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しおりを挟む朝から自室に篭りきり小説の内容をまとめていればいつの間にか夕方になっていた。
横領罪で捕まる未来を阻止するためにはまず皇太子との関係を切る必要がある。
オフィーリアがルフランと結婚したのも皇太子のため。
皇太子はルフランのダイヤモンド鉱山が譲渡されるのを待ってるわけだし。
やっぱりやめる、で終わらせられるわけもない。
下手に断れば皇太子が私を抹殺する可能性もある。
ルフランにオフィーリアが彼と結婚した理由や皇太子との関係性を悟られるのは困る。
ルフランにとって皇太子は自分の父母を殺した敵だから。
ーーーー
その事件は10年前ルフランが11歳の時に起こった。
当時13歳だった皇太子ルイス ガゼルの教師として大公夫妻が抜擢された。
大公という地位にある人間を教師の立場に置くのは極めて異例なことだった。
もちろん大公派の貴族達からの反発も強かった。
皇室がそこまでしたのは皇太子が自分に釣り合わない家格や身分の人間に教えられていたことに不満を漏らしたからというだけの理由だったが大公夫妻が皇帝の命令に従ったことで、この問題に異議を唱えるものはいなくった。
そして大公夫妻が教師となってしばらく経ったある日、大公が教えていた乗馬の授業で皇太子が落馬し骨折する重傷を負ったのだ。
皇帝直々に事故の経緯を調べると皇太子の愛馬に興奮剤が投与されていたことが分かり事故ではなく皇太子殺害未遂事件に発展した。
調べていくうちに事件日の朝、皇太子の愛馬がいる厩舎に大公の側近が立ち寄ったことが判明。
尋問を受けた側近は大公夫妻に命じられて皇太子の愛馬に興奮剤を投与したと証言。事態は急変し大公夫妻は捕らえられた。
2人は最後まで無実を訴えたが数日後反逆罪で処刑された。
大公夫妻の息子ルフランも処される恐れがあったが大公派の貴族達が反対したことでルフランは罪に問われなかった。
大公家については皇室に隷属することを条件に家門が取り壊されることはなかった。
そしてルフランは齢11にして大公位を継いだのだ。
ーーーーーーー
小説でルフランとヒロインのミヤが復讐のため当時の事件を調べると大公夫妻は濡れ衣を着せられたことが分かり、2人は当時証言をした側近に会いにいくのが小説の展開。
それを変えてしまうのは忍びないが背に腹はかえられない。
離婚後の悠々自適生活を守るため私が大公夫妻の濡れ衣を証明して皇太子を倒す。
ヒロインとルフランは…復讐がなくても自然と惹かれ合うよね?
2人一緒になる結末は変わんないから大丈夫よね?
取り敢えずまず私がやることは当時証言をした大公の側近に会うこと。
その側近がいる場所はマリー街の裏にある古書店ってことしか情報がないから明日街に出かけて…
「オフィーリア、起きてますか?」
考え込んでいると扉の向こうからルフランが呼ぶ声が聞こえ、急いで机にある書きまとめた手帳を引き出しにしまった。
「なにか?」
扉を開けるとルフランが不安げな表情で立っていた。
「僕が何か粗相をしたから一緒に食事してくれないのですか…」
私が朝すぐ部屋から出て部屋に篭っていたから怒っていると勘違いしたのか。
「怒ってないわ、ただ1人になりたかっただけよ。」
小説の展開まとめてたらいつの間にか時間が過ぎてただけなんだけど。
「良かった…!
あの、今から夕食を一緒にどうですか?」
不安げにエメラルドグリーンの瞳を揺らしながら懇願するような様。
なんだか自分の性癖が歪みそう。
オフィーリアもこんな気持ちになったりしたかしら?
私が同意をするようにルフランの腕に手を這わすとルフランはカーッと赤面をしながらも嬉しそうな表情をした。
…自分の手によって美男子が一喜一憂してる姿悪くないわね。
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