テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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我ら悠久王国なり(第2話)

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 魔法結界を越えた先ー。

「忍だ・・・入るぞ司」

 扉を開け、その中に入る。そこにはー。

 天蓋付きの大きなベッドがある豪奢な部屋ー偽りの王国とは言え、城なだけあって内部の作りは本もに勝るとも劣らない。部屋の作りだけでなく、中の調度品もかなりの値打ちのあるものばかりである。

 だが、部屋の中は薄暗く、窓から入り込む月光のみがこの部屋を照らしていた。

「よお、来たか、忍」

 そして、その部屋のベッドの上で待っていたのはー2人。いや、正確には「待っていた」のは今返事をした黒髪の青年だけで、もう一人の少年の方は、主へのの真っ最中だ。

「はああ・・・司さん・・・ボク、もっと欲しいです・・・」

 恍惚とした表情を浮かべ、ベッドの上で全裸で横たわる金髪碧眼の美少年ーまるで、前文明時代に描かれた宗教画からそのまま抜け出してきたかのように美しく、愛らしい少年は、自身の主である結城司に尻を向けている。年齢は・・・大体12~13くらいに見えるが、ここは何しろ悠久王国レギューム・エタールヌムである。主である結城司の手により、「不老」の力を授かった者が多数存在している。

 現在、主に肉体的な「奉仕活動」を行っているこの少年も、当然のことながら、その見た目通りの年齢ではない。

 この少年は、ユリウスと呼ばれているが、あまりに長い時を生きているため、それが本名なのかすら怪しいところだ。

 この部屋で裸体を晒しているのはこのユリウスだけで、司自身はズボンのジッパーを下げ、ユリウスの奉仕に報いているだけである。

 ー相変わらずご盛んなことだー。

 尤も、この部屋を訪れるたびに毎度のように見る光景なので、今更感じることなど何もないのだが。

「司・・・そろそろ我らが城で培養した蟲どももうるさくなってきた頃合だ。大樹だけでなく、他の地域にも蟲を送り込んでもいいだろう」

「それもそうだね・・・何せ、最近は外に対して干渉は控えていたからな・・・そろそろ派手な遊びがしたいと思っていた」

 この城の最下層エリアにある蟲の培養器ーここに、害蟲だけでなく益蟲の雛型が存在しており、それを彼らは自分たちの実験と戯れのために培養している。ただ、最近はあまり外で活動させていないためか、いささか増えすぎて処理に困っていたところだ。

 そろそろ、引きこもるのはやめて、外へと打って出ようかー。

 結城司は、少年の尻を両手で抱え込み、前へと体重をかける。当然、ユリウスはに、敏感に反応する。

「あうう・・・司さん、いいです、もっと!」

 鼻にかかった声を上げる美少年(外見だけは)を一瞬だけ冷ややかに見据えた忍だったが、すぐに主であり親友でもある司の方に向き直る。

「それで、害蟲を各地に送るにあたり、面白そうな駒となりそうな娘を見つけた」

「・・・ほう?」

「その娘は、蟲生みの魔女となる可能性を秘めている・・・ちょうど、あの空域に派遣した害蟲の一部が見つけてな・・・ただ、今はその浮遊大陸から離れたようだ」

「・・・見つける手立てはあるのかい、忍?」

 いささか挑戦的な目つきで、忍を見やる司ー。

「・・・その近辺で、転送魔法陣が使用された痕跡があるー使用者さえ特定できれば、そこからどこに転送されたかもある程度は掴めるだろう」

「それはまた・・・結構高度な術者が関わっているようだね・・・」

 司もこの悠久王国の支配者ー魔法のランクや性質などは全て把握しているといっても過言ではない。ゆえに、その転送魔法陣の使い手が、どれくらいの術者なのかもよくわかる。

「まあ、特定にはそんなに時間はかかるまい・・・引き続き捜索を続けるつもりだ」

「・・・ふふふ、忍・・・僕らにとっては、時間はあってもなくても変わりないものさ・・・そうだろ?」

 司が口の端を歪める。永遠なる者の特権として、有限の者どもを見下すかのような、そんな表情だった。

・・・忍」

 互いの名を気安く呼び合う仲の二人は、同じように不敵な笑みを浮かべた。

 その中で、ただ美しい少年の喘ぎ声だけが、部屋の中に響き渡るー。
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