狂気のカルト

ねこわんこ

文字の大きさ
上 下
11 / 13
第2章

カラスの少年

しおりを挟む
あぁ、潰されるっ!!!
ガチんッ
ピエロのハンマーが叩いたのはアスファルトだった。
「遅くなってごめんよ、大丈夫だったかい?」
「暁さん!なんとか生きてます...」

「ニゲルナ...ギャハハはは!」
「あ、君喋れたの。」
ピエロはまたハンマーを振り回しながらこっちに向かってくる。
「ピエロ君、僕に催眠術をかけようなんて、大した勇気じゃないか。」

「暁さん!危ない!」
ハンマーが落ちるギリギリで暁さんは身をかわした。目に見えないくらい速い...!
「1つ聞いておこう、僕たちの集団に入る考えは?」
「ギャハハ!あがあはははは」
「そうか。わかった。」
ピエロが渾身の一撃を放とうとしたとき、動きがピタッと止まった。

そして地面に倒れる。
「君なんて能力を使うまでもないよ。こんな二丁拳銃で十分だ。」
暁さんの手には拳銃が握られていた。今の数秒の中で銃を抜き、目標を定めて撃ったのか...!カッコいい。

「今回も大した敵じゃ無かったねぇ。いつになったら僕を楽しませてくれる相手が現れるのかな。」
「それは暁さんが強すぎるだけでは...」
「ふふ、嬉しいよ。」

「しゃがめ!!!!!!!!」
「えぇ!?」
暁さんに頭を押さえつけられた。
その瞬間どこからか銃弾のようなものが降り注いでくる。銃弾じゃない...鉄の針?
頭上を見ると、カラスの羽のようなものが生えた人影が電柱の上に立っていた。

「どうやら次のお客さんが来たようだね。おや、彼はきっと暴走した特殊能力者じゃない。」
「どうして俺たちを攻撃してくるんですか?」
「その話はまた後でね。」

暁さんはクルッと振り返って、ニコッと笑う。
「やぁ!カラスの少年。君はどこから来たんだい?」
「何で挨拶なんかしてるんですか!?殺されちゃいますよ!?うわぁ!また針が飛んできたっ...」

少年はクスッと笑った。
「さっきの戦い、見物させてもらったんだ。生温いねぇ、笑けてくる。勘違いしないで!君たちを殺しに来た訳じゃないんだ。新人くんを一目見てみたくてね。」

いや、完全に俺たちのこと殺そうとしてただろ、あいつ!!
「そうかい、可愛がってくれたまえ。」
「なんてこと言うんですかぁ!」
「それじゃぁ、またね~。」

「暁さん、なんなんですかあの人。」
ふっと暁さんの方を見ると、暁さんはどこか強張った表情で額は冷や汗をかいていた。
「ふぅ、流石に冷やっとしたよ。」
「え?」
「さっきの彼、黒い宝石のネックレスをしていただろう?別の集団のサインだ。世の中にはさまざまな異能力集団が結成されている。」
「へぇ、俺たちを攻撃してきたってことは、仲が悪いんですか?」

「いいや、黒い宝石のネックレスをしている集団に仲間意識はないよ。ただ戦闘を楽しむだけさ。」
「なるほど...」
「黒い宝石はブラックオパール、石言葉は威嚇。見逃してもらえただけでもラッキーだよ。次に遭遇したら戦う覚悟をすることだね。」
「わかりました。」
「よし、仕事は終わり!僕が家まで送ろう。」




家に着くとやっぱりヘトヘト。今日は見ているだけだったけど、次からは自分が仕事をこなしていかなくちゃいけないんだ。
寝る支度を済ませた後、布団に倒れこむ。あと4時間で学校か。
頑張れ、俺...

しおりを挟む

処理中です...