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第4章 更なる戦い
第201話 後輩との情事7
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「先輩、あたしのこと、抱いてくれますよね?」
先ほどまで中の様子を確認していた古民家を模した建物ーその中の居間に当たる場所で、金髪の少女と唯が向かい合っていた。
「先輩の「初めて」を、ようやくあたしが独占できるんですね・・・」
唯が期待のあまり、自らの頬を紅潮させているのに対し、金髪の少女の表情は晴れなかった。
「唯・・・お前、本当にいいのか?あたしとここでやり合ったら、その後は・・・」
お互いが性行為に及んだ後、絶頂を迎えれば、その後に待つのはお互いの首を懸けた戦いだけだ。どちらかが確実に命を落とすことになる。
「あたしは、もう覚悟はできてますよ、先輩」
唯が、今までとは打って変わって表情を引き締めながら、金髪の少女の問いかけに答えた。
「あたしが先輩に勝つのは難しいかもしれません。あなたはとても強いから・・・でも、ただ負けるつもりもないし、あなたのことは、誰にも渡したくはありませんから・・・だからこそあなたと戦うんです。もし、あたしが負けても、あなたの「最初」の人になれるのなら、それは本望です。特に、あの人にだけは絶対に、ソレを譲るつもりはありません」
唯の真剣なまなざしが、その覚悟が本当のものであるということを物語っていた。
唯自身の決心は、揺らぐことはなさそうだった。
「・・・そうまでして、お前・・・」
生前の唯の姿からは信じられない様子に、金髪の少女ももはや説得の余地は残されていないということを痛感した。
日本にいた頃の唯は、どちらかというとまるで口から生まれて来たかのようにやたらに喋る女だった。どこか軽薄な奴だと思いながら、それでも愛嬌の良さもあって、金髪の少女も自然と彼女のことを受け入れるようになっていったのだった。
その時は、まさか唯が自分に好意を抱いていたとは、思いもよらなかった。
今日、唯の言葉を改めて聞かされて、そういえば、そうだったのかなと思える時は確かにあった。とはいえ、あのまま日本で平穏な生活を送っていたならば。絶対に気が付くことはなかったであろう。
「先輩の「初めて」になれるなら、あたし死んでもいいです・・・もちろん、本当は死にたくはありませんけどね」
唯が手を伸ばしてくる。その手を・・・
「わかった」
金髪の少女はその手を取った。
「あたしが・・・お前の「初めて」になってやる。あたしにできるのは、今はそれくらいしかない」
金髪の少女の言葉に、唯がはにかんだ笑みを浮かべた。自分の願いが叶ったという喜びと、その後、勝敗の如何を問わず、永遠の別れが待っているという残酷な現実を痛感したかのような悲しみが入り混じったような、複雑な笑み。
「・・・ありがとうございます、先輩。今日ほど嬉しい日はないです」
唯の言葉は、まるで遺言のようにも感じさせられて、金髪の少女は胸が締め付けられるような思いがしたー
先ほどまで中の様子を確認していた古民家を模した建物ーその中の居間に当たる場所で、金髪の少女と唯が向かい合っていた。
「先輩の「初めて」を、ようやくあたしが独占できるんですね・・・」
唯が期待のあまり、自らの頬を紅潮させているのに対し、金髪の少女の表情は晴れなかった。
「唯・・・お前、本当にいいのか?あたしとここでやり合ったら、その後は・・・」
お互いが性行為に及んだ後、絶頂を迎えれば、その後に待つのはお互いの首を懸けた戦いだけだ。どちらかが確実に命を落とすことになる。
「あたしは、もう覚悟はできてますよ、先輩」
唯が、今までとは打って変わって表情を引き締めながら、金髪の少女の問いかけに答えた。
「あたしが先輩に勝つのは難しいかもしれません。あなたはとても強いから・・・でも、ただ負けるつもりもないし、あなたのことは、誰にも渡したくはありませんから・・・だからこそあなたと戦うんです。もし、あたしが負けても、あなたの「最初」の人になれるのなら、それは本望です。特に、あの人にだけは絶対に、ソレを譲るつもりはありません」
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唯自身の決心は、揺らぐことはなさそうだった。
「・・・そうまでして、お前・・・」
生前の唯の姿からは信じられない様子に、金髪の少女ももはや説得の余地は残されていないということを痛感した。
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その時は、まさか唯が自分に好意を抱いていたとは、思いもよらなかった。
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「先輩の「初めて」になれるなら、あたし死んでもいいです・・・もちろん、本当は死にたくはありませんけどね」
唯が手を伸ばしてくる。その手を・・・
「わかった」
金髪の少女はその手を取った。
「あたしが・・・お前の「初めて」になってやる。あたしにできるのは、今はそれくらいしかない」
金髪の少女の言葉に、唯がはにかんだ笑みを浮かべた。自分の願いが叶ったという喜びと、その後、勝敗の如何を問わず、永遠の別れが待っているという残酷な現実を痛感したかのような悲しみが入り混じったような、複雑な笑み。
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