百合斬首～晒しな日記～

第4章 更なる戦い

第191話 再び紫苑と静

　話は再び風間静と朝比奈紫苑との戦いに戻る。
「さて・・・そろそろ決着かな」
　薄紫の髪の少女の気配が去ったことを確認し、再び静と紫苑の戦いへと目を向ける優香。
　玄人と素人ー力の差は歴然なのだが、逆に戦いにくい。
　だが、その膠着状態もそろそろ終わりに近づいているようだ。
　確かに、静にとって紫苑は戦いにくい相手ではあるのだが、それでも着実に紫苑を追い込んでいる。一方で、紫苑の方は段々動きが鈍ってきている。力量の差は、そのままお互いの耐久力の差にも反映されていた。
　つまりは、このまま戦いを続けても、いずれ紫苑は負ける。
「あの紫苑って子も結構可愛いね・・・いいなあ、静お姉さんは・・・あんな綺麗な子とエッチなことをしたんでしょう？」
　紫苑の敗北が濃厚になってきたのを見て、ヒナが残念そうに呟く。敗北者は、そのまま斬首ー当然、未来永劫のお別れである。
「仕方がないよ、子猫ちゃん・・・今回はお静に譲ってやるんだ。いずれ、君にお似合いの綺麗どころと会えるさ、きっと」
　さらに言えば、この大会には美しい娘しか参加資格はないので、出場している限りは必ずそう言う相手と当たるようになっている。
「ていうか、君は私ら以上に堪能してるだろ？今までに・・・まだ食い足りないのかい？」
　優華は2人倒している。それに対してヒナは確実に3人以上殺しているはずだ。
　さすがに、あの薄紫の髪の少女のように3対1で勝負したというわけではないようだが、それでもこの短期間においてこれだけの成果を上げられたというのは明らかに上位者に属するだろう。
　もちろん、戦闘だけでなく、性行為についても・・・だが。
「・・・まだまだ足りない。もっと気持ちいいことしたいし、戦いたい」
　性的快楽と自らの生命を懸けたバトルがもたらす愉悦。
　一度味わってしまえば、そう簡単には抜けることはない。
　ーこの子猫ちゃんは・・・天然だねえー
　天性の才能や資質を持つ者はまれに存在する。このヒナがまさにそうなのだろう。外見は、常に眠そうな半眼で、小柄な少女なのだが（そしてやたらに女性特有の凹凸が目立つのだが）、戦いのセンスや性的欲求の強さは神がかり的なものを有している。
　最初に出会った時に擬体なしで軽くやり合った程度でも、その強さを十分実感できた。
　ーただ、天然ゆえに怖いところもあるんだよなー
　優華の言う「怖い」とは、単純な強さだけでなく、向う見ずという意味も含まれている。先ほどの薄紫の髪の少女もそうだが、例え相手が自分の実力以上であったとしても、この子は平気で突っ込んでいこうとするだろう。
　先ほども、優香が止めていなければ、実際に突っ込んでいったはずだ。
　尤も、その末路は高い確率で晒し首になっていただろうが。
　ーまだまだあいつには適わないだろうなぁ、私も子猫ちゃんも、もちろんお静もー
　今はまだ戦う時ではないー
「・・・あっ！？」
「む？」
　優華が考え事をしていると、突然ヒナが声を上げた。そちらの方を窺ってみるとー
「ようやく、決着が着いたか」
　たった今、長い戦いの勝敗が決したようだったー