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咲那・全裸の逃避行(第1話)
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・・・なんてこった・・・。
とある浮遊大陸(惑星Σ-11とは別のもの)付近にある小島の中の森林地帯ー。
今日、何度目かの盛大なため息をつきながら、薬師寺咲那は、秋の空を見上げた。
そろそろ、季節も秋になりかけている頃ーまだ残暑が続いてはいるものの、さすがに朝晩になると、秋の便りが迫ってきているということが、吹きすさぶ風の中に痛感する。
特に、今の自分の状態なら、なおのことそれを痛感せざるを得なかった。
「・・・あのスケベ害蟲め・・・」
今さっき、倒したばかりの害蟲に対して毒づく咲那。もっとも、この事態を招いてしまったのは、ほかならぬ自らの油断によるものだという意識はある・・・。
「これは・・・ある意味、今までで一番やべえ状況かもな・・・」
自分の置かれている状況が、女としていかにやばいか・・・はっきり言って、こんな状態に陥るとは想定してさえいなかった。
「・・・どういうわけか、こういう時に限ってモリガンのやつは連絡が取れなくなってるし・・・」
仕方がなく、生体端末で和泉鏡香に連絡を取り、事情を話す。本当なら、モリガンに頼めばもっと早く片が付く話なのだが、なぜか連絡が付かなかった。
内容が内容だけに、男性陣には一切秘密ーということで、何とか鏡香に状況を理解してもらい、助けに来てもらうことになった。
ただ、日向荘からここまで、早くても明後日の朝までかかりそうだとのこと。
「ぐはあ!!」
・・・まあ、確かに、大樹から離れた浮遊大陸付近の小島ーここに来るまでには、飛行船を乗り継ぎ、さらにはこの辺郷の小島行の便にも乗らなければならないー確かに、これは明後日までかかりそうだ。
つまり、それまでこの恰好のままでいなければならないということになる・・・。
考えただけでも億劫だ・・・。
「な、なるべく早く頼む、鏡香!」
「わかりました~咲那さんも、どうか風邪をひかないように気を付けてくださいね」
鏡香が気遣ってくる。
「それにしても・・・大変でしたね、咲那さん。まさか、そんなに手ごわい相手だったなんて」
「いやあ、その、強いやつではなかったんだが、あたしが油断してたのは確かだ」
全くもって、相手を侮った自分の不甲斐なさを痛感する。まだまだ修行不足ーこれでは流派を破門されても文句は言えないだろう。
師匠の言う通り、あたしはまだまだだな、こりゃ。
「すまん、このお礼は後で必ずするから、なるべく早く・・・な?」
「ええ、わかりました」
生体端末を切る。あとには、虚しく吹く風と、害蟲の最後の一撃で、不覚にも衣類だけが溶かされてほぼ全裸の状態の咲那だけが残されたのだったー。
とある浮遊大陸(惑星Σ-11とは別のもの)付近にある小島の中の森林地帯ー。
今日、何度目かの盛大なため息をつきながら、薬師寺咲那は、秋の空を見上げた。
そろそろ、季節も秋になりかけている頃ーまだ残暑が続いてはいるものの、さすがに朝晩になると、秋の便りが迫ってきているということが、吹きすさぶ風の中に痛感する。
特に、今の自分の状態なら、なおのことそれを痛感せざるを得なかった。
「・・・あのスケベ害蟲め・・・」
今さっき、倒したばかりの害蟲に対して毒づく咲那。もっとも、この事態を招いてしまったのは、ほかならぬ自らの油断によるものだという意識はある・・・。
「これは・・・ある意味、今までで一番やべえ状況かもな・・・」
自分の置かれている状況が、女としていかにやばいか・・・はっきり言って、こんな状態に陥るとは想定してさえいなかった。
「・・・どういうわけか、こういう時に限ってモリガンのやつは連絡が取れなくなってるし・・・」
仕方がなく、生体端末で和泉鏡香に連絡を取り、事情を話す。本当なら、モリガンに頼めばもっと早く片が付く話なのだが、なぜか連絡が付かなかった。
内容が内容だけに、男性陣には一切秘密ーということで、何とか鏡香に状況を理解してもらい、助けに来てもらうことになった。
ただ、日向荘からここまで、早くても明後日の朝までかかりそうだとのこと。
「ぐはあ!!」
・・・まあ、確かに、大樹から離れた浮遊大陸付近の小島ーここに来るまでには、飛行船を乗り継ぎ、さらにはこの辺郷の小島行の便にも乗らなければならないー確かに、これは明後日までかかりそうだ。
つまり、それまでこの恰好のままでいなければならないということになる・・・。
考えただけでも億劫だ・・・。
「な、なるべく早く頼む、鏡香!」
「わかりました~咲那さんも、どうか風邪をひかないように気を付けてくださいね」
鏡香が気遣ってくる。
「それにしても・・・大変でしたね、咲那さん。まさか、そんなに手ごわい相手だったなんて」
「いやあ、その、強いやつではなかったんだが、あたしが油断してたのは確かだ」
全くもって、相手を侮った自分の不甲斐なさを痛感する。まだまだ修行不足ーこれでは流派を破門されても文句は言えないだろう。
師匠の言う通り、あたしはまだまだだな、こりゃ。
「すまん、このお礼は後で必ずするから、なるべく早く・・・な?」
「ええ、わかりました」
生体端末を切る。あとには、虚しく吹く風と、害蟲の最後の一撃で、不覚にも衣類だけが溶かされてほぼ全裸の状態の咲那だけが残されたのだったー。
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