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第4章 更なる戦い
第414話 ゲーム会場へようこそ54
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「む・・・?」
戸隠は、丸太小屋の外に何者かの気配を感じた。人数は一人。
「あれは・・・」
丸太小屋の窓ーと言っても、ガラスなど嵌めてあるわけでもなく、ただ外にそのまま開かれているだけのものなのだがーに近寄り、慎重に外の様子を窺ってみる。
「あれは、某と同じ組のものか・・・」
最初の段階で、ゲーム参加者たちの顔は把握している。メイドがこのゲームの説明をしている際に、自分の右隣にいた女子だったはずだ。
「どこに向かうつもりか・・・?」
外を歩く少女は、この丸太小屋を一瞥したものの、すぐに興味を失ったかの如くそのまま通り過ぎていく。
戸隠は、窓から離れると、ゆっくりと丸太小屋の扉を開けて、慎重に外に出る。同じチームではある以上、少なくともこのゲーム中では敵ではないのだが、それでもこの大会に参加している以上は、最終的には全員が敵となる。あまりなれ合うのもよろしくない。
戸隠は、音もなく尾行を開始した。あの少女がどこに向かっているのか、気になったからだ。
ー・・・この先には、確か・・・?ー
戸隠は、一応この近辺について、ある程度の範囲は把握している。確か、このまま行けば遺跡があったはずだ。遺跡と言っても、その作りは塔に近いもので、戸隠はその入り口までは確認したものの、中のことはわからない。
おそらく、この少女は、この先に何があるのかわからないだろう。
一方、その少女の方はというとー
ーあの湖のほとりの死体をやったやつが、この付近にいるかもしれないー
少女ー桐原真澄は、戸隠美鈴が殺した少女の首なし死体を見ていた。このゲーム会場に無理やり連れてこられて強制参加させられたため、忘れがちであったが、このゲームもまた、大会の一環なのだ。当然ながら、いつ自分も巻き込まれるか分かったものではない。
ただ、桐原には一度だけだが、実戦経験がある。このゲームに参加する前日のことだ。ペナルティのこともあり、焦り始めていた彼女がようやく見つけて仕留めた相手だった。
勝つことができたのは、幸いにも相手の腕がさほどでもなかったためである。偶然と幸運が重なった結果とも言えた。
だがー
ーあの死体をやったやつ、恐らくかなり強いー
死体とその周囲の状況を鑑みるに、恐らくは一瞬の勝負あったに違いない。戦闘があったにしては、周囲の地面に争ったような形跡が見られないからだ。
「・・・あれは?」
桐原の目が、たまたま近くを通りかかった丸太小屋へと向けられている。
一度中に入って休もうかとも思ったが、まだこの辺りに、さっきの死体をやったやつがいる可能性は否定できなかった。
桐原は、丸太小屋から離れることにする。
戸隠は、丸太小屋の外に何者かの気配を感じた。人数は一人。
「あれは・・・」
丸太小屋の窓ーと言っても、ガラスなど嵌めてあるわけでもなく、ただ外にそのまま開かれているだけのものなのだがーに近寄り、慎重に外の様子を窺ってみる。
「あれは、某と同じ組のものか・・・」
最初の段階で、ゲーム参加者たちの顔は把握している。メイドがこのゲームの説明をしている際に、自分の右隣にいた女子だったはずだ。
「どこに向かうつもりか・・・?」
外を歩く少女は、この丸太小屋を一瞥したものの、すぐに興味を失ったかの如くそのまま通り過ぎていく。
戸隠は、窓から離れると、ゆっくりと丸太小屋の扉を開けて、慎重に外に出る。同じチームではある以上、少なくともこのゲーム中では敵ではないのだが、それでもこの大会に参加している以上は、最終的には全員が敵となる。あまりなれ合うのもよろしくない。
戸隠は、音もなく尾行を開始した。あの少女がどこに向かっているのか、気になったからだ。
ー・・・この先には、確か・・・?ー
戸隠は、一応この近辺について、ある程度の範囲は把握している。確か、このまま行けば遺跡があったはずだ。遺跡と言っても、その作りは塔に近いもので、戸隠はその入り口までは確認したものの、中のことはわからない。
おそらく、この少女は、この先に何があるのかわからないだろう。
一方、その少女の方はというとー
ーあの湖のほとりの死体をやったやつが、この付近にいるかもしれないー
少女ー桐原真澄は、戸隠美鈴が殺した少女の首なし死体を見ていた。このゲーム会場に無理やり連れてこられて強制参加させられたため、忘れがちであったが、このゲームもまた、大会の一環なのだ。当然ながら、いつ自分も巻き込まれるか分かったものではない。
ただ、桐原には一度だけだが、実戦経験がある。このゲームに参加する前日のことだ。ペナルティのこともあり、焦り始めていた彼女がようやく見つけて仕留めた相手だった。
勝つことができたのは、幸いにも相手の腕がさほどでもなかったためである。偶然と幸運が重なった結果とも言えた。
だがー
ーあの死体をやったやつ、恐らくかなり強いー
死体とその周囲の状況を鑑みるに、恐らくは一瞬の勝負あったに違いない。戦闘があったにしては、周囲の地面に争ったような形跡が見られないからだ。
「・・・あれは?」
桐原の目が、たまたま近くを通りかかった丸太小屋へと向けられている。
一度中に入って休もうかとも思ったが、まだこの辺りに、さっきの死体をやったやつがいる可能性は否定できなかった。
桐原は、丸太小屋から離れることにする。
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