テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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モリガン一人旅(第8話)

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「さて・・・もう少し様子を見てみるかの」

 モリガンは、そのまましばらく空のチームと害蟲達との戦いを観察し続けることにした。そして、紫の機体も同様に、彼ら5人の戦いぶりを見守るつもりのようだ。

「害蟲相手にやり合えるとなると・・・あの5人はなかなかの腕前のはずじゃ」

 実際、5人の少年少女たちは見事な連係プレーで害蟲達を蹴散らしていくーが。

「やはりあのデカいやつだけは、さすがに手古摺っておるようじゃのう」

 片方に腕が3本、もう片方の肩に大きな花弁をつけた個体ー大きさからして、こいつがこの害蟲どもの群れの長といったところだろう。使い魔からの映像で判断するに、クラスとしてはB級といったところだろうか。

「さすがに、亜人種型デミヒューマンタイプほどではないにせよ・・・あの連中の手に余るのではないか・・・」

 これがチーム《ユグドラシル》のメンバーなら、おそらくは清野江紀や薬師寺咲那だけで何とかなるだろうが・・・。

「まあ、空の連中の戦いぶりを拝むのも悪くはないか」

 こうして、文字通り「高みの見物」としゃれ込むモリガンであったー。

ーー

 決着は、思っていたよりも早く、空のチーム側の圧勝で終わった。

「ほほう・・・」

 思わず口元に笑みが浮かんでしまうモリガン。

「空の連中も、なかなかやるではないか・・・」

 純粋な実力では、おそらく《ユグドラシル》のメンバーの方が上かもしれないが、この5人もなかなかレベルが高く、侮ることはできない。おそらくは、日常的にこういった荒事に対処している連中だろう。

「こやつらのことも一応調べておくか・・・む?」

 さっきから気になっていたが、5人の中でただ一人黒ずくめの恰好をした少女ー。

「あやつは・・・」

 確か、東方では存在そのものが邪悪とされる魔法使い達ー邪術師と呼称される者達だ。西方においては「悪魔憑き」と呼称される連中でもある。東西を問わず、世間から厄介者とされている輩だ。

 ただ、西方と東方では対処の仕方が異なる。東方では、有無を言わさず殺されてしまうらしいが、西方では、人権上の観点から、何とか彼らの抱えている症状を抑えることができないかと、その医学的療法の研究が行われていた。

「空のチームには、あんな輩もおるのか・・・まあ、わしにとっては邪術師だろうと小童と同じようなものでしかないが」

 自身もまだまだあどけなさを残すモリガンが、映像中の黒ずくめの少女を見ながら零した。

「魔女の叡智」を受け継ぐ彼女にとっては、明らかに年上であろうこの邪術師の少女もまた小童と同じ扱いである。

「・・・どうやら、向こうの紫の輩も気が付いたようじゃの」

 紫の機体のパイロットもまた、邪術師の存在に気が付いたようだったー。
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