8 / 15
抵抗
しおりを挟むあれから…どのくらい経ったの?
部屋に入る日差しに照らされて、私は怠い体を起こした。
最初は縛られていた手も、途中で外していいことになった。
理由は、私が抵抗しないから。
このまま、ずっと…
そう思うと悲しみで涙が出てくる。
私は何も纏わない自分の体を抱き締めた。
今やっと一人になった。
ハンクはしばらくこの部屋に戻ってこない。
しかし逃げ出すことはできない。
なぜなら部屋の外に護衛が立っているのだ。
よろよろとベッドから降りる。
しばらく歩かなかっただけで少しよろけそうになった。
そんな拙い足取りで私は、自分の背の上辺りにある窓を見た。
なんとか窓から外を見れないものか。
そう思った私は、窓の縁に手を掛けてよじ登ろうとした。
しかし案の定そんなことはできなかった。
この部屋にはベッド以外、椅子などの家具が何もない。
あぁ、終わった。
もう無理だわ。
このまま誰にも見つからず、一生を終えるのね。
ハンクの子供を産んでも育てることはできない。
ナタリーに取られてしまう。
その子供の本当の産みの親である私に命の保証はあるのか?
そんな疑問がわく。
あるわけない。
国王が皇后との子が産まれないからと他の、ましてや元婚約者に産ませたなんて。
そんな醜聞は隠して起きたいはずだ。
となれば、私は子供を産んだら用済みになって殺されてしまうのか。
そう結論が出ると、途端に寒気がしてくる。
死にたくない。
こんな最後なんてあんまりよ。
みるみるうちに諦めていた心に、強い力が沸く。
ここを出たら一番に会いたい人を考える。
その人のために…ってなんで思い浮かべた相手がミゲル王子なの?
もっと、他に…いなかった。
この一年、一番多く話した相手が彼だった。
嘘でしょ。
まさか私…絆された?
彼への気持ちを自覚する。
無意識に絆されていたことを、悔しく感じる。
それと同時に私の心に、ミゲル王子に会いたい…という活力がみなぎった。
自分からなにか行動を起こさなくては…私はそう決意した。
よし、今の自分がやるべきことはこの場所がどこか知ることね。
私は再び窓を見る。
そして先ほどと同じようによじ登ってみる。
しかし、やはり落ちてしまう。
だけど今の私は、ここで諦めるようなことはしない。
そして何度目かの挑戦でようやく、よじ登ることに成功した。
窓越しに外を見ると、奥の方にいつもいく市場が見えた。
遠くに監禁されてるわけではないのね。
もう一度、窓越しに辺りを見回す。
知り合いはいないかしら…
あれ…?
奥で、誰かを探し回る素振りのある人を見つけた。
もしかして…
私は思わず必死に窓を叩いていた。
17
あなたにおすすめの小説
断罪の準備は完璧です!国外追放が楽しみすぎてボロが出る
黒猫かの
恋愛
「ミモリ・フォン・ラングレイ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」
パルマ王国の卒業パーティー。第一王子アリオスから突きつけられた非情な断罪に、公爵令嬢ミモリは……内心でガッツポーズを決めていた。
(ついにきたわ! これで堅苦しい王妃教育も、無能な婚約者の世話も、全部おさらばですわ!)
【完結】お父様の再婚相手は美人様
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
シャルルの父親が子連れと再婚した!
二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。
でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。
【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ
リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。
先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。
エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹?
「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」
はて、そこでヤスミーンは思案する。
何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。
また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。
最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。
するとある変化が……。
ゆるふわ設定ざまああり?です。
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
【完結】出逢ったのはいつですか? えっ? それは幼馴染とは言いません。
との
恋愛
「リリアーナさーん、読み終わりましたぁ?」
今日も元気良く教室に駆け込んでくるお花畑ヒロインに溜息を吐く仲良し四人組。
ただの婚約破棄騒動かと思いきや・・。
「リリアーナ、だからごめんってば」
「マカロンとアップルパイで手を打ちますわ」
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結迄予約投稿済みです。
R15は念の為・・
良いものは全部ヒトのもの
猫枕
恋愛
会うたびにミリアム容姿のことを貶しまくる婚約者のクロード。
ある日我慢の限界に達したミリアムはクロードを顔面グーパンして婚約破棄となる。
翌日からは学園でブスゴリラと渾名されるようになる。
一人っ子のミリアムは婿養子を探さなければならない。
『またすぐ別の婚約者候補が現れて、私の顔を見た瞬間にがっかりされるんだろうな』
憂鬱な気分のミリアムに両親は無理に結婚しなくても好きに生きていい、と言う。
自分の望む人生のあり方を模索しはじめるミリアムであったが。
【完結】悪役令嬢の反撃の日々
ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる