百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

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第4章 更なる戦い

第277話 彩木穂乃果8

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 車内アナウンスが、もう間もなくの次の駅への到着を予告していた。あとわずか数分で、次の駅に到着する。
「あら・・・もう着いちゃうの?もう少し焦らしたいところだったのに」
 眼鏡の少女が心底残念そうに呟く。
 穂乃果は、早くイカせてほしいと思う気持ちと戦いにはなりたくないという気持ちが半々となっていた。肉欲と理性との葛藤である。
 ーああ・・・ー
 ここでイケば、その次に待つのはお互いの首を懸けた戦いだけだ。穂乃果には戦う自信などなかった。かといって、ここまで犯されてイカせてもらえないというのは、体の方が耐えられなかった。
 自分がいかに卑猥な人間であるかを思い知らされる一方、このまま快楽に身を委ねてしまってもいいとさえ思えてきた。小川明子のことを忘れたわけではないが、目先の快楽に、穂乃果の思考力が段々薄れていく。
 ーこの後、戦いさえなければいいのにー
 戦いが始まれば、もう逃れることはできないだろう。負ければ当然、晒し首だ。小川明子に再会することも叶わず、死を迎えて晒し者になるー
 ーそんなのはいや。でも・・・ー
 それが嫌なら自らが戦いに勝ち、相手の首級を上げなければならない。つまり、相手を「殺す」ことになる。しかしー
 ーいくらなんでも、人殺しなんて・・・ー
 いくら強要されているとはいえ、自分に相手を殺すことなんて、到底できそうにないかった。たとえそれが、今しがた自分の処女を奪った忌むべき相手であったとしてもだ。
 つい最近まで、普通の女子高生として過ごしてきた自分には、人殺しなんてできるわけない。今更ながらに、何で自分はこんなことに巻き込まれてしまったのだろう。
 そんな穂乃果の胸中も知らずといった様子で、眼鏡の少女は嬉々として、
「仕方がないわねぇ。あと数分で隣の駅に着いちゃうようだし、そろそろイキましょうか?」
 残忍に口角を釣り上げながら言った。口元ばかりではなく、瞳にも凌辱者特有の剣呑さといやらしさが入り混じっている。
 口では仕方がないと言いつつも、実は彼女も早くイキたくてしょうがない気持ちもあった。さっきから、ずっと寸止め状態のままなのである。もう少し穂乃果の体を堪能てやろうかとも思っていたが、確かにそろそろ「頃合」になってきているのかもしれない。
 このまま寸止めし続けるのは難しい。
「私、もう我慢できないわ・・・イッてもいいわよね?」
 眼鏡の少女が、穂乃果に対して今までよりも静かな声で問いかけてくる。いや、問いかけというよりも、確認といった方がいいのかもしれない。もう、穂乃果の中に出すことは決定済みだ。たとえ穂乃果がどれだけ抗おうとも、それは変わらない。
「んんん・・・」
 穂乃果は返事をできずにいる。眼鏡の少女は、それを「肯定」ととらえた。いや、拒否されたとしても解放するつもりは元からないのだが。
「いいわね、それじゃあ、イクわよぉ!」
「んんああああっ!!」
 穂乃果の喘ぎ声が、そして、眼鏡の少女の哄笑が、無人の街をひた走る電車の車内に響き渡った。
 再びアナウンスが繰り返されたー
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