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7. あなたがいいから
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「本当にいいの?」
繰り返し尋ねる幸司に、華夜はその度頷いて応じた。
ガラスでも触るかのような優しい手つきに、少し恥ずかしくなりながら、華夜は幸司に身を委ねる。
ホテルの部屋は暗い。
照明が完全に落とされた中、手探りで相手を求めた。
肌に触れて、
熱に触れて、
何故か泣きたくもなる。
「あ…幸司さん」
秘部に触れられて、戸惑う。
なぜだろう。今まで戸惑いなどなかったのに。
避妊具をつけて、一線はあっさり越える。
嬌声を漏らしながら、そっと目を開けて天井を見上げた。真っ黒な、空間だった。
どんどんはやくなる腰の動きに身体は応じながらも頭は随分とクリアなもので、どうしてこんな人生になったんだろうと考えてるうちに幸司は達する。
「今日はありがとね」
帰りの車の中、そっと手を繋いで幸司に向けた。
信号は赤。
マスクの下で幸司はクスクス笑った。
「あのね、……」
言い淀んだ華夜は一度顔を窓の外に傾けて、ほんの少しだけ幸司に向けた。
「付き合おうよ、私たち」
はじめは自分でも何を言ってるのか分からなくて、でも頷いてくれない幸司に繰り返し同じ言葉を送った。
この人と一緒にいたい。ただそれだけ。
「付き合おうよ」
「大変だと思うよ。年の差もあるし」
「いいよ、それで」
「オレでいいの?」
「幸司さんがいい」
それ以上は交わさなかった。
でも、関係は築かれたのだろう。
暖かい手の温もりが、確かに残っているから。
繰り返し尋ねる幸司に、華夜はその度頷いて応じた。
ガラスでも触るかのような優しい手つきに、少し恥ずかしくなりながら、華夜は幸司に身を委ねる。
ホテルの部屋は暗い。
照明が完全に落とされた中、手探りで相手を求めた。
肌に触れて、
熱に触れて、
何故か泣きたくもなる。
「あ…幸司さん」
秘部に触れられて、戸惑う。
なぜだろう。今まで戸惑いなどなかったのに。
避妊具をつけて、一線はあっさり越える。
嬌声を漏らしながら、そっと目を開けて天井を見上げた。真っ黒な、空間だった。
どんどんはやくなる腰の動きに身体は応じながらも頭は随分とクリアなもので、どうしてこんな人生になったんだろうと考えてるうちに幸司は達する。
「今日はありがとね」
帰りの車の中、そっと手を繋いで幸司に向けた。
信号は赤。
マスクの下で幸司はクスクス笑った。
「あのね、……」
言い淀んだ華夜は一度顔を窓の外に傾けて、ほんの少しだけ幸司に向けた。
「付き合おうよ、私たち」
はじめは自分でも何を言ってるのか分からなくて、でも頷いてくれない幸司に繰り返し同じ言葉を送った。
この人と一緒にいたい。ただそれだけ。
「付き合おうよ」
「大変だと思うよ。年の差もあるし」
「いいよ、それで」
「オレでいいの?」
「幸司さんがいい」
それ以上は交わさなかった。
でも、関係は築かれたのだろう。
暖かい手の温もりが、確かに残っているから。
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