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幸せの青い本 3
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「ねえ、幸せの青い本って知ってる?」
チアキがマコの席に片手をついて話しかけてくる。マコはその指先を見つめる。光り輝く磨かれた爪、丸く柔らかそうな指先だった。
「なあに?」
チアキはマコの顔を覗きこんで来る。マコはチアキの瞳を見つめた。
「あんたの通ってた高校って東京のどこ? 東京の子なら、誰でも知ってるって兄貴が言ってたよ。知ってるんでしょ?」
「知ってる。多分、知ってる」
マコは視線をはずす。チアキはそれが気に入らなかったのか、マコの視線に入り込んでくる。
「ねぇ、もしかして書いたことあるの? 書いた人を知ってるとか?」
「……」
「チアキ、やめなよ。困ってるじゃん」
サクラがチアキの腕を引く。チアキはつまらなそうに下がっていく。
「もし、もしあったらあなたは何を書くの?」
マコのつぶやきにチアキが反応した。猫じゃらしに飛びついてくる猫のようにマコの机に食らいつく。
「世界征服!」
その頭をアツコがはたく。チアキは振り返りアツコに文句を言う。
「何すんだよ」
「征服する前に叩いておこうと思って」
「バカ」
二人の会話を聞きながらサクラが笑う。マコは笑わなかった。
「あんなものに頼っちゃダメ。絶対に幸せにはなれないから」
マコは立ち上がりその場を離れようとする。
「青い本はどこにあるんだよ? なあ、何か知ってるんだろ?」
チアキはマコの前に回りこむ。
「もう無いわ」
マコはチアキの脇をすり抜けようとする。その腕をチアキがつかむ。
「もう無いって、どういうことだよ」
マコはチアキの手を振りほどいて教室の外へと駆け去る。後を追おうとするチアキをアツコが押さえる。アツコの腕の中でチアキがもがいた。
「離せよ! あいつ何か知ってるんだから」
「何、そんなにムキになってるんだよ!」
「うるせぇ、お前に関係あるかよ!」
唖然とするアツコ。チアキはアツコの腕を強引に振りほどくと、教室を飛び出して行った。
「なんだあれ?」
「チアキの家、今大変なんだよ」
サクラがアツコの手を引く。ハンカチで手を拭きながらミユキが入れ違いで教室の中へと入ってくる。
「何かあったの?」
「大変って?」
アツコの視線をサクラは受け止めることは無かった。背中を向けて廊下に走り去る。
「何だよ……」
ミユキが手を口に当てる。
「もしかして、複雑な関係?」
「そんなんじゃない!」
アツコは拳を胸の前で強く握り締めてそれ以上ふざけたらぶっ飛ばすぞという意思表示をして全力で否定する。
「ねえ、幸せの青い本って知ってる?」
チアキがマコの席に片手をついて話しかけてくる。マコはその指先を見つめる。光り輝く磨かれた爪、丸く柔らかそうな指先だった。
「なあに?」
チアキはマコの顔を覗きこんで来る。マコはチアキの瞳を見つめた。
「あんたの通ってた高校って東京のどこ? 東京の子なら、誰でも知ってるって兄貴が言ってたよ。知ってるんでしょ?」
「知ってる。多分、知ってる」
マコは視線をはずす。チアキはそれが気に入らなかったのか、マコの視線に入り込んでくる。
「ねぇ、もしかして書いたことあるの? 書いた人を知ってるとか?」
「……」
「チアキ、やめなよ。困ってるじゃん」
サクラがチアキの腕を引く。チアキはつまらなそうに下がっていく。
「もし、もしあったらあなたは何を書くの?」
マコのつぶやきにチアキが反応した。猫じゃらしに飛びついてくる猫のようにマコの机に食らいつく。
「世界征服!」
その頭をアツコがはたく。チアキは振り返りアツコに文句を言う。
「何すんだよ」
「征服する前に叩いておこうと思って」
「バカ」
二人の会話を聞きながらサクラが笑う。マコは笑わなかった。
「あんなものに頼っちゃダメ。絶対に幸せにはなれないから」
マコは立ち上がりその場を離れようとする。
「青い本はどこにあるんだよ? なあ、何か知ってるんだろ?」
チアキはマコの前に回りこむ。
「もう無いわ」
マコはチアキの脇をすり抜けようとする。その腕をチアキがつかむ。
「もう無いって、どういうことだよ」
マコはチアキの手を振りほどいて教室の外へと駆け去る。後を追おうとするチアキをアツコが押さえる。アツコの腕の中でチアキがもがいた。
「離せよ! あいつ何か知ってるんだから」
「何、そんなにムキになってるんだよ!」
「うるせぇ、お前に関係あるかよ!」
唖然とするアツコ。チアキはアツコの腕を強引に振りほどくと、教室を飛び出して行った。
「なんだあれ?」
「チアキの家、今大変なんだよ」
サクラがアツコの手を引く。ハンカチで手を拭きながらミユキが入れ違いで教室の中へと入ってくる。
「何かあったの?」
「大変って?」
アツコの視線をサクラは受け止めることは無かった。背中を向けて廊下に走り去る。
「何だよ……」
ミユキが手を口に当てる。
「もしかして、複雑な関係?」
「そんなんじゃない!」
アツコは拳を胸の前で強く握り締めてそれ以上ふざけたらぶっ飛ばすぞという意思表示をして全力で否定する。
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