上 下
380 / 464

続・モリガン一人旅(第12話)

しおりを挟む
「・・・なんじゃと!?」

 モリガンと楓が書斎から出ようとしたとき、奇妙な感覚が二人を襲ったー。

「こ、これは・・・いったい何なんだ!?」

 楓が、左手で頭を抑えながら傍らのモリガンに問いかける。

「わ、わしにも何が何だか・・・」

 モリガンも、こういった事態は初めてのことだ。めまいに襲われながら、何とか書斎から出ようとするが・・・。

「はい、ご招待~」

 突然、男の声が響き渡った。その声を聴いた途端、モリガンの顔が青ざめた。

「ま、まさか・・・」

 モリガンと楓、その目の前には、ガレスと名乗った悠久王国レギューム・エタールヌムの男と、その手下たちの姿があった・・・さらには、彼らと対峙しているアサギの姿もある。

「・・・!?」

 アサギは、突然の闖入者の姿に一瞬戸惑った。

「・・・何者だ、お前たちは!?」

 だが、すぐに気を取り直して、突如目の前に現れたモリガンと楓を睨みつけた。

「・・・まさか、位相操作が、解かれたのか・・・」

 モリガンが、茫然としながら、自分の位相操作が解除されたことを認識した。

「あなた方でしたか・・・位相操作を行っていたのは」

 ガレスは、モリガンと楓の姿を一瞥し、

「・・・少し前、この辺りで転送魔法陣が使われた形跡があったもので、ついでに調べてみたのですが、さらに位相操作も行われていたようでしたので、こちら側で強制的に解除させていただきました。我らの開発した「マジック・キャンセラー」の効果もついでに確認させていただきましたよ」

 ガレスは、さっと右腕を高く掲げると、

「そちらのお嬢さん方も捕えなさい・・・くくく、どうも今日は、見目麗しいお嬢さん方と縁があるようですね」

 ガレスの声に従い、配下の者達が動き出す。モリガンと楓は、あっという間に取り囲まれ、身動きができなくなっていた。

「お、お主ら、わしらのことをどうするつもりじゃ!?」

 取り押さえられながら、モリガンがガレスを睨みつける。その様子を、ガレスはさも愉快そうに見下ろしながら、

「・・・あなた方の力にはとても興味があります。なあに、抵抗さえなさらないのでしたら、このまますぐに我らの居城までご案内するだけですので、どうかご心配なさらずに」

「お主らの城じゃと・・・!?」

 世界的なテロリスト集団として名が知られている悠久王国レギューム・エタールヌムだが、その本拠地がどこなのかは一切不明である。

「・・・所在不明の城・・・まさか!?」

 だが、モリガンは気が付いた。こいつらのアジトも、おそらくは位相操作により隠されているのだろうと。

「なるほどな・・・自分たちでも位相操作を行っているからこそ、その方面にも詳しいというわけか」

「そう言うことです。さあ、しばらくの間、おとなしくしていただきますよ。そうすれば・・・」

「待て!」

 ガレスの言葉を、アサギが遮ったー。
しおりを挟む

処理中です...