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2日目
しおりを挟む目を覚ますと、日は既に昇っていた。
「ぅッ…」
喉が痛い。
「おはよう徹。」
横には、待ち構えたかのように廉がいる。
「…」
声が出にくくて返事ができない。
「声出にくい?
これ飲んで。」
廉が口にスプーンを運ぶ。
何か入ってたりしたら…
「蜂蜜だよ。」
躊躇してることに気付かれ、問答無用で口の中へと入れられる。
「…」
喉に蜂蜜が行き渡り、少し発声しやすくなる。
「…ぁりがとぅ。」
「はは、声枯れてる。」
廉がニコニコしながら俺を見る。
「ぃま何時…」
「んー、13時くらい?」
お昼過ぎてたのか。
「ひかるは?」
「無事だよ。
だって昨夜は朝まで徹が頑張ったし、ね?」
同意を求めるかのように俺の首筋をなぞる廉の手。
「そぅだな…」
俺は下手に振り払うこともできず、目をそらしながら答えた。
「徹、番に会いたい?」
「会えるのか?」
俺は廉の真意を探る。
「会えるよ、条件付きなら。」
「条件は?」
「ビデオ通話させたげる代わり通話中は俺の入れてすること。」
「は…?」
悪趣味な条件。
光の顔を見たい。
けど、入れながらビデオ通話して気付かれないはずがない。
光に同期だと話していたのに、本当はそういう関係だったとバラせるのか?
「まあ最初から拒否権なんてないけどね。」
最初からそのつもりだったのか。
迷うこともできず俺は…耐えられるのか?
光の顔を見たいはずなのに…廉にされているところを見られたくない。
だから会いたくない。
「ほら、通話しよう。」
廉に抱えられベッドからソファへと移動する。
廉がソファを背後にカーペットに座り、俺は廉の足の間に置かれる。
目の前のガラステーブルにあるパソコンが開かれる。
「ほら、愛しの番に会う準備をしよう。」
自分が餌をちらつかされた獲物のようだった。
暗い画面からいつ光が現れるか待ちながら、廉の手によって解され快楽に染まる自分の顔を見ることになる。
「昨夜したばっかだし、すぐ入るね。」
そう言って廉が俺の足を持ち上げる。
「んッ…」
入れられる感触に耐える。
「ゆっくり動いてあげるから、頑張ろうね?」
廉が俺の耳元で楽しそうに囁く。
「徹…?!」
エンターキーが押され、光の姿が現れる。
「光…」
俺は久しぶりの光の姿に泣きそうになるのを堪える。
「大丈夫なの、徹!」
焦った光の声が聞こえる。
ああ、本当に光だ。
愛おしい俺の番。
それなのに、こんな姿を見せなくてはならないなんて。
「後ろの人って…」
光が廉に気付く。
「ごめん、光。」
廉は待ち構えていたかのようにゆっくりと腰を動かす。
「…ッ」
声が漏れないように必死に耐える。
「…なんで裸、なの?」
光の声が尖る。
「何してるんだっけ?
答えて?徹。」
嬉しそうに目を細めた廉が俺の顔を掴む。
目の前を廉の顔が支配する。
固く結んだ唇を廉の舌がこじ開ける。
「ん…ッ…は…」
ねちっこく口腔内を侵される。
「徹…?!」
光の悲痛な声が聞こえる。
俺はその声に涙が溢れる。
しばらくしてやっと引き離され、顔を画面の方へと向けられる。
「光…ごめんッ…」
言葉の途中で嗚咽が出る。
それでも何とか言葉を紡ぐ。
「絶対ッ…迎えに、行くからッ待ってて…」
「徹!!」
光の目に涙が溢れる。
今すぐにでも抱き締めてその涙を拭いたいのに。
その間にも俺はじりじりと攻められる。
俺の弱いところをゆっくり押し上げられ、俺は堪らず唇を噛む。
「ッ…光、みるな!」
廉の動きが速くなる。
光に見せつけるかのように音が響き、行為が激しくなる。
「ッ…うぅッ…!」
下から突かれて息が上がる。
「声我慢しないでよ。
俺達が愛し合う所を聞かせてあげよう?」
廉の指が必死に噛んでいた唇を容易く離す。
そのまま奥へと押し入り、舌を弄ぶ。
「ぁあッ…みるな!」
俺は光に必死に叫ぶ。
「んぁッ…あぁぁッ!」
限界だった体は快楽に順応し、すぐに昇りつめる。
自分の気持ちとは裏腹に、俺のモノが空しく果てる。
「ごめん。」
息の上がる声を震わしながら何とか言葉を発する。
ぼやけた視界には、哀しみに染まった光の姿があった。
「光ッ…!」
俺は絶望することしかできなかった。
見計らったように、パソコンが閉じられる。
「…徹は僕のモノだと分からせた時の表情みた?
最高だったよ!」
嬉々とした表情の廉に、俺は何かを言う気力もなかった。
ただ、絶望と哀しみが心を支配していた。
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