百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

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第4章 更なる戦い

第246話 勅使河原の挑戦2

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 勅使河原は、獲物に飢えていたー
 勅使河原が氷上亜美を殺害し、その首を他の参加者のものと「連結」させたのはつい最近のことである。彼女としては、日本にいた時には絶対生み出すことのできなかった傑作なのだが、それでも彼女はまだ満足しきることができず、こうして街を徘徊していたのだった。
 本当は、あの廃校を塒にしている天内葉月という少女に狙いを定めていたのだが、彼女の周りには最強クラスの使い手である一条紗耶香が守りを固めている。
 生前も、この島に来てからも、自分の命を特に惜しいとも思ったことはないが、せっかくたくさんの「工芸品」を作れる機会を得られた以上、そうむざむざと死ぬわけにもいかなくなった。よって、格下の相手を狙って街を徘徊していたのだった。
「あのくのいちの子もいいわね・・・今度は逃がさないわ」
 先ほどは目くらましを食らったせいで取り逃がしてしまったが、次は同じ手は喰わないー勅使河原はかすかに笑みを浮かべると、先ほどまであのくのいちがいたであろう場所を確認する。
 あのくのいちに鋼線を投げかけた時、わずかではあるが、相手に接触したという手ごたえを感じた。つまりは、自分の攻撃は十分彼女に届くということを意味していたのだった。
 ー今度は油断なく、確実に仕留めるー
 勅使河原は再び静寂の街の通りに出る。平日の昼間だというのに、人っ子一人見当たらないという街の姿に、普通の人間は異様なものを感じるが、勅使河原自身はむしろ煩わしい喧騒から離れることができてありがたいという感覚であった。
 ただ、問題があるとすれば、やはり獲物になかなか出会えないということだろうか。
 更なる「工芸品」を生み出すには、やはりその「材料」となる存在は必要だ。だが、肝心の相手がなかなか現れないーそれは、彼女の中に密かに焦りを生み出してもいた。
 勅使河原のペナルティはかなり先のことだろうが、ペナルティとは関係なしに、一刻も早く獲物に遭遇したかった。
「もし・・・他の参加者たちがどこかにまとめて収容されているというのなら・・・」
 大会参加者の総数が、正確にはどれくらいなのか勅使河原にはわからないものの、島1つを使ってデスゲームをやらせるくらいなのだから、かなりの人数に上るのは明らかだろう。
 他の街に参加者が移動した可能性もあるが、いくら何でも大移動したわけでもないだろう。
「可能性があるのなら・・・大勢の人数を収容できるような施設ね」
 この辺りに存在する収容施設で思い当たるものは、結局のところ刑務所くらいしかない。
「まさか、ね・・・」
 あそこなら、外界から隔絶されている上に一度に多くの人間を収容できるので、確かに条件としては会っているだろうが・・・。
「・・・確かめてみようかしらね」
 少し歩けば、おあつらえ向きの刑務所がある。様子を窺ってみても損はないだろう。
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