テキトーすぎな《ユグドラシル》の皆さん

ミケとポン太

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咲那と鏡香(第12話)

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 発着場の地面のアスファルトに穿たれた傷跡ー。

「弱いとは言え、それなりに芸はあるってことか・・・」

 威力は見ての通り、生身で食らえばひとたまりもない。

「まあ、とはいえ・・・」

 咲那は、この浮遊小島で2日前に戦った害蟲のことを思い出す。いくら自分よりも格下の相手とは言え、油断すると手痛い目を見るということは、前回の戦いで経験済みだ。

「前回のこともあるしな・・・油断せずに、確実に決めてやるぜ」

 エクセリオンの切っ先を向ける咲那に対し、害蟲が再び透明な翅を激しく震わせ始める。かまいたちを放つ前兆行動だ。

「させねえよ!!」

 咲那は、エクセリオンに風属性の魔力を纏わせた。害蟲の放ったかまいたちを、魔法剣の竜巻で相殺し、さらには余剰の力で、害蟲の翅そのものをずたずたに切り裂いた。

「がぁぁぁ!!」

 害蟲が悲鳴を上げる。羽根を失った害蟲は、そのままアスファルトの地面へと叩きつけられた。

「ぐごご・・・」

 翅を失った害蟲だが、まだ移動は可能のようだった。

「へえ、あんだけ高いところから落ちたってのにまだ動けるのか・・・タフな奴だな」

 咲那は、今度はエクセリオンに雷属性の魔力を纏わせた。

「だが、それもこれで終わりにしようぜ」

 雷鳴とともに、エクセリオンの刀身が淡い光を纏い、その輝きを増していく。

 それに対し、害蟲の方は口を大きく開き、火球を放つ予備動作に入っていた。

「遅い!!」

 咲那が、雷の力を宿したエクセリオンを横なぎにふるった。雷の力を宿した魔法の刃が、害蟲の胴体に迫る。口から火球を放つ暇もなく、害蟲の胴体が腹部から上半身と下半身に寸断され、その断面から凄まじい電撃がほとばしった。

「・・・!!」

 もはや、悲鳴にもならない悲鳴を上げ、害蟲は電撃に悶えながら、体を消失させていった。

「よっしゃ、これで完全に仕留めたぜ」

「お見事です、咲那さん」

 咲那の戦いぶりを見ていた鏡香がぱちぱちと拍手を送った。

「へへ、まあざっとこんなもんだぜ」

 害蟲が消え去った辺りの地面には、狭い範囲ながら黒く焼け焦げたアスファルトと、害蟲を構成していた瘴気の残留物だけが残されていた。怪異である害蟲は瘴気を取り込んで活動している。そのため、倒すと瘴気が残ることがあるが、大半は害蟲の消滅と共にそのまま空気中に霧散してしまい、ほぼ無害なものとなる。

 今回、実際にでた被害は、この焼け焦げた部分とかまいたちによって抉られた部分だけだ。損害は軽微ー実際に飛空船が停まる場所よりはかなり離れた場所のため、これなら飛空船の発着に影響はないだろうー。



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