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少し未来のこと 短編
学習中の異世界人 2
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そもそもおれの腹の上で寝てる必要はないわけで。寝苦しいなら自室に帰ればいい。一度ベッドから降りてその下を弄ったりしたのなら、床に座って読んでりゃいい。仰向けにしろうつ伏せにしろ、横たわっているのは慣れないと自分で言っておきながら。
それでもここに居るってことは、そういうことだ。眠ろうと思っても、流石に落ち着かない。
真剣な様子で「学習中」の頬に人差し指で触れてみた。
「これは?」
「触れ合ってるとこの面積広いほうが良くない?」
本から顔を上げて不思議そうにおれを見る。少し考え込む。それから少し首を傾げて、自分から頬をおれの指にこすりつけた。
「そうか」
感触は柔らかい。つるりとした皮膚はまだ昨晩の熱が残っているかのように、ぬるく温かくもある。
「わかる?」
一度頷いてからも、目を閉じてまた考えている。感覚は、おれが思うに、ただ頭の中にある間には不定形で、行為や言語にした際に形が定まるものがある。
こいつの故郷では、こうして触れ合う際に生まれる好ましい感覚について、名前がないらしい。そんなときに、こうして短い間に思索に耽り、感覚を捕まえようと試みている。
好ましい感覚――だと思うんだけど。嫌がっているようには見えないし。おれが感じているものと全く同じではないかもしれないが。それは相手が人類だろうとそれ以外の何であろうと、確かめる術はない。
「わかった。こうだな」
で、真面目に力強く頷いたかと思ったら、今度はおれの胸の上を這い上がって、足の指の先まで完全に、全身くまなくこっちの身体に乗り上げた。
不自然な体勢だ。重なった脚と脚のバランスを取ろうとして、おれの脛に足の指が立てられる。足の指を触ったのは初めてだし、もしかしたら脛を触られたのは初めてかもしれない。
おれの提案にまんまと乗って、行為に理解は及ばないなりに、満更でもなさそうだ。そういうことをこいつ自身で感じているらしく、一人黙って頷いている。
それはとてもイイんだけど。
「違う。重い」
両足乗せられたのもそうだけど、這い上がるために胸を両腕で押さえつけられたせいで肺が潰れるかと思った。
「ここに図が載っている。お前がこれを好んでるのだろう」
ムッとして口をとがらせているのも正直好きな顔だけど。でも別にいじめたいとか嫌がらせをしたいというわけでもなく、現実的にきつい。
「そりゃ同じ種類の生き物ならね」
おれとこいつの肉体的な作りの差は人間と子猫の違いのようなもので、いくらそれを愛情の籠もった行為だと定義したとしても許容できることとできないことがある。仕方がない。ゆっくり時間をかけないと。
「別に全身乗せなくてもいいって。足開いて横に降ろして。そういうの載ってない?」
む。と口を尖らせたまま唸って視線を雑誌の上に落とす。胸の上に置かれたそれの上を、こいつの指がなぞっている。そう薄くはない雑誌越しに指の動きが伝わってくる。変な気分。
ただおれの言う通りにすればいいし、わかんないならおれに聞き返せばいいのに。学習、って。
さっき浮気の概念はわからないと言ってたけど、おれのこういう気分の意味も当然わかってなさそうだ。
「こう、か」
「そ」
足を降ろされて下半身が楽になった。太腿でこっちの足を挟まれた状態になったのもいい気分。全身がさらに密着する。肌が擦れ合うのがいい。ケツ触ってもいいかな。また雑誌に集中し始めた頃を見計らったらいけそう。
あっという間に自分の機嫌が直ってるのに自分でウケる。
異世界人の肌の具合を知ってるのってもしかして人類でおれだけかも。いや、多分みんな黙ってるだけで、こういうことやってる奴らはどうせ他にもいるんだろう。でもおれだけだ、なんて錯覚を覚えられるぐらいには、こうしてるのは楽しい。
それでもここに居るってことは、そういうことだ。眠ろうと思っても、流石に落ち着かない。
真剣な様子で「学習中」の頬に人差し指で触れてみた。
「これは?」
「触れ合ってるとこの面積広いほうが良くない?」
本から顔を上げて不思議そうにおれを見る。少し考え込む。それから少し首を傾げて、自分から頬をおれの指にこすりつけた。
「そうか」
感触は柔らかい。つるりとした皮膚はまだ昨晩の熱が残っているかのように、ぬるく温かくもある。
「わかる?」
一度頷いてからも、目を閉じてまた考えている。感覚は、おれが思うに、ただ頭の中にある間には不定形で、行為や言語にした際に形が定まるものがある。
こいつの故郷では、こうして触れ合う際に生まれる好ましい感覚について、名前がないらしい。そんなときに、こうして短い間に思索に耽り、感覚を捕まえようと試みている。
好ましい感覚――だと思うんだけど。嫌がっているようには見えないし。おれが感じているものと全く同じではないかもしれないが。それは相手が人類だろうとそれ以外の何であろうと、確かめる術はない。
「わかった。こうだな」
で、真面目に力強く頷いたかと思ったら、今度はおれの胸の上を這い上がって、足の指の先まで完全に、全身くまなくこっちの身体に乗り上げた。
不自然な体勢だ。重なった脚と脚のバランスを取ろうとして、おれの脛に足の指が立てられる。足の指を触ったのは初めてだし、もしかしたら脛を触られたのは初めてかもしれない。
おれの提案にまんまと乗って、行為に理解は及ばないなりに、満更でもなさそうだ。そういうことをこいつ自身で感じているらしく、一人黙って頷いている。
それはとてもイイんだけど。
「違う。重い」
両足乗せられたのもそうだけど、這い上がるために胸を両腕で押さえつけられたせいで肺が潰れるかと思った。
「ここに図が載っている。お前がこれを好んでるのだろう」
ムッとして口をとがらせているのも正直好きな顔だけど。でも別にいじめたいとか嫌がらせをしたいというわけでもなく、現実的にきつい。
「そりゃ同じ種類の生き物ならね」
おれとこいつの肉体的な作りの差は人間と子猫の違いのようなもので、いくらそれを愛情の籠もった行為だと定義したとしても許容できることとできないことがある。仕方がない。ゆっくり時間をかけないと。
「別に全身乗せなくてもいいって。足開いて横に降ろして。そういうの載ってない?」
む。と口を尖らせたまま唸って視線を雑誌の上に落とす。胸の上に置かれたそれの上を、こいつの指がなぞっている。そう薄くはない雑誌越しに指の動きが伝わってくる。変な気分。
ただおれの言う通りにすればいいし、わかんないならおれに聞き返せばいいのに。学習、って。
さっき浮気の概念はわからないと言ってたけど、おれのこういう気分の意味も当然わかってなさそうだ。
「こう、か」
「そ」
足を降ろされて下半身が楽になった。太腿でこっちの足を挟まれた状態になったのもいい気分。全身がさらに密着する。肌が擦れ合うのがいい。ケツ触ってもいいかな。また雑誌に集中し始めた頃を見計らったらいけそう。
あっという間に自分の機嫌が直ってるのに自分でウケる。
異世界人の肌の具合を知ってるのってもしかして人類でおれだけかも。いや、多分みんな黙ってるだけで、こういうことやってる奴らはどうせ他にもいるんだろう。でもおれだけだ、なんて錯覚を覚えられるぐらいには、こうしてるのは楽しい。
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