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第3章 虚ろなる人形
第105話 人形の戦い
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勅使河原と氷上は、氷上の拠点であった住居を後にし、近くの公園へと移動した。
「この島の建物や公共物は、全て日本のものをまねられたらしいわね」
見たところ、この公園も日本のどこの町にでもあるありふれたものだったーただ、公園ではあるものの、そこは憩いの場として活用されることは今後もないと言っていいだろう。
「あら、先客がいたようね・・・」
勅使河原が、公園のブランコの上にある物を見て、かすかに口元を歪めた。
そこにあるのは、首ーやはり美しい少女の首が、なんとブランコの上に置かれていたのだった。
「首札によると・・・赤石絵里さんというのかしら・・・この子も綺麗ね」
切断され、晒されていた首は、うつろな表情で公園に入り込んできた勅使河原と氷上を見つめ続けていたー実際には、もはや何も映ってはいない瞳だったが、なぜか見つめられているような気がしてしまう。この辺りが、一般人から見れば生首というものが気色悪いとされる所以だろう。
ブランコがわずかでも揺れれば、赤石絵里の首は地面に落ちて転がるだろうが、それでもかまわず、この戦いの勝利者はここに置いたのだろう。
「勝利者の姿は・・・もういないわね。一度見てみたかったわ」
公園の中に、赤石絵里を殺した勝利者の姿はなく、既にここから立ち去ったみたいだ。近くを見回してみると、公園に生えている大きな樹の根元に、首のない制服姿の死体がある。樹に寄りかかるようになっていることから、わざわざ勝利者がこの赤石絵里の胴体をそのようにしたーということだろう。
この赤石絵里の相手をした人物は、なかなか手の込んだことを好んでいるのかもしれない。
「次は、あなたの番かしら?氷上さん」
赤石絵里の生首を一通り観察した後、勅使河原は背後にいる氷上の方に向き直り、わずかに目を細めた。
「・・・ずいぶんな自信ね。負けるのは、あなたなのかもしれないわよ」
勅使河原を見返しながら、氷上は自らの両腕に装着した鉤爪を構えた。擬体化した際の、彼女の武器は、この両腕に装着された鉤爪ー近接攻撃及びスピードファイター型の氷上にとってはうってつけの武器ともいえる。
「あら、ずいぶんと似合っているわね・・・氷上さん」
氷上は、両腕の鉤爪をこれ見よがしに勅使河原に突き出すと、
「先ほどまでのお返しは、存分にさせてもらうわ・・・覚悟なさい」
対する勅使河原は、悠然としたままで、
「・・・確かに、あなたにはよく似合っているとは思うけれど、でもだからと言って、それで私に勝てるとは思わないことね」
勅使河原は、その場に立ち尽くしたまま、両手を開き、そこから例の鋼線を出現させた。
「さっきまでの鋼線とは思わないことね・・・こちらは擬体化によってさらに強靭かつ柔軟になっているわ・・・つまりは、先ほどのものにあっけなく縛られてしまったあなたに勝ち目はないということよ」
まるで、勅使河原の意志に反応しているかのように、銀色に輝く鋼の糸が怪しく蠢いていた。もしかしたら、実際に彼女の意志のままに操れるものなのかもしれない。
「やってみなければわからないわ」
氷上は、自らの中に生まれた不安を打ち消すかの如く叫び、勅使河原に突進していった。
「氷上亜美対勅使河原マヤ、勝負開始!」
ジャッジの声が、公園内に響き渡った。
「この島の建物や公共物は、全て日本のものをまねられたらしいわね」
見たところ、この公園も日本のどこの町にでもあるありふれたものだったーただ、公園ではあるものの、そこは憩いの場として活用されることは今後もないと言っていいだろう。
「あら、先客がいたようね・・・」
勅使河原が、公園のブランコの上にある物を見て、かすかに口元を歪めた。
そこにあるのは、首ーやはり美しい少女の首が、なんとブランコの上に置かれていたのだった。
「首札によると・・・赤石絵里さんというのかしら・・・この子も綺麗ね」
切断され、晒されていた首は、うつろな表情で公園に入り込んできた勅使河原と氷上を見つめ続けていたー実際には、もはや何も映ってはいない瞳だったが、なぜか見つめられているような気がしてしまう。この辺りが、一般人から見れば生首というものが気色悪いとされる所以だろう。
ブランコがわずかでも揺れれば、赤石絵里の首は地面に落ちて転がるだろうが、それでもかまわず、この戦いの勝利者はここに置いたのだろう。
「勝利者の姿は・・・もういないわね。一度見てみたかったわ」
公園の中に、赤石絵里を殺した勝利者の姿はなく、既にここから立ち去ったみたいだ。近くを見回してみると、公園に生えている大きな樹の根元に、首のない制服姿の死体がある。樹に寄りかかるようになっていることから、わざわざ勝利者がこの赤石絵里の胴体をそのようにしたーということだろう。
この赤石絵里の相手をした人物は、なかなか手の込んだことを好んでいるのかもしれない。
「次は、あなたの番かしら?氷上さん」
赤石絵里の生首を一通り観察した後、勅使河原は背後にいる氷上の方に向き直り、わずかに目を細めた。
「・・・ずいぶんな自信ね。負けるのは、あなたなのかもしれないわよ」
勅使河原を見返しながら、氷上は自らの両腕に装着した鉤爪を構えた。擬体化した際の、彼女の武器は、この両腕に装着された鉤爪ー近接攻撃及びスピードファイター型の氷上にとってはうってつけの武器ともいえる。
「あら、ずいぶんと似合っているわね・・・氷上さん」
氷上は、両腕の鉤爪をこれ見よがしに勅使河原に突き出すと、
「先ほどまでのお返しは、存分にさせてもらうわ・・・覚悟なさい」
対する勅使河原は、悠然としたままで、
「・・・確かに、あなたにはよく似合っているとは思うけれど、でもだからと言って、それで私に勝てるとは思わないことね」
勅使河原は、その場に立ち尽くしたまま、両手を開き、そこから例の鋼線を出現させた。
「さっきまでの鋼線とは思わないことね・・・こちらは擬体化によってさらに強靭かつ柔軟になっているわ・・・つまりは、先ほどのものにあっけなく縛られてしまったあなたに勝ち目はないということよ」
まるで、勅使河原の意志に反応しているかのように、銀色に輝く鋼の糸が怪しく蠢いていた。もしかしたら、実際に彼女の意志のままに操れるものなのかもしれない。
「やってみなければわからないわ」
氷上は、自らの中に生まれた不安を打ち消すかの如く叫び、勅使河原に突進していった。
「氷上亜美対勅使河原マヤ、勝負開始!」
ジャッジの声が、公園内に響き渡った。
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