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咲那・全裸の逃避行(第2話)
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「しかし、参ったな・・・あと1日半もマッパで過ごすことになるとは・・・」
人が滅多に足を踏み入れない森林地帯であることが幸いし、人に見られる心配はないとはいえ・・・。
ほぼ全裸の状態である。とてもではないが、恥ずかしくてまさに穴があったら入りたい気持ちになる。
話は今回訪れていた浮遊小島にて、害蟲の駆除を依頼されたことから始まる。
地元の住民から、害蟲駆除の経験があることを理由に、この森林地帯に生息している害蟲を退治してくれないかと頼まれたのだ。もちろん、報酬もある。
咲那自身、町を訪れる前に、この場所を一度通りかかっているので、その時に害蟲特有の魔力波動を感じたのだが、その力は弱く、すぐには危険がないだろうと、まずは町の宿泊施設へ荷物を置きに行ったのだ。当然、着替えも宿泊施設に置いてきている。
「くそう、先に片づけとくんだった・・・」
相手を過小評価したツケが・・・これである。先に倒し、結果たとえ衣類を溶かされることに変わりがなかったとしても、荷物が手近なところにあればすぐに着替えることもできた。
今の状況では、町の宿泊施設まで全裸の状態で取りに行かなければならないが、至る所に監視カメラがあり、また人の目もある中、とてもではないが、取りに行けるわけない。
仮に、宿泊施設まで戻ることができたところで、フロントや他の宿泊客の目をかいくぐって自分の部屋まで行かなければならず、はっきり言って不可能である。
今、手元にあるのは刀だけーあとは、空間収納魔法を応用して魔法剣「エクセリオン」を取り出すことができるものの、こんな事態等想定していないので、当然のことながら、衣類など収納しておらず、現状では活用の余地がない。
先ほど、モリガンに連絡を取ろうとしたのは、彼女の転送魔法陣の力を借りたかったからだ。まあ、事情を話せばおそらくモリガンに爆笑されるだろうが、この際恥をかこうが背に腹は代えられないというもの・・・。
だが、そのモリガン自身とは全く連絡が取れない状態になっている。というわけで、仕方がなく鏡香に着替えを持ってくるよう頼んだのだ。
「あの害蟲め・・・なんて厄介なことをしてくれたんだ」
害蟲にとどめを刺そうとしたとき、敵は最後の悪あがきのつもりだったのか、口から特殊な粘膜を吐き出してきた。それは、見事に衣類の繊維を溶かしてしまったのだ。
「どういうわけか、体には変化がないんだよな・・・」
これで体まで溶かされたら命はなかった・・・その点だけは助かったと言わざるを得ない。
どれだけ弱い相手でも、一瞬の油断が命取りにつながるということが、今回の一件でいやおうなしに思い知らされた形となった。
「とはいえ、今の状態ではまだ体に変化がないというだけかもしれん・・・いずれにしろ、帰ったら一度診てもらわないとな・・・」
今日何度目かのため息をつき、頭をぼりぼりとかきながら、茜色に染まった夕暮れ時の空を見上げる。
これから、季節は夏から秋に変わろうとしている。当然ながら、今までと違い、晩は冷える可能性が・・・。
「・・・さすがにこの恰好のまま寝るのは、まずいかもな」
気温の低下が著しい夜において、裸状態というのは致命的であった。
「仕方がない、最低限、体を冷やさないようにはしなければ・・・エクセリオン!!」
咲那は、空間収納魔法を発動し、中に収納してあった魔法剣「エクセリオン」を取り出した。
「あとは、薪か・・・やれやれ、よもやエクセリオンを使って暖を取ることになろうとはな・・・」
周囲に人目がないか、思わずきょろきょろと見まわしてしまう咲那。こんなところに人が来ることはないだろうと思いつつ、やはり気になってしまう。
「はあ・・・」
自分の不甲斐なさに呆れながら、咲那は薪を探し始めたー。
人が滅多に足を踏み入れない森林地帯であることが幸いし、人に見られる心配はないとはいえ・・・。
ほぼ全裸の状態である。とてもではないが、恥ずかしくてまさに穴があったら入りたい気持ちになる。
話は今回訪れていた浮遊小島にて、害蟲の駆除を依頼されたことから始まる。
地元の住民から、害蟲駆除の経験があることを理由に、この森林地帯に生息している害蟲を退治してくれないかと頼まれたのだ。もちろん、報酬もある。
咲那自身、町を訪れる前に、この場所を一度通りかかっているので、その時に害蟲特有の魔力波動を感じたのだが、その力は弱く、すぐには危険がないだろうと、まずは町の宿泊施設へ荷物を置きに行ったのだ。当然、着替えも宿泊施設に置いてきている。
「くそう、先に片づけとくんだった・・・」
相手を過小評価したツケが・・・これである。先に倒し、結果たとえ衣類を溶かされることに変わりがなかったとしても、荷物が手近なところにあればすぐに着替えることもできた。
今の状況では、町の宿泊施設まで全裸の状態で取りに行かなければならないが、至る所に監視カメラがあり、また人の目もある中、とてもではないが、取りに行けるわけない。
仮に、宿泊施設まで戻ることができたところで、フロントや他の宿泊客の目をかいくぐって自分の部屋まで行かなければならず、はっきり言って不可能である。
今、手元にあるのは刀だけーあとは、空間収納魔法を応用して魔法剣「エクセリオン」を取り出すことができるものの、こんな事態等想定していないので、当然のことながら、衣類など収納しておらず、現状では活用の余地がない。
先ほど、モリガンに連絡を取ろうとしたのは、彼女の転送魔法陣の力を借りたかったからだ。まあ、事情を話せばおそらくモリガンに爆笑されるだろうが、この際恥をかこうが背に腹は代えられないというもの・・・。
だが、そのモリガン自身とは全く連絡が取れない状態になっている。というわけで、仕方がなく鏡香に着替えを持ってくるよう頼んだのだ。
「あの害蟲め・・・なんて厄介なことをしてくれたんだ」
害蟲にとどめを刺そうとしたとき、敵は最後の悪あがきのつもりだったのか、口から特殊な粘膜を吐き出してきた。それは、見事に衣類の繊維を溶かしてしまったのだ。
「どういうわけか、体には変化がないんだよな・・・」
これで体まで溶かされたら命はなかった・・・その点だけは助かったと言わざるを得ない。
どれだけ弱い相手でも、一瞬の油断が命取りにつながるということが、今回の一件でいやおうなしに思い知らされた形となった。
「とはいえ、今の状態ではまだ体に変化がないというだけかもしれん・・・いずれにしろ、帰ったら一度診てもらわないとな・・・」
今日何度目かのため息をつき、頭をぼりぼりとかきながら、茜色に染まった夕暮れ時の空を見上げる。
これから、季節は夏から秋に変わろうとしている。当然ながら、今までと違い、晩は冷える可能性が・・・。
「・・・さすがにこの恰好のまま寝るのは、まずいかもな」
気温の低下が著しい夜において、裸状態というのは致命的であった。
「仕方がない、最低限、体を冷やさないようにはしなければ・・・エクセリオン!!」
咲那は、空間収納魔法を発動し、中に収納してあった魔法剣「エクセリオン」を取り出した。
「あとは、薪か・・・やれやれ、よもやエクセリオンを使って暖を取ることになろうとはな・・・」
周囲に人目がないか、思わずきょろきょろと見まわしてしまう咲那。こんなところに人が来ることはないだろうと思いつつ、やはり気になってしまう。
「はあ・・・」
自分の不甲斐なさに呆れながら、咲那は薪を探し始めたー。
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