百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

文字の大きさ
202 / 499
第4章 更なる戦い

第201話 後輩との情事7

しおりを挟む
「先輩、あたしのこと、抱いてくれますよね?」
 先ほどまで中の様子を確認していた古民家を模した建物ーその中の居間に当たる場所で、金髪の少女と唯が向かい合っていた。
「先輩の「初めて」を、ようやくあたしが独占できるんですね・・・」
 唯が期待のあまり、自らの頬を紅潮させているのに対し、金髪の少女の表情は晴れなかった。
「唯・・・お前、本当にいいのか?あたしとここでやり合ったら、その後は・・・」
 お互いが性行為に及んだ後、絶頂を迎えれば、その後に待つのはお互いの首を懸けた戦いだけだ。どちらかが確実に命を落とすことになる。
「あたしは、もう覚悟はできてますよ、先輩」
 唯が、今までとは打って変わって表情を引き締めながら、金髪の少女の問いかけに答えた。
「あたしが先輩に勝つのは難しいかもしれません。あなたはとても強いから・・・でも、ただ負けるつもりもないし、あなたのことは、誰にも渡したくはありませんから・・・だからこそあなたと戦うんです。もし、あたしが負けても、あなたの「最初」の人になれるのなら、それは本望です。特に、あの人にだけは絶対に、ソレを譲るつもりはありません」
 唯の真剣なまなざしが、その覚悟が本当のものであるということを物語っていた。
 唯自身の決心は、揺らぐことはなさそうだった。
「・・・そうまでして、お前・・・」
 生前の唯の姿からは信じられない様子に、金髪の少女ももはや説得の余地は残されていないということを痛感した。
 日本にいた頃の唯は、どちらかというとまるで口から生まれて来たかのようにやたらに喋る女だった。どこか軽薄な奴だと思いながら、それでも愛嬌の良さもあって、金髪の少女も自然と彼女のことを受け入れるようになっていったのだった。
 その時は、まさか唯が自分に好意を抱いていたとは、思いもよらなかった。
 今日、唯の言葉を改めて聞かされて、そういえば、そうだったのかなと思える時は確かにあった。とはいえ、あのまま日本で平穏な生活を送っていたならば。絶対に気が付くことはなかったであろう。
「先輩の「初めて」になれるなら、あたし死んでもいいです・・・もちろん、本当は死にたくはありませんけどね」
 唯が手を伸ばしてくる。その手を・・・
「わかった」
 金髪の少女はその手を取った。
「あたしが・・・お前の「初めて」になってやる。あたしにできるのは、今はそれくらいしかない」
 金髪の少女の言葉に、唯がはにかんだ笑みを浮かべた。自分の願いが叶ったという喜びと、その後、勝敗の如何を問わず、永遠の別れが待っているという残酷な現実を痛感したかのような悲しみが入り混じったような、複雑な笑み。
「・・・ありがとうございます、先輩。今日ほど嬉しい日はないです」
 唯の言葉は、まるで遺言のようにも感じさせられて、金髪の少女は胸が締め付けられるような思いがしたー
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

処理中です...