百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

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第4章 更なる戦い

第410話 ゲーム会場へようこそ50

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「あ~あ、今の状況、動画にしてアップしときたいなぁ」
 命がけのゲームー
 そのはずなのだが、当の少女には緊張感の欠片もなかった。頭の後ろで両腕を組み、かつて投稿していた動画サイトのことを思い出す。女性実況者として、それなりにフォロワーもつき、活躍していたものだった。
 日本にいた頃が懐かしいーこのアルカディア島では、外部に繋がるような連絡手段ーネットの類などは参加者には使えなくなっている。
 街並みや外観だけなら、令和の日本と変わりないが、ネットが使えないという点では70~80年代のバブル期とほぼ同じと言ってもいいかもしれない。
 尤も、この少女はその時代には生まれていないのだが。
「それにしても・・・ネット使えないなんてマジ不便よね・・・昔の人たちって、何やるにしても大変だったんだろうな」
 ネットの便利さになれてしまった世代からしてみれば、それ以前の世代の生活など想像のしようもなかった。
 少女は湖のほとりを何ともなく歩き続ける。
 見渡す限り、平和な光景ーとてもではないが、ここに自分の命を脅かす存在が現れるとは、到底思えなかった。
 だが、そんな見立ては甘かったと、少女はこのすぐ後に痛感することになる。
 湖よりほど近い雑木林ーその木陰から、湖の周辺をただ一人歩き回る少女の姿を見据えている者がいたのだ。
「・・・あれは、別チームの人間か」
 木陰から、油断なく見据えるその眼光は鋭い。少女と同じ制服姿だが、その身に纏っている雰囲気はとても同年代の女子高生のものとは思えないほど胡乱なものだった。
「ここで、始末しておくか・・・」
 このゲームはチーム対抗の競争である。そして、参加者同士の殺し合いついては、一切禁止されていない。
 さらには、性行為なしでも擬体を作り出し、戦うことができるのだ。となれば、不意打ちで敵の人数を減らすことも可能だろう。
 そして、彼女には暗殺者としての素質もあったー戸隠美鈴には。
「・・・参るか」
 いささか時代がかったセリフとともに、体を低くしながら少女に向かって突進していく戸隠。その動きは早く、まさに暗殺や隠密を主体としてきたものの動きを彷彿とさせた。
 一方、狙われた少女の方は、自分が襲撃されそうになっていることにすら気が付かず、相も変わらず呑気に湖の周りを散歩している。時折鼻唄交じりで、およそ緊張感の欠片もない。
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