賢者様が大好きだからお役に立ちたい〜俺の探査スキルが割と便利だった〜

柴花李

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第六十三話 ディッキア

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 腕輪と能力抑制魔導書のおかげもあったが、アドルフォ名義の仮登録は驚くほどすんなりと通った。それはもう、事前にティツィアーナが三日という短い期間でアレグリニ伯爵から偽の紹介状をもぎ取っていたにもかかわらず、提出せずに済んだほどだ。
 手続き中にアレグ扮するアドルフォ・アレクサンドリ・アレグリニが自身の名前の綴りを二度も間違える事故が起きたが、気が逸ってこのザマだ、などと嘯く言葉を真っ向から失笑で受け止め受け流された。今日はパンツスタイルのウェンシェスランが仮登録申請書類を要求し記入する様も、この愛人も同行するのかという迷惑めいた奇異の目で眺められたのみだ。
 さらに最大の難関と思われた受付でのエウフェリオとイドリックの身分確認も、カロジェロが適当に仮の名を決め作成した偽タグを身に付けたまま差し出してみたところ、手にも取らずそのまま眺めて帳簿付けされたことには呆れて物も言えない。おかげで偽のタグとばれる前にアレグもといアドルフォが遅いと荒れて回収する強引策は、昨夜かなり練習したのにお蔵入りである。
 しかし流石に護衛の二人がBランクだからBランクの依頼を請けたいと捏ねた駄々は通らず、Cランクの中難易度に落ち着いた。こればかりは予定通りではあったが、まともなギルド員なら愕然とする対応だ。
 とどめに、佩剣せず鎧を纏っていないとはいえ、どう見ても冒険探検用の荷物を抱えて黙ったまま控えているオリンドに声も掛けず、明らかに同行する素振りで共にギルドを出ていくに至ってもタグの有無の確認をすることも引き止めすらもしなかったことには、全員これが作戦で無ければ急ぎ踵を返して怒涛の苦情申し立てを突き付けたい気分に駆られた。
「…あれは…、あれは無いわ…」
 任務先までの足としてカランコエ冒険者ギルドが手配した御用達大型馬車の、進行方向を向く席と背を向ける席とが設けられ、詰めれば四人ずつは座れる座席に三人ずつ腰掛けるその車内に隠遁魔法を展開してからしばらく、進行方向を向いた右の窓際に座り流れていく外の景色を眺める傍らティツィアーナはぽつりと漏らした。
「…ほんとよね。ティナちゃん紹介状も苦労して用意してくれたんでしょうに…」
 呟きを拾い聞いたウェンシェスランはそっと声を掛けつつ、彼女の顔を見るや肝を冷やした。
 いつもの無表情の肌に、底冷えのする気配が漂っている。
「いえ。アレグリニ伯爵におかれましては、いつも世話になっているからと、快く書いていただけましたので。しかしながらマスターから事前連絡があり私とキアーラが同行しているからとはいえ、アドルフォの身元照会もしないとは、なんと危機管理意識ならびに防犯対策意識に欠けていることか。それにあの業務の杜撰さ。告発するまでの辛抱とはいえ、腹立たしいことこの上無く、ギルド員として屈辱すら感じます。残ったキアの心持ちを思えば憐憫の情を禁じ得ません」
 淡々と述べるティツィアーナだが目には暗い炎が灯り、ほんの微かに力の篭った眉間を中心に全身から瘴気を吹き出しているように見受けられた。昨日から今朝にかけて垣間見えたカランコエ冒険者ギルドのあり方が余程腹に据えかねているようだ。
 この分では、面倒ごとを頼む代わりの業務手伝いという体でカランコエ冒険者ギルドに潜り込んでもらったキアーラも随分と頭や胃を痛めているに違いない。
「そうよねえ。事務処理したことないあたしたちでも、見ててどうかと思ったもの…。アルちゃんが綴り間違えたときなんて、終わった。って思ったのに通っちゃうなんて、恐れ入っちゃうわ」
「ありゃあ駄目すぎだ。それにオーリンを使用人だと思い込んだままなのもどうかしてる。というかこの荷物だぞ、どう考えても同行する気満々だろうが、なんで声を掛けねえ。タグの有無を確認するなり引き止めるなりするだろう普通は。アホ面下げて全く申請待ちなのか?」
「しかも、やはりリンドから聞いていた通り、初登録時の規則案内や助成案内など冊子を渡すだけで何の説明もありませんでしたね」
「あれな。俺もシェスカもちょっと説明くれっつったのに、詳しくはこちらをご覧ください、だもんな。どうなってんだよほんとに。オーリンさあ、幼馴染パーティ追ん出された形だけど、結果この国から出ることになったの、マジで良かったんじゃねーかと思っちまったわ」
「うん。改めて俺もそう思った」
 ギルドがアレグに渡した薄い冊子を、読めるところだけでも読んでみたいと借りて眺めていたオリンドはきっぱりとした声で言い切った。それから助成案内冊子の最後の頁を広げて見せる。
「フェリたちとの勉強会で、この冊子は数年に一回更新されるって教えてもらったけど、これ、俺の読み間違いじゃなければ十年前の日付だよね?」
 がかん。
 何か硬いもの同士がぶつかる音がした。
 見ればティツィアーナがあまりの衝撃に側頭部を窓に打ち付けたようだ。気のせいか白目を剥いているようにも見える。
「…どれ…。ああ、そうですね。最終更新は十年前の七竈月二月ですね。…これはこれは…」
「あり得ません!直近では昨年榛月四月に更新されています!…なんたる怠慢…!!」
 今にも取って返して殴り込みをかけそうな勢いでティツィアーナは吠えた。彼女が感情を露わにするところを、少なくともアレグたちは初めて見た。
「ひゃああ…ティーナでも怒るんだな」
 腰を抜かしかけながらアレグが苦笑すると、憤慨に赤らめられた顔が益々歪んだ。
「これが黙っていられましょうか!?少なくとも一年近くは更新情報の取得を放棄あるいは取得しておきながら放置しているのですよ!?…オリンドさん!わたくしも同意です!貴方はその何某とかいう幼馴染とのパーティから抜け出して正解です!」
「ふぇあっ!…あっ、…ありがとう…!」
 うわあ、ものすごい怒ってる。これはこっちの毎年更新されてるとかいう規則案内の冊子は見せちゃ駄目だ、六年くらい前で止まってるもん。ティツィアーナさんの血管切れちゃう。
 オーガキングも斯くありやという彼女の顔を見たオリンドは、規則案内の冊子をこそりと鞄に放り込んだ。
「なー?だろう?そのクソパ…クソ…、…あれっ?…あれ、オーリンがそいつらと組んでたパーティって、なんて名前だっけ?」
 クソの後にパーティ名を付けてやろうと息巻いたアレグだったが、はたと記憶に無いことに気付いて首を傾げる。
 オリンドの肩が心無し跳ね上がった。
「あらやだ、アルちゃんたら変なとこで記憶力鳥寸前なんだから。…ん、…あらっ?…そういえば、…なんだったかしら?」
 アレグに茶々を入れはしたものの、振り返ればウェンシェスランの記憶にも無い。これはもしかして聞いたことが無かっただろうかと顎先に指を当てて馬車の天井に視線を走らせた。
 オリンドの視線が心無しあらぬ方へ泳ぐ。
「いやいや、そんな馬鹿な…、…おん?…いや、そうだな。聞いた覚えが無え」
 コピアポア山であれだけ壮絶な過去を語ってもらいながらクソ野郎どものパーティ名を覚えていないなどということは、そういえばあるとイドリックも口元に拳を当てて唸った。
 オリンドの首が心無し軋んだ音を立て車窓へ向けられる。
「そういえばそうでしたね。これでは絆魔法の件で探し出そうにも少々困ります…。すみません、リンド。失念していました。幼馴染とのパーティ名…リンド?」
 カランコエまで来たのは、バティスタたちからオリンドのタグに絆魔法を付与しなかったという自白を取るためでもある。彼らの居所を探し当てるのに一番使えそうな情報といえば個人名もさることながら、まずパーティ名だ。と、聞き出すため声を掛けたエウフェリオは首を傾げた。
 進行方向を背に左の窓際に座るオリンドは努めてひたすら窓の外を見ている。心無し額の辺りが赤いような気もした。
 なんだか口にすることを拒否しているようにも見えて、心中穏やかざるものが過ぎる。
「…すみません。あまり、思い出したく無い…ですよね」
 申し訳なさが喉元まで競り上がり、細い肩にそっと手を乗せた。
「…っ!」
 びくり。
 すると手の平の内で大仰に跳ね上がる。どうやら予想以上に堪えているようだ。ならば無理に聞くのは止しておこうとエウフェリオが言葉を引っ込めた時だった。
「…あっ、ち、ちが…違う…。あの、…ちょっと、…言いにくい、だけで…」
「言いにくい?」
 どういう意味だろう。そう考える前にアレグが横から身を乗り出した。
「えーっ、なんだそれ気になる!早口言葉みたいな?それとも発音難しい?禁止単語入ってるとか…、エライやつの悪口だったり!それか…恥ずかしいとか!」
「はぐっ!」
 あまりにも明らかな反応だった。最後の言葉に胸元を押さえて身を伏せ、吐血でもしそうな勢いである。これは安易に触れてはいけない。オリンドの反応に誰もがそう思い、一斉に口を閉ざした。見れば鎖骨の下まで真っ赤になって、ようやくといった風で声を振り絞りかけている。
「リンド、あの…」
 それほど苦いなら言わずとも。遮りかけたエウフェリオだったが遅かった。
「…う、っ。あ…あん…暗黒の混沌…」
「…!!」
 おっと、こいつぁ出だしから不穏だ。
 咄嗟に誰もが身構えた。
「っ、暗黒の混沌より生まれ出し叢雲に潜む紫雷竜…っっ!」
 あいっ…たぁ…。
 構えも虚しく全員の脳と胸に鋭くも鈍い痛みが飛来した。主に十代の頃やらかしたあれやこれやのやんちゃな記憶が痛む。
「…いや、そんな長い名前、よくもタグの記入欄に収めたな…」
 ぽつりと、イドリックはそれだけ呟くのが精一杯だった。
 が、オリンドには最大の緩和剤として功を奏した。ひと息に羞恥から駆け抜け出した心地で軽やかに記憶を探る。
「あ…。うん。…ええと、アロガンゾも匙を投げて、彫金師雇ったらしい。その、当時…というか、俺たちが登録する二年くらい前からかな、そういう、長い名前を付けるのが流行ったらしくて…」
「流行りに押されて文字数制限も解除したわけですか…」
 目頭を指先で強く押さえつつ、巻き込まれたティツィアーナもそれだけ溢した。パーティ名に文字数の規定があることをオリンドはこのとき初めて知った。
「改めて、マジで抜けて良かったってオーリン」
「うん。改めて、色んな意味でそう思う」
 正しく回っている世界に身を置いて、故郷の冒険者とギルドを振り返れば何と異質なことか。プレイオスピロス国やパキフィツム国のギルドや冒険者たちから受けた扱いにもエウフェリオ始め彼らはみんな憤ってくれたが、こうして肌で感じてみればあの二国はまだまだ血気盛んの表現で済まされる気がした。
 それに、やはり、やはりパーティ名である。
 当時は年相応の好奇心と冒険心と自己顕示欲と憧憬と、ここを去れば生きていけないという恐怖心とで、年頃であったというか麻痺していたというか、むしろ、さすがバッツすごくかっこいい最高のネーミングセンスだ。と、思っていたけれど、もしかすると今も背負っていたかもしれないと思うと背筋が痒む。
「ほんとよ、そんなの堂々と名乗れるのなんて、すっごく相応しい活躍が出来てるか、いつまでも少年の心を持ち続けられる人間に限られるわ」
 オリンドのちょっぴり恥ずかしい痒みには気付かず、ウェンシェスランは頭痛を舌に乗せて吐き出した。今までどれだけ名付けを後悔するパーティを見てきたことか。名前を変えるには一度解散してタグを削り、半年に及ぶ再集結禁止期間を経て再結成する必要がある。そうまでしても改名するパーティも少なからず見てきた。それだって板の厚みは決まっているから限界はある。いいところ三回か四回までといったところだ。
「しかし、そんな名を付けたんじゃあ、改名してるかもしれんな。こりゃ探すのは厄介か…?」
「その点はキアーラが馴染み次第、バティスタらの名を元に帳簿を調べる手筈ですが…。流石に帳簿管理の補助に入るまでは数週間を要するかと踏んでおりましたけれど、あの分では信頼信用と履き違えた無責任で数日もあれば任されるかもしれません」
 イドリックの懸念にはティツィアーナがつつがなく答える。手抜きが身に付いた職員にはよくある話だ。使える新人と見るや、楽をしたい気持ちを信じているからと置き換えて業務も責任も丸投げする。
「なるほど。ありがたく付け入らせてもらいましょう。では、見付かるのも時間の問題かもしれませんね」
 よく知り基準とするギルドがカロジェロ率いるグラプトベリア冒険者ギルドだけあって、一筋縄では行かないと踏んでいたが、カランコエ冒険者ギルドは組織として非常に残念なことに思っていたより随分と穴だらけ隙だらけらしい。この分では見通しも明るそうだ。
 オリンド越しに流れ行く車窓の景色を眺めて、ブーファンとはまた異なる華やかな様相にエウフェリオは目を細めた。
 その目が大きく丸められたのは、評議会員との合流を果たし調査内容の再確認や今後の方針の打ち合わせなど軽く済ませてから、アドルフォ名義で受けた依頼先の、カランコエに点在する迷路洞窟のひとつ、ディッキアに到着して一時間も経たない頃だった。
 この辺りの中級御用達ダンジョンの名に恥じず、DランクとCランクの冒険者たちが多く集まる山中の門前広場で、バティスタらの情報を集めるべく四十代前後と思しき者に声を掛けようと、端に生えた大木の近くからタグ確認の列へ向かう人々を物色していた時だ。
「うあ、わ…、ば、バッツたち、居る…っ!」
 懐かしい故郷の山中の、主に土壌に惹かれてぼんやりと探査スキルを使っていたオリンドは、広げた魔素の端に彼らを捉えるや飛び上がって小声で叫んだ。
「えっ!?うっそ、さっそく!?」
 思わず幹の影に隠れるオリンドの前に素早く全員が並んで彼の姿を隠した。その場でエウフェリオが即座に隠遁魔法を展開し、そそと後退りに森の中へ分け入る。
「ちょっとちょっとー!なんでこんな初っ端から鉢合わせちゃうのよ、引きがすごいわっ」
 広場が庭程度に小さく見えるほどには離れた場所へ移動してからウェンシェスランは目を剥いてダンジョンの方を伺った。確かに居所が掴め次第、接触を図って証拠を掴む手筈だったが、これほど急では心構えが挫ける。
「あれじゃねえか?当たりたく無えもんには当たっちまう法則」
 今は入洞管理のギルド員しか見当たらない門前を同じく眺めてイドリックは苦笑う。
「否めませんね…。結局、依頼はアルが選びましたし」
 あれほどカランコエ冒険者ギルドから離れた場所をと言ったのに、こんな近場を選んで。と、思いはしたものの何かが起こりそうな予感に任せて良かったとエウフェリオも眉を寄せて笑った。
「えー。おっかしいな、俺くじ運良い方だって自負してんだけど」
「だから引きが強いって話でしょ。で、リンちゃん、そいつらどの辺に居たの?こっち気付かれた?」
「ううん。気付かれてない。ええと、場所は…」
「しばし。口を挟んで大変申し訳無いが」
 と、手を挙げたのは評議会員のカテナチオだ。
「その、彼の探査スキルについては多少聞き及んでいるが、個人的に現時点で断定して話を進めるのは早計では無いかと感じる」
 言い辛そうではあるが、はっきりと口にするところに実直さが現れている。そんな彼の申し出はもっともだ。アレグ達は頷いた。初めて体感するのであれば無理も無い。
「わかる。わかるわチオちゃん」
「チオちゃん!?」
 我、四十五しじゅうごぞ!?という心持ちでカテナチオは瞬時に目を限界まで丸めた。
「リンちゃんの探査スキルについちゃあ、いっくら聞き齧ったところで信じらんないわよね。でも大丈夫よ。すぐに理解不能に陥らせてあげるわ」
「…は?」
 今の話なら理解できるように説く流れではなかろうか?
 首を傾げるカテナチオの前で、ウェンシェスランは徐に空を見上げた。何かを探しているようだ。
「んん~。あ、居た居た。…アルちゃん、あれ届く?」
 指差された先では小さな濃灰色の影が旋回していた。おそらく鳥だが、見た感じではどう考えても物理攻撃では届きそうに無い高度を飛んでいる。
「おう?…おー。あれか。楽勝楽勝。ここに落としてやんよ」
 が、アレグは同じ方向を眺めると事もなげに軽い準備運動を始めた。
 察するにあの鳥と思しき影を打ち落とし、探査できるところまで近付いたら解明しようということか。つまりその距離を見せるための実演だろうなどと推理したカテナチオは、直後に打ち落とす前からオリンドが薫衣翡翠くんいひしょうという鳥の雄だと断言し、アレグの投石で捕らえたそれが実に見事なラベンダー色の雄鳥、違いなく薫衣翡翠であったことに、度肝も魂も抜かれて白目を剥いた。
「…わか…、わかった。まさしく理解不能だ。カロンが他言無用とあれだけ念を押す理由も十二分に理解した。…すまない。私の認識が甘かったばかりに、余計な時間を取らせてしまった。現状、あのダンジョン内に、暗黒の混沌より生まれ出し叢雲に潜む紫雷竜一行が居ることは間違い無いというわけだな」
「はぐっ…!…げほっ!」
「ご理解いただけて何よりです。それとリンドの精神衛生上よろしくないようですので、丁寧に正式名称を述べるのはよして差し上げてください」
 冒険者ギルド事務方の幹部や上層部に近い者は四角四面しか居ないのだろうか。咳き込むオリンドの背中を摩りつつエウフェリオは緩く首を振った。
「む。そうだな、現在は名称を変えているかもしれないとのことだったな。失礼した。控えよう」
 違うそうじゃない。誰もが思いはしたが突っ込んだところで時間の無駄だろう。それよりもなによりもまずはバティスタたちとの接触だ。
「では皆さん、突拍子も無い接敵でしたが、そろそろ心の準備もできたかと思いますので、行きますよ。リンドの人生を台無しにした者どもを除去しに」
「おおっ!」
 エウフェリオの号令をもって一同は颯爽とディッキアダンジョンへ足を向けた。
「待って、除去はだめよフェリちゃん。成敗でしょ成敗」
 聞き逃せば危うく賢者の静かな暴走を見落とす所だった。
 肩を掴まれたエウフェリオの口から舌打ちが漏れた気がしたが、アレグもイドリックも、掴んだウェンシェスランも気付かないふりをする。
 彼の気持ちは過ぎるほど分かるのだから。
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