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第4章 更なる戦い
第127話 楽園の屍血山河
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「おやおや・・・先ほどの首なしどもの頭の方を見つけたようだよ」
優華が、その黒々とした瞳をわずかに細めた。隣に立つ静も眉をひそめて3つの生首を見下ろしている。
廃墟の中庭ーおそらくは休憩用に設けられた古びたベンチという設定だろうがーのベンチには、3つの首が並んでおかれていた。
普通なら、この光景を見るだけで吐き気を催すものだが、優香も静も、落ち着き払った様子で観察している。
「おかっぱ頭、ギャル風、サイドテール・・・こりゃまた個性的な組み合わせだな・・・見事に接点がない」
優華は、鉄扇を閉じ、その先端で、軽く生首たちの頭を小突く。その様子を見て、少しだけ静が引いていた。
「接点と言えば、この子たちがあの中の首なし死体だというのなら、3人とも同じ高校出身ってことですよね」
廃墟の1階で瓦礫だらけの床に倒れていた首なし死体は、いずれも同じ高校の制服を着ていた。
「こいつらは、間違いなくあの首なしどもの成れの果てだよ・・・私の鼻がそう言ってる」
優華の嗅覚は、擬体の残滓を嗅ぎ分けることに特化している。この敗北者たちが戦いの際にまとっていた擬体の成分は、残り香として優華に嗅ぎ取られていた。
「こいつらはこの廃墟で戦い、そして負けて首を刎ねられた。やられた順番としては、おかっぱ、ギャル風、サイドテールだ・・・それにしても、3人ともよほど悔しかったのかねぇ。なんというか、表情がきついな」
優華の指摘したとおり、3人の首は「屈辱」と「怒り」に満ちたものだった。
「負けたのがよほど信じられなかったのでしょうね・・・自分たちがレイプした相手に負けるなんて、さすがに屈辱だったとは思います」
「だろうな・・・だが、それは相手を見くびったこいつらの自業自得だ・・・別に同情するようなものでもないさ」
ベンチに置かれた3人の首は、もはや何も語ることはない。ただ、死ぬ直前の表情をそのまま残し続けるのみである。
廃墟の中庭に、どことなく生ぬるさを伴った風が吹いていた。その風に、この3人の血の匂いも混じっているのがよくわかる。鉄分を含んだ臭いが優香の鼻を刺激し、優華は少し眉をひそめた。
ただ死臭はない。なぜなら、運営側に投与された防腐措置により、肉体の腐敗や死臭漏洩が起こらないように手を加えられているからだ。
つまりは、決して朽ちることのない屍ー不滅の骸なのだった。
辺りに漂う血の匂いを嗅ぎながら、優華はポツリと呟いた。
「屍血山河・・・」
「え・・・?」
優華の呟いた言葉に思わず振り返る静。
優華は口元を開いた鉄扇で覆い隠しながら、
「このアルカディア島の今の状況さ・・・そこらに血を噴き上げる胴体やら生首やらが転がっているこの島は、楽園と銘打ちながら、実は屍血山河の地獄ってわけさ。案外、楽園と地獄は近いところに存在するものだ」
「天国に一番近い生き地獄・・・」
静の呟きに、閉じた鉄扇の先端を静に向けながら、
「まさに、それだな。そういう場所に、今の私たちはいるってことさ」
「・・・」
優華の言葉に、改めて自分がい参る場所がどういうところなのかを実感する静だった。
優華が、その黒々とした瞳をわずかに細めた。隣に立つ静も眉をひそめて3つの生首を見下ろしている。
廃墟の中庭ーおそらくは休憩用に設けられた古びたベンチという設定だろうがーのベンチには、3つの首が並んでおかれていた。
普通なら、この光景を見るだけで吐き気を催すものだが、優香も静も、落ち着き払った様子で観察している。
「おかっぱ頭、ギャル風、サイドテール・・・こりゃまた個性的な組み合わせだな・・・見事に接点がない」
優華は、鉄扇を閉じ、その先端で、軽く生首たちの頭を小突く。その様子を見て、少しだけ静が引いていた。
「接点と言えば、この子たちがあの中の首なし死体だというのなら、3人とも同じ高校出身ってことですよね」
廃墟の1階で瓦礫だらけの床に倒れていた首なし死体は、いずれも同じ高校の制服を着ていた。
「こいつらは、間違いなくあの首なしどもの成れの果てだよ・・・私の鼻がそう言ってる」
優華の嗅覚は、擬体の残滓を嗅ぎ分けることに特化している。この敗北者たちが戦いの際にまとっていた擬体の成分は、残り香として優華に嗅ぎ取られていた。
「こいつらはこの廃墟で戦い、そして負けて首を刎ねられた。やられた順番としては、おかっぱ、ギャル風、サイドテールだ・・・それにしても、3人ともよほど悔しかったのかねぇ。なんというか、表情がきついな」
優華の指摘したとおり、3人の首は「屈辱」と「怒り」に満ちたものだった。
「負けたのがよほど信じられなかったのでしょうね・・・自分たちがレイプした相手に負けるなんて、さすがに屈辱だったとは思います」
「だろうな・・・だが、それは相手を見くびったこいつらの自業自得だ・・・別に同情するようなものでもないさ」
ベンチに置かれた3人の首は、もはや何も語ることはない。ただ、死ぬ直前の表情をそのまま残し続けるのみである。
廃墟の中庭に、どことなく生ぬるさを伴った風が吹いていた。その風に、この3人の血の匂いも混じっているのがよくわかる。鉄分を含んだ臭いが優香の鼻を刺激し、優華は少し眉をひそめた。
ただ死臭はない。なぜなら、運営側に投与された防腐措置により、肉体の腐敗や死臭漏洩が起こらないように手を加えられているからだ。
つまりは、決して朽ちることのない屍ー不滅の骸なのだった。
辺りに漂う血の匂いを嗅ぎながら、優華はポツリと呟いた。
「屍血山河・・・」
「え・・・?」
優華の呟いた言葉に思わず振り返る静。
優華は口元を開いた鉄扇で覆い隠しながら、
「このアルカディア島の今の状況さ・・・そこらに血を噴き上げる胴体やら生首やらが転がっているこの島は、楽園と銘打ちながら、実は屍血山河の地獄ってわけさ。案外、楽園と地獄は近いところに存在するものだ」
「天国に一番近い生き地獄・・・」
静の呟きに、閉じた鉄扇の先端を静に向けながら、
「まさに、それだな。そういう場所に、今の私たちはいるってことさ」
「・・・」
優華の言葉に、改めて自分がい参る場所がどういうところなのかを実感する静だった。
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