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カイトと杏里、大樹へ(第7話)
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浮遊大陸に興味を持ち始めたミケさんー。
「我輩、実は百数十ニェン生きておりますニャー。しかし、未だにこニョ大樹から出たことがニャいんですニャー」
「まあ」
さも意外だと言わんばかりに、杏里が驚く。どちらかと言えば、大樹から出たことがないということよりもミケさんが自分たちよりもはるかに長く生きているということの方が驚きだった。
「へえ、人間よりも長く生きるんだね、君たちは」
カイトも、驚きを隠せない様子でミケさんに問いかけた。
「我輩、益蟲ですからニャー。寿命が人間とはことニャりますニャー」
具体的な寿命そのものについては、実はミケさん自体も把握していなかったりする。
「我輩ニョ苦労多き人生について、いつかおはニャししたいですニャー」
ミケさんの糸目がキラっと光った・・・ような気がした。6本のお髭が得意げに上を向いている。
しかし、そこへ・・・。
「誰が苦労多き人生だって・・・?」
「あ、この人たちが、モリガンちゃんが言ってたお客さんだね、晶君」
ミケさんが部屋に来たときに、そのまま戸を閉めるのを忘れていたため、今までの話の内容は廊下まで筒抜けであり、そのため、この日向荘の他の住人達も聞かれていたのだった。
「やあ、君たちがカイト君と杏里さんだね」
和服姿の少年少女が、部屋の前に立っていた。少年の方は、中性的な面立ちをしており、少女と言われても通用しそうな美少年、少女の方は肩まで切りそろえられた黒髪と大きめの瞳が印象的で、何となくだが、和人形を思わせる雰囲気がある。あと数年もすれば、人目を惹くような容姿になるのは間違いないだろう。
「初めまして、オレはこの日向荘で暮らしている吾妻晶です。こっちは清野早苗です」
「やっほー、初めまして。カイト君、杏里さん」
少女ー清野早苗が手を振り、笑顔を向けてきた。それに対し、カイトや杏里も笑顔を返す。
「初めまして・・・水無杏里です」
「カイトと言います」
カイトと杏里が立ち上がり、二人を部屋の中に招き入れた。
「本当に、いきなり皆さんのところに押しかけてしまって申し訳ないです」
「いえいえ、オレたちも日向荘にお客さんが来てくれてうれしいですよ」
「そう言えば、最近はちっともお客さん来ないもんね、晶君」
「まあ、元は旅館とは言え、もう営業していないしな・・・」
晶と早苗はさっそく久しぶりの客との邂逅を楽しんだ。
ーー
「それにしても、ミケさんよ」
「ニャ?」
「さっき言ってた苦労多き人生について・・・ぜひともオレも窺いたいんだがな」
いささか半眼になりながら、ミケさんに尋ねる晶。そして、それに対し汗だくになって押し黙るミケさん。
「オ・レ・は・・・お前さんが朝っぱらから酒ばかり飲んで、昼寝して夜もまた酒飲んでまた寝るといったローテーションの生活しか見たことがないんだがな」
ずんっと、顔を迫らせる晶に対して、さらに全身から汗を流して後ずさるミケさんであったー。
「我輩、実は百数十ニェン生きておりますニャー。しかし、未だにこニョ大樹から出たことがニャいんですニャー」
「まあ」
さも意外だと言わんばかりに、杏里が驚く。どちらかと言えば、大樹から出たことがないということよりもミケさんが自分たちよりもはるかに長く生きているということの方が驚きだった。
「へえ、人間よりも長く生きるんだね、君たちは」
カイトも、驚きを隠せない様子でミケさんに問いかけた。
「我輩、益蟲ですからニャー。寿命が人間とはことニャりますニャー」
具体的な寿命そのものについては、実はミケさん自体も把握していなかったりする。
「我輩ニョ苦労多き人生について、いつかおはニャししたいですニャー」
ミケさんの糸目がキラっと光った・・・ような気がした。6本のお髭が得意げに上を向いている。
しかし、そこへ・・・。
「誰が苦労多き人生だって・・・?」
「あ、この人たちが、モリガンちゃんが言ってたお客さんだね、晶君」
ミケさんが部屋に来たときに、そのまま戸を閉めるのを忘れていたため、今までの話の内容は廊下まで筒抜けであり、そのため、この日向荘の他の住人達も聞かれていたのだった。
「やあ、君たちがカイト君と杏里さんだね」
和服姿の少年少女が、部屋の前に立っていた。少年の方は、中性的な面立ちをしており、少女と言われても通用しそうな美少年、少女の方は肩まで切りそろえられた黒髪と大きめの瞳が印象的で、何となくだが、和人形を思わせる雰囲気がある。あと数年もすれば、人目を惹くような容姿になるのは間違いないだろう。
「初めまして、オレはこの日向荘で暮らしている吾妻晶です。こっちは清野早苗です」
「やっほー、初めまして。カイト君、杏里さん」
少女ー清野早苗が手を振り、笑顔を向けてきた。それに対し、カイトや杏里も笑顔を返す。
「初めまして・・・水無杏里です」
「カイトと言います」
カイトと杏里が立ち上がり、二人を部屋の中に招き入れた。
「本当に、いきなり皆さんのところに押しかけてしまって申し訳ないです」
「いえいえ、オレたちも日向荘にお客さんが来てくれてうれしいですよ」
「そう言えば、最近はちっともお客さん来ないもんね、晶君」
「まあ、元は旅館とは言え、もう営業していないしな・・・」
晶と早苗はさっそく久しぶりの客との邂逅を楽しんだ。
ーー
「それにしても、ミケさんよ」
「ニャ?」
「さっき言ってた苦労多き人生について・・・ぜひともオレも窺いたいんだがな」
いささか半眼になりながら、ミケさんに尋ねる晶。そして、それに対し汗だくになって押し黙るミケさん。
「オ・レ・は・・・お前さんが朝っぱらから酒ばかり飲んで、昼寝して夜もまた酒飲んでまた寝るといったローテーションの生活しか見たことがないんだがな」
ずんっと、顔を迫らせる晶に対して、さらに全身から汗を流して後ずさるミケさんであったー。
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