人魚奇譚CLARISSA

大秦頼太

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ISABELLA

第七場

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●第七場●
   アルモンド家。
   ジェイクに明かり。

ジェイク ボルドー! 最近ずいぶんと利益が上がってるな。一体どういうことだ?

   ボルドーに明かり。

ボルドー これは旦那様。ハンクの奴が色々とやっておりまして。
ジェイク ハンクが?
ボルドー はい。今まで見たことも無いような魚を取ってきたり、外洋にしかいないような魚を取ってきたりと……。
ジェイク 何? 奴は沖に出ているのか?
ボルドー いえ。私もそう思いまして何度か見張っていたことがあるのですが、奴は網を引くだけでいつもと同じ漁場で漁をするだけでした。
ジェイク 変だな。
ボルドー 変ですよね。
ジェイク このままで行くともう半年もすると完済と言う事か。
ボルドー 遅くとも半年後には。
ジェイク それは困るな。
ボルドー 困りますねぇ。
ジェイク 困るなぁ。
ボルドー お、お任せ下さい。私が何とかいたしましょう。
ジェイク そうか。しかし、かわいそうだな。あの男も。なんともついていないもんだ。アルモンド家に仕えていれば成功しただろうに。私の誘いを断るから辛い道ばかりを歩くことになる。心を入れ替えてくれればどちらも幸せになれるのにな。
ボルドー まったくです。

   子どもの鳴き声。

ジェイク おお、ジョーイもかわいそうだと泣いているな。
ボルドー なんてお優しい。おいくつになられました?
ジェイク 3つだ。このアルモンド家の次期当主だからな。お前もしっかり頼むぞ。私の期待を裏切るなよ。
ボルドー はい。

   暗転。
 
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