百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

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第4章 更なる戦い

第390話 ゲーム会場へようこそ30

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 御堂愛たち4人の少女の前に、見たこともない怪物が立ちはだかる。
「・・・っ!!」
「な、なんだよあれは・・・」
 思わず後退る4人。まさに、蛇に睨まれた蛙の如く、体が恐怖のために動かなくなっていた。
「まさか・・・あれが魔物なのか」
 児玉が顔を引きつらせながら、自分たちを睨みつけてくる化け物を見据えた。
 その化け物は、様々な生物の部位が複雑に合体したようなものだ。合成獣ー俗にキメラと呼称されている存在だった。
「ライオンみたいな胴体に、鷲みたいな翼・・・そして」
「人間の・・・しかも女の顔かよ」
 まるで、古代エジプトやギリシャ辺りの伝説に謳われたスフィンクスのような魔物だった。
「おいおい・・・ここは砂漠じゃねえだろ。なんであんなのが森の中をうろついてやがるんだよ」
「そんなん知るかよ!!あの陰険メイドにでも聞けって」
 大谷と神田が言い争っている間にも、キメラはこちらに向かって近づいてくる。大きさ的には熊と同じくらいなのだが、見た目に反して動きは結構素早いようだった。
 怪物の顔の造作自体は紛れもなく美形なのだが、しかし首から下が人間とは異なる部位で出てきているため、その美しさの分余計に不気味さがあふれている。長い金色の髪の毛を振り乱しながら、人語とは思えぬ唸り声を上げて迫ってくるではないか。
 これなら、まだしもエジプトにあるスフィンクス像の方が却って愛嬌あるわ、と御堂は思った。
 ーそういや、確かスフィンクスって謎かけをしてくるんだっけ?ー
 子供でも知っているような、有名な問いかけだ。その答えが「人間」であることもよく知られている。そして、答えられなかったものはスフィンクスに頭から食べられてしまう。
 ただ、目の前のこのキメラには、謎かけなどしてくるような気配はなかった。目の前に現れた4人の獲物に、今にも襲い掛かりそうな雰囲気である。
「おい・・・どうするよ」
 大谷が、狼狽えた視線を他の3人へと向ける。しかし、狼狽えているのは何も大谷ばかりではないのだ。
「どうするって・・・逃げるしかねえんじゃね?」
「逃がしてくれんのかよ、こいつ」
 神田の言う通り、目の前のキメラはとてもおとなしく解放してくれそうにはなかった。その琥珀色に輝く瞳をぎらつかせながら、こちらを鋭く見据えている。
「・・・こいつは、逃がしてくれそうにないね」
 御堂は、他の3人に顔を向けると、
「あたしらは今、擬体化装備が使えるんだよね?」
 御堂の言葉に、他の3人が一斉に反応した。
「はあ?まさか、こいつとやり合おうってのか?」
「冗談じゃないよ・・・あんなん勝てるわけないって!!」
「そもそも、あたしら擬体化武器なんて使ったことはないぞ」
 ーやれやれー
 かく言う御堂も、実際に擬体化武器を使うのは初めてのことになる。いきなりの実戦ーしかも相手は人外の化け物だ。
 ー果たして、やれるのか・・・ー
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