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約束
しおりを挟むとりあえず部屋に戻ってきた私。
どうしよう。
まずあの大量の荷物を返却しないと。
そしてこのことが婚約者に伝わらないようにしなくては。
…
…
…
贈られてきた荷物を返却するため皇太子と話をしなければならない。
しかし接点もないためどこにいるか分からない。
私は一か八か図書室にやってきた。
いるかしら。
昨日出会った図書室のカウンターを覗く。
いたわ。
この人また寝てる。
そこには昨日と同じように居眠りした皇太子がいた。
「あの!
起きてください。」
「ん…なに?」
私は遠慮なく起こした。
だって私の屋敷に大量の荷物を贈って困らせておきながら
当の本人は寝てるとか腹立つに決まってる。
「困りますわ。
あの荷物は返却させてください。」
「え…傷付くな。
僕は君に求婚したんだよ。
返却しないでもらえると嬉しい。」
そんなこと言ったって…
「私にはもう婚約者がいると昨日伝えましたよね。
それに求婚も断ったはずですけど?」
「そうだったっけ?
忘れていたよ。」
勝手だわ。
この皇太子。
いくらイケメンで身分も申し分ないからって やって良いことと悪いことがある。
「あっ、そうですか。
ではもう一度言いますね。
求婚はお断りします。」
私は皇太子にキッパリとそう言った。
「ふーん。
じゃあ しょうがない。」
良かった。
諦めてくれたらしい。
「周りに レジーナ嬢に求婚したけど断られたことを言おう。」
はい…?
この人 まさか…
「いいの?
君 すごい婚約者に固執してるけど もし僕に求婚されたなんて知られたら どうなっちゃうんだろうね?」
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この人 私が困るのを知ってて脅しているんだわ。
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「今はまだ受け入れなくていいよ。
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「…分かりました。
もしその時がきたら 求婚を受け入れると約束します。」
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