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空と大樹と(第11話)

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 天井から落下してきたミケさんを何とか助け起こし、これからどうするのかを決める晶たち一行。

「まあ、こいつに限ってマジで過労死なんてないだろうから、そこら辺は心配せんでもいいだろう」

 ミケさんも一応「蟲」である以上は、人間よりも頑丈にできているので、その辺のところは大丈夫・・・というのが晶の見立てだ。

「でも、ミケさんたったの1日で真っ白けになっちゃったからねぇ~この分だと、働いてお金を全部返すのにどれくらいかかるのかな~?」

 一番の懸念材料はそこだ。はっきり言って、全く労働力を期待できないミケさんに、無理に仕事をさせてもいったいどれくらいの歳月を要するのかー。

「まあ、とは言え完済まではさすがに連れ出せないだろ・・・連れ出したところで、結局はまたあいつらに追われるだけだしな・・・」

「私はまた会ってみたいけどね、狸さん達!」

「・・・もう来なくていいよ・・・」

 早苗はポン太達のことがいたくお気に入りで、できればこのままお持ち帰りしたいというところだろうが、晶にとってはただの騒がしいだけのはた迷惑な連中である・・・できれば、二度と来ないでほしいというのが正直なところだった。

「まあ、これから・・・例えば1週間に1回くらいとか確認のためにこちらに出向いてみてはいかがでしょうか?」

 杏里が、ミケさんの頭をナデナデしながら提案する。ミケさんは、未だぐったりとしている・・・どうやら、先ほどの晶の一撃がよほど効いたようだった。

「それもそうだな・・・この怠け者がしっかりと働いているのか、定期的に把握しておく必要はあるだろうし・・・まあ、ここまで来るのはいささか手間だけどな・・・」

「毎週、可愛い動物さん達に会えるんだね、晶君!」

 ・・・どうやら、早苗は大変この場所を気に入ったようだ・・・まあ、ミケさんと似た容姿をした動物もどきばかりなので、可愛いと言えばその通りである・・・。

「しばらくの間はそうするか・・・途中で逃げ出してまたあいつらに追われても困るしな・・・」

 また、日向荘の玄関先で「はらいた~まえ」コーラスなんぞをされたらたまったものではない・・・。

 晶たちが、今後のミケさんのことを話し合っていると、背後から突然声がかかった。

「おう、あんちゃん達か、邪魔するぜぇ」

 そこにいたのは、例のポン太とその取り巻き一行だったー。
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