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大友ユウジは考えていた。ここ最近の出来事を。
今までやらなかったようなミスばかり起こる。普段の生活はほとんど問題がない。しかし、例えば次の日が面接だとする。すると決まって目覚まし時計が止まっている。電車が遅れる。酷い時には乗っていた電車が停まる。電車を諦めて歩き始めると、電車が動き出し、ため息をついて歩き出すと今度は道路工事で迂回を迫られる。エレベータは決まって点検中。階段ではお掃除の人が高確率でワックスをぶちまけている。運よく何事もななくたどり着いた日もあったが、面接官がうっかり忘れて出張に行ってしまっていた。なんていうことばかりだった。
偶然にしては不自然すぎる。ひょっとすると、失業したショックを引きずって気を病んだのかもしれない。医者に行こう。
思い立って出かけるが、案の定、電車が何回か停まり、病院に着けば休診という有様でその後、幾つかのクリニックをはしごしてやっとのことで今にも潰れそうな完全にはやっていない診療クリニックにたどり着いた。
「失業したショックで気を病んだんでしょうな」
その医者の言葉があまりにも素敵すぎたので10分ぐらい見つめ合ってしまった。
「先生、どうしたら治るんでしょう」
「さあ、私にもわかりません。全然、治療法が思いつかなんですよ。こんなこと初めてだ」
あまりにも呆れ返ってしまってそのクリニックを飛び出すと、晩飯でも食べて帰るためにラーメン屋に入った。
「ヘイ、いらっしゃい!」
威勢のよい掛け声に元気づけられ、医者なんか役に立たないもんだなと思った。
「キャ!」
アルバイトらしき女の子が可愛い悲鳴を出す。見るとグラスが水をぶちまけながらこっちに向かって飛んで来る。ユウジの額にコップが当たり、そのまま床に転がった。ずぶ濡れになった頭を抑えようとすると何故かそこに「ごめんなさい!」と飛び込んできたバイトの女の子の顔をつかんでそのままキスをしてしまう。女の子はカワイイ。が、一瞬で目をむいて鬼のような形相になり意味不明な悲鳴をあげて突き飛ばす。彼女は転がっているコップに足を取られて勢い良くずっ転ぶ。すると、その履いていたサンダルが宙を舞って食事中の客のラーメンどんぶりの中に突き刺さる。驚いた客が丼を宙に投げる。その肘が別の客に当たり、驚いた客が丼を宙に投げる。後はドミノのような連鎖だった。店中が麺とスープにまみれ、まるでラーメンという武器で戦いあった戦場のようだった。
立ち上がるものは脂で転び、すべてのものがスープの上で滑り遭った。
こんなことテレビ番組でやろうものなら絶対にクレームが来るであろう大惨事だった。
そして、そのまま食事をすることもなく着替えることも服を買い換えることも電車にもバスにもタクシーにも乗れずに歩いて家に帰るハメになった。
しかし、大友ユウジはカワイイ子とキスが出来たので、完全にやけていた。
今までやらなかったようなミスばかり起こる。普段の生活はほとんど問題がない。しかし、例えば次の日が面接だとする。すると決まって目覚まし時計が止まっている。電車が遅れる。酷い時には乗っていた電車が停まる。電車を諦めて歩き始めると、電車が動き出し、ため息をついて歩き出すと今度は道路工事で迂回を迫られる。エレベータは決まって点検中。階段ではお掃除の人が高確率でワックスをぶちまけている。運よく何事もななくたどり着いた日もあったが、面接官がうっかり忘れて出張に行ってしまっていた。なんていうことばかりだった。
偶然にしては不自然すぎる。ひょっとすると、失業したショックを引きずって気を病んだのかもしれない。医者に行こう。
思い立って出かけるが、案の定、電車が何回か停まり、病院に着けば休診という有様でその後、幾つかのクリニックをはしごしてやっとのことで今にも潰れそうな完全にはやっていない診療クリニックにたどり着いた。
「失業したショックで気を病んだんでしょうな」
その医者の言葉があまりにも素敵すぎたので10分ぐらい見つめ合ってしまった。
「先生、どうしたら治るんでしょう」
「さあ、私にもわかりません。全然、治療法が思いつかなんですよ。こんなこと初めてだ」
あまりにも呆れ返ってしまってそのクリニックを飛び出すと、晩飯でも食べて帰るためにラーメン屋に入った。
「ヘイ、いらっしゃい!」
威勢のよい掛け声に元気づけられ、医者なんか役に立たないもんだなと思った。
「キャ!」
アルバイトらしき女の子が可愛い悲鳴を出す。見るとグラスが水をぶちまけながらこっちに向かって飛んで来る。ユウジの額にコップが当たり、そのまま床に転がった。ずぶ濡れになった頭を抑えようとすると何故かそこに「ごめんなさい!」と飛び込んできたバイトの女の子の顔をつかんでそのままキスをしてしまう。女の子はカワイイ。が、一瞬で目をむいて鬼のような形相になり意味不明な悲鳴をあげて突き飛ばす。彼女は転がっているコップに足を取られて勢い良くずっ転ぶ。すると、その履いていたサンダルが宙を舞って食事中の客のラーメンどんぶりの中に突き刺さる。驚いた客が丼を宙に投げる。その肘が別の客に当たり、驚いた客が丼を宙に投げる。後はドミノのような連鎖だった。店中が麺とスープにまみれ、まるでラーメンという武器で戦いあった戦場のようだった。
立ち上がるものは脂で転び、すべてのものがスープの上で滑り遭った。
こんなことテレビ番組でやろうものなら絶対にクレームが来るであろう大惨事だった。
そして、そのまま食事をすることもなく着替えることも服を買い換えることも電車にもバスにもタクシーにも乗れずに歩いて家に帰るハメになった。
しかし、大友ユウジはカワイイ子とキスが出来たので、完全にやけていた。
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