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咲那・全裸の逃避行(第28話)

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「・・・くそ!!」

 焦るな・・・落ち着け・・・。

 そう、自分に言い聞かせる咲那ー。

 まだ、モリガンが戦いに巻き込まれたと判明したわけではないし、これからヴァルキリーが選定しに行く魔女の魂が彼女だと決まったわけでもない。

 だがー。

「・・・モリガンのやつ、無事なら無事で、連絡を早く寄こしやがれってんだ・・・」

 いまだ音信不通のままの彼女に対する心配は募る一方だ。しかし、今焦って行動を起こそうとしても、移動手段はないし、それは鏡香も同じだろう。晶たちには余計な心配をさせたくないし、何より彼らに伝えても、できることはない。

 やはり、ここは自分がしっかりしなければー。

「それにしても・・・あいつのいる浮遊大陸で、戦いか・・・」

 惑星Σ-11に内包されている浮遊大陸は、大陸とは言っても、他の浮遊大陸に比べて小さい方だ。そんな場所で、多数の死者が出るほどの戦いというのも、前文明時代ならともかく、今のご時世ではあまり考えられない。

 しかし、かといってヴァルキリーがわざわざ見え透いた嘘をついたとも思えない。

「・・・確か、あいつが今いる場所には、東方のチームの飛空鎧が降りてきてるんだったよな・・・」

 モリガンの話では、その飛空鎧が戦ったのはその浮遊大陸のほぼ上空だったらしい。しかも、モリガンが目撃した時にはほとんど決着が着いているとのこと。

「戦いがあったとして、その後ってことになるが・・・」

 一度、惑星Σ-11関連のニュースを確認してみた方がいいのかもしれない。

 咲那は自身の生体端末にアクセスし、最新情報を更新してみた。すると・・・。

「・・・っ!こいつらは・・・!」

 なんと、最新ニュースとして挙がっていたのは、東方の飛空鎧とは別な連中によって襲撃されていた町の姿だったー。

「・・・おいおい、これは・・・」

 こいつらのことは、鏡香からよく聞かされている。というよりも、鏡香と奏多自身の古巣の連中だ。二人が、幼いころの一時期戦闘訓練を受けていたという組織ー。

悠久王国レギューム・エタールヌム・・・」

 現在社会において、テロリスト扱いされている非合法組織だ。鏡香の話によれば、数名の不死者を最高幹部として、あとは彼らのための私兵で構成されているのだという。

「・・・なんで、こいつらがこの大陸を襲撃してるんだよ!!」

 思わず、ニュースの画像に向かって叫んでしまう咲那。こんなやばい連中が出てきているとは・・・。

「なるほど、こいつらが原因というわけか、モリガンが音信不通なのは」

 音信不通だけで済んでくれていればいいがーと。

「・・・待てよ、確か、今日向荘に匿っているあの二人は、確か、ここから来たんだよな?」

 そう言えば、そんな話を鏡香から聞かされたような気がする。

「ということは・・・」

 その時、咲那の生体端末に、晶から連絡が来たー。
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