百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

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第4章 更なる戦い

第304話 彩木穂乃果35

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 その時、穂乃果の右手が動いたー
「・・・えっ!?」
 穂乃果の右手が、眼鏡の少女の足首を掴んだのだ。全く予期していなかった穂乃果の動きに、眼鏡の少女は対応できず、そのまま右足を持ち上げられるーつまり、穂乃果に足をすくわれる形となった。
「あうっ・・・!!」
 今度は、眼鏡の少女が悲鳴を上げる番だった。
「な・・・!?」
 よもや、自分が尻もちをつかされるだなんて、夢にも思っていなかった。擬体に覆われているために、尻もちをついた際の痛みはなかったものの、その衝撃は身体に伝わってくる。
 ここから、穂乃果の動きは速かった。
 眼鏡の少女を転ばせた後、すぐに、自分の擬体化剣を回収するべく駆け出した。
「・・・ふうっ」
 穂乃果は、青白い光を放ち続ける自らの擬体化剣を拾い、そのまま眼鏡の少女めがけて突進していった。
「・・・っ!!」
 眼鏡の少女が立ち上がろうとする。だが、一瞬遅かった。
「はあああっ!!」
 穂乃果の一撃が振り下ろされる。
「ーーー擬体破損率15%」
 ジャッジの音声が響き渡った。

「おおっ!?」
 アエローをはじめ、看守トリオが驚愕の歓声を上げていた。
「あいつ・・・ついにやったぞ!!」
 今まで、さんざんのように弄ばれ、追いつめられていた穂乃果が、一転して反撃に躍り出たのだ。しかも、与えたダメージは穂乃果の方が大きい。少なくとも、擬体破損率の割合だけで見れば、穂乃果が逆転したというのは紛れもない事実だった。
「へえ、まさか、ここにきてとんだ番狂わせってわけか」
 オキュペテーが、顎に手を当てながら、なんとも愉快そうに口角を釣り上げた。
「まあ、一方的な勝負ってのもあまり面白くはないからなぁ。つか、あの赤毛、本当はめっちゃ強いんじゃね?」
 ケライノーがそう評価するのも無理はなかった。少なくとも、先ほどの動きは、とても素人のそれとは思えなかった。
 もし、今の穂乃果が自分の敵として目の前に立ちはだかったならーそして、あの動きで来られたら、もしかしたら、あの眼鏡の少女のように大きなダメージを受けていたかもしれない。
「あの眼鏡は、確かに油断してたけどさ・・・でも、あの赤毛が呆けてたように見えたのも確かなんだよな・・・あれすらも、あの赤毛の演技だったのか?」
 アエローの問いかけに、唸ることしかできないオキュペテーとケライノー。
「さあ・・・見たところ、演技ってわけでもなさそうだけど・・・なんていうか、追いつめられたら本気出す、みたいなもんじゃね?」
「まあ、世の中には追いつめられて火事場の馬鹿力みたいなものを出すやつもいるからな」
 結局は、曖昧な答えしか思いつかなかった。
「しっかし、これで勝負の行方はますますわかんなくなってきたぞ」
 ケライノーの言葉にうなずく2人。
 果たして、穂乃果の逆転は成るのか、それともー
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