り返しながら、先ほどから魔力のぶつかり合いが起きている空域を目指したー。
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