テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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我ら悠久王国なり(第3話)

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 翌日ー。

 来栖忍は、再び主である結城司の部屋へと赴いたー。

 幾重にも及ぶ魔法結界を軽々と解除し、昨日と同じく次元の扉を現出させる。

「やあ、待ってたよ、忍」

 扉を開け、中に入るなり、今度は女性の声が出迎えた。女性の声は2つで、一方は快活なイメージの歓迎しているような口調、もう一方は悲鳴である。

 昨日と同じ巨大な天蓋付きベッドの上にいたのは、二人の全裸の女性ー一人は、多少ウェーブがかかった黒髪を肩くらいまで伸ばしており、年の頃は17~18歳くらいだが、それよりも大人びて見える。もう一人は、銀色の髪に深紅の瞳が印象的な、美しい娘ーこちらは、異性である来栖が入ってきたのを見て、羞恥心のためか頬が紅潮し、シーツで胸元を隠している。対照的に、黒髪の娘の方は裸の状態であっても動じることなく、それどころか来栖に対してフレンドリーな感じで手を振っている。

「・・・今日は女の日だったか?司・・・」

 黒髪の娘に対し、来栖は苦笑しながら応じる。

 これも、我が主様の趣味の一つだった。司の能力の一つだが、司は自身の性別を自由に変換することができるのである。しかも、いつ男になるか女になるかは、司自身が気まぐれで決めているため、来栖にも予測がつかない。

 司自身は、例え全裸の女の姿だろうが、友人であり相棒でもある来栖にならどちらでも見られていいと思っているようだ・・・ただ、(今は)彼女の隣に寄りかかっていた銀色の娘の方は、心底恥ずかしそうな表情で、俯いている・・・尤も、来栖のことを上目遣いに睨みつけているようだったが。

「しばらく男ばかり相手してたからさ・・・今度は女の子たちの面倒も見なくちゃって・・・イザベラが今日の私のお相手さ」

 司の隣で侍っていた娘は、名をイザベラという。年の頃は(外見上は)18歳くらいー昨日のユリウスとは対照的に、銀色の髪とルビーのような深紅の瞳が印象的な娘だった。

「・・・どうする?イザベラがいるなら私は後でも構わないが」

 上目遣いに睨みつけてくるイザベラの視線が気になり、来栖は一旦部屋を出ようかと進言した。

「いいよいいよ、忍。イザベラも、少し我慢しな・・・あとでその分たっぷりとサービスしてやるからさ」

 司の言葉に、一瞬戸惑うも「サービス」という言葉を受けて恍惚とした笑みを浮かべて司の肩に腕を回すイザベラー当然、胸元を隠していたシーツははだけるが、もはや来栖のことは眼中にないといった感じだった。

「ならここで報告だ・・・どうやら、昨日転送魔法陣を使ったのは、大樹に住む魔女だったらしい・・・確か、大樹の「秋の領域」とか言ったか・・・そこの魔女だそうだが」

「へえ、もしかして、そいつが蟲生みになる可能性があるやつなのかい?」

「いや・・・」

 司の問いに、来栖は少し考え込むように顎に手を当てて、

「ただ魔力が膨大というわけでは、到底蟲生みにはなれまい・・・もちろん魔力自体は必要不可欠だが、それだけでは適正者とはなれないだろう・・・ただ」

「・・・?」

 司が、来栖の言葉に怪訝そうに眉をひそめた。

「その転送魔法陣で、蟲生みの可能性がある娘を逃がしたのが、その魔女らしいのだ。捕えてみるか」

 来栖の問いかけに、司が微笑を浮かべながら、

「任せるよ、忍・・・急ぐわけじゃないけど、そろそろ蟲生みも見てみたいし。何なら同志たちにやらせてもいいからさ」

「わかった。たまにはあいつらに任せてみるか・・・」

 たまにはあいつらにも遊びをやらせてやらんとな・・・。

 来栖は、主からの許可を得て、自らの配下に緊急招集をかけることにしたのだったー。
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