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再会
会いたくなかったのに。
元夫と娼館で再会なんて、なんという不運なの?
私は心のなかで嘆いた。
「アリス、君はどうしてここで働いているんだ?」
しかしそんな私の焦りとは裏腹に、元夫シークの声は怒気を孕んでいた。
途端に寒気がしてくる。
どうしてこんなに怒っているの?
「お金を稼ぐためですけど…」
私は正直にそう答えた。
「僕という夫がいるのに、娼婦として働いていたのか?」
「離婚届を机に置いといたはずですよ、家を出た私が何をしようと貴方にはもう関係ないですわ。」
元夫が怒っているのを初めて見た。
いや、そもそも元夫が感情を露にしている姿を見たことがなかった。
でも、そちらが怒るのはおかしいんじゃないかしら?
「君は…僕がサインするとでも思ったのか。」
一体なんなの。
まるで心外、とでもいうように私を見る元夫。
「そう思ってましたけど?
そんな風な態度だったじゃありませんか。
どうしてここに来たんですか?
それにそもそもどうやって私の居場所を…
まさか連れ戻すとか考えていませんよね?
私は一人で生きていくと決めたんです。
あなたの妻に戻る気はないですから。」
私は今までの鬱憤を晴らすように、捲し立てた。
「そんな風に誤解されるような態度をとったことはないが?」
はい?
なに入ってるの…とりまくりじゃない。
「朝食のとき、いつも無言でしたよね。
夫婦の食事風景があんなのとは思いませんでしたわ。私とは話したくないんだなと思わざるをえませんでしたわ。
私が家を出る前は、夜の営みも失くなってましたよね。てっきり私は、愛人でもできたのではないかと思いましたけど。
私だって若いんだから性欲だってあります。
夫から求められないのは、私に不満があったんだと思いますわ。
だから…」
「僕は不満なんて感じてない。
愛人だって作ったことはない。」
私の言葉を遮るようにして、彼は強い口調でそう言い切った。
「食事中に話さなかったのは、緊張で話せなかったから。
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「言葉で言ってくれないと分かりませんわ。」
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だっていつも寡黙で何を考えてるのか分からなかったのよ?
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私の早とちりだというの?
私が、悪いの?
ただの私の身勝手?
この半年は私が、私が…夫から逃げて不貞を働いていただけだったということ?
「困るわ、後からそんなこと言われても。
改めて言いますわ、私と離婚して下さい。」
これじゃあ私の半年が台無し。
これからの人生だって…私は幸せになりたいのよ。
私にとっての幸せは寡黙な夫との結婚生活ではないから。
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