305 / 499
第4章 更なる戦い
第304話 彩木穂乃果35
しおりを挟む
その時、穂乃果の右手が動いたー
「・・・えっ!?」
穂乃果の右手が、眼鏡の少女の足首を掴んだのだ。全く予期していなかった穂乃果の動きに、眼鏡の少女は対応できず、そのまま右足を持ち上げられるーつまり、穂乃果に足をすくわれる形となった。
「あうっ・・・!!」
今度は、眼鏡の少女が悲鳴を上げる番だった。
「な・・・!?」
よもや、自分が尻もちをつかされるだなんて、夢にも思っていなかった。擬体に覆われているために、尻もちをついた際の痛みはなかったものの、その衝撃は身体に伝わってくる。
ここから、穂乃果の動きは速かった。
眼鏡の少女を転ばせた後、すぐに、自分の擬体化剣を回収するべく駆け出した。
「・・・ふうっ」
穂乃果は、青白い光を放ち続ける自らの擬体化剣を拾い、そのまま眼鏡の少女めがけて突進していった。
「・・・っ!!」
眼鏡の少女が立ち上がろうとする。だが、一瞬遅かった。
「はあああっ!!」
穂乃果の一撃が振り下ろされる。
「ーーー擬体破損率15%」
ジャッジの音声が響き渡った。
「おおっ!?」
アエローをはじめ、看守トリオが驚愕の歓声を上げていた。
「あいつ・・・ついにやったぞ!!」
今まで、さんざんのように弄ばれ、追いつめられていた穂乃果が、一転して反撃に躍り出たのだ。しかも、与えたダメージは穂乃果の方が大きい。少なくとも、擬体破損率の割合だけで見れば、穂乃果が逆転したというのは紛れもない事実だった。
「へえ、まさか、ここにきてとんだ番狂わせってわけか」
オキュペテーが、顎に手を当てながら、なんとも愉快そうに口角を釣り上げた。
「まあ、一方的な勝負ってのもあまり面白くはないからなぁ。つか、あの赤毛、本当はめっちゃ強いんじゃね?」
ケライノーがそう評価するのも無理はなかった。少なくとも、先ほどの動きは、とても素人のそれとは思えなかった。
もし、今の穂乃果が自分の敵として目の前に立ちはだかったならーそして、あの動きで来られたら、もしかしたら、あの眼鏡の少女のように大きなダメージを受けていたかもしれない。
「あの眼鏡は、確かに油断してたけどさ・・・でも、あの赤毛が呆けてたように見えたのも確かなんだよな・・・あれすらも、あの赤毛の演技だったのか?」
アエローの問いかけに、唸ることしかできないオキュペテーとケライノー。
「さあ・・・見たところ、演技ってわけでもなさそうだけど・・・なんていうか、追いつめられたら本気出す、みたいなもんじゃね?」
「まあ、世の中には追いつめられて火事場の馬鹿力みたいなものを出すやつもいるからな」
結局は、曖昧な答えしか思いつかなかった。
「しっかし、これで勝負の行方はますますわかんなくなってきたぞ」
ケライノーの言葉にうなずく2人。
果たして、穂乃果の逆転は成るのか、それともー
「・・・えっ!?」
穂乃果の右手が、眼鏡の少女の足首を掴んだのだ。全く予期していなかった穂乃果の動きに、眼鏡の少女は対応できず、そのまま右足を持ち上げられるーつまり、穂乃果に足をすくわれる形となった。
「あうっ・・・!!」
今度は、眼鏡の少女が悲鳴を上げる番だった。
「な・・・!?」
よもや、自分が尻もちをつかされるだなんて、夢にも思っていなかった。擬体に覆われているために、尻もちをついた際の痛みはなかったものの、その衝撃は身体に伝わってくる。
ここから、穂乃果の動きは速かった。
眼鏡の少女を転ばせた後、すぐに、自分の擬体化剣を回収するべく駆け出した。
「・・・ふうっ」
穂乃果は、青白い光を放ち続ける自らの擬体化剣を拾い、そのまま眼鏡の少女めがけて突進していった。
「・・・っ!!」
眼鏡の少女が立ち上がろうとする。だが、一瞬遅かった。
「はあああっ!!」
穂乃果の一撃が振り下ろされる。
「ーーー擬体破損率15%」
ジャッジの音声が響き渡った。
「おおっ!?」
アエローをはじめ、看守トリオが驚愕の歓声を上げていた。
「あいつ・・・ついにやったぞ!!」
今まで、さんざんのように弄ばれ、追いつめられていた穂乃果が、一転して反撃に躍り出たのだ。しかも、与えたダメージは穂乃果の方が大きい。少なくとも、擬体破損率の割合だけで見れば、穂乃果が逆転したというのは紛れもない事実だった。
「へえ、まさか、ここにきてとんだ番狂わせってわけか」
オキュペテーが、顎に手を当てながら、なんとも愉快そうに口角を釣り上げた。
「まあ、一方的な勝負ってのもあまり面白くはないからなぁ。つか、あの赤毛、本当はめっちゃ強いんじゃね?」
ケライノーがそう評価するのも無理はなかった。少なくとも、先ほどの動きは、とても素人のそれとは思えなかった。
もし、今の穂乃果が自分の敵として目の前に立ちはだかったならーそして、あの動きで来られたら、もしかしたら、あの眼鏡の少女のように大きなダメージを受けていたかもしれない。
「あの眼鏡は、確かに油断してたけどさ・・・でも、あの赤毛が呆けてたように見えたのも確かなんだよな・・・あれすらも、あの赤毛の演技だったのか?」
アエローの問いかけに、唸ることしかできないオキュペテーとケライノー。
「さあ・・・見たところ、演技ってわけでもなさそうだけど・・・なんていうか、追いつめられたら本気出す、みたいなもんじゃね?」
「まあ、世の中には追いつめられて火事場の馬鹿力みたいなものを出すやつもいるからな」
結局は、曖昧な答えしか思いつかなかった。
「しっかし、これで勝負の行方はますますわかんなくなってきたぞ」
ケライノーの言葉にうなずく2人。
果たして、穂乃果の逆転は成るのか、それともー
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~
楠富 つかさ
恋愛
中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。
佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。
「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」
放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。
――けれど、佑奈は思う。
「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」
特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。
放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。
4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる