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三 坂井ミリはまだ知らない
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休憩室が静かになったから、もうどっかに行ったのかと思った。
「……何やってんの」
ところが普通にそこにいる。休憩室に入ってすぐに、机に頬杖を付いて呆然と虚空を見つめているミリが目に入った。
「……はっ!? 宿題! 宿題やってます!」
「完全にぼーっとしてたじゃん」
「今ちょっと休憩してただけです! だってわかんない問題ばっかりだし。信之さんこそなにをしているんですか」
「俺も休憩。ちゃんと仕事してたんだよ」
「あ! じゃあ宿題教えて下さい!」
「やだ。なんで俺が?」
俺がそう答えると、ミリは面食らったように目を見開いて絶句した。断られるとは思っていなかったらしいが、意味不明。
「西川に聞けば。さっきまで通信してたんじゃないの」
「なんか忙しそうだったんで通信切りましたー……。自分でできなきゃ意味がないみたいなお説教いっぱいしてくるし! それができれば苦労はしないわけなんですよ。カイさんすっごいお説教しますよね。人にお説教するような顔してないと思うんですけど」
「どんな顔だよ。なんかわかるけど」
「信之さんは人にお説教しそうな顔してますね」
「人を見た目で判断するんじゃない」
「ほらー」
ミリは鬼の首を取ったように俺を指差しながら大声を出した。
今のって否定してもしなくても俺に不利益しかない。最低な理屈だ。でも多分だけど西川だったら「最高」とか言ってゲラゲラ笑いながら言い返してるんだろう。
俺はやっぱり子供は苦手だ。
子供も、子供を子供扱いすることも。こうなったら年齢なんて言ってられないじゃないか。
「パパとママならわたしの代わりに宿題全部やってくれるのに、ここの皆さんはケチですねぇ」
「なにそれ学校の宿題全部、親にやらせてたの? 引く。どうかしてるよ」
「わたしが訓練で忙しかったからっていうのもありますけど、パパとママは世界で一番優しいんです! まあ宿題やってもらってたのは訓練始まる前からですけどぉ。ていうかわたしのこと悪く言うのも嫌ですけど、パパとママの悪口はやめてください!」
「その両親ってミリとは血が繋がってないんだよね」
「そですよ、わたしは人造人間ですからね。軍の関係で赤ちゃんのときに養子にしてくれたんです。でもそんなの関係なくないですか。なんで血の繋がりとかの話したんですか?」
「いや別に……」
ミリは本当にわかってない。自分が全うに子供として扱われていないことについてだ。それで周囲も本人も不自由しないからか、それともその方がよほど好都合なのか。
でもそれもこんな時代じゃ仕方がない。生まれつき人間でもないんだし。人間の子供みたいに真面目に宿題したり将来の目標を持ったりする必要がないんだ。
西川だけはずっとこいつを子供扱いしてるけど。
「わたしもカイさんたちと一緒にお仕事の方が良かったです。なんで寄生体の調査には連れてってもらえないんですかね……」
「出先で子守したくないんじゃない?」
というのは西川の代弁としては完璧なはずだ。言い方、喋り方は違ったかもだけど。
「……何やってんの」
ところが普通にそこにいる。休憩室に入ってすぐに、机に頬杖を付いて呆然と虚空を見つめているミリが目に入った。
「……はっ!? 宿題! 宿題やってます!」
「完全にぼーっとしてたじゃん」
「今ちょっと休憩してただけです! だってわかんない問題ばっかりだし。信之さんこそなにをしているんですか」
「俺も休憩。ちゃんと仕事してたんだよ」
「あ! じゃあ宿題教えて下さい!」
「やだ。なんで俺が?」
俺がそう答えると、ミリは面食らったように目を見開いて絶句した。断られるとは思っていなかったらしいが、意味不明。
「西川に聞けば。さっきまで通信してたんじゃないの」
「なんか忙しそうだったんで通信切りましたー……。自分でできなきゃ意味がないみたいなお説教いっぱいしてくるし! それができれば苦労はしないわけなんですよ。カイさんすっごいお説教しますよね。人にお説教するような顔してないと思うんですけど」
「どんな顔だよ。なんかわかるけど」
「信之さんは人にお説教しそうな顔してますね」
「人を見た目で判断するんじゃない」
「ほらー」
ミリは鬼の首を取ったように俺を指差しながら大声を出した。
今のって否定してもしなくても俺に不利益しかない。最低な理屈だ。でも多分だけど西川だったら「最高」とか言ってゲラゲラ笑いながら言い返してるんだろう。
俺はやっぱり子供は苦手だ。
子供も、子供を子供扱いすることも。こうなったら年齢なんて言ってられないじゃないか。
「パパとママならわたしの代わりに宿題全部やってくれるのに、ここの皆さんはケチですねぇ」
「なにそれ学校の宿題全部、親にやらせてたの? 引く。どうかしてるよ」
「わたしが訓練で忙しかったからっていうのもありますけど、パパとママは世界で一番優しいんです! まあ宿題やってもらってたのは訓練始まる前からですけどぉ。ていうかわたしのこと悪く言うのも嫌ですけど、パパとママの悪口はやめてください!」
「その両親ってミリとは血が繋がってないんだよね」
「そですよ、わたしは人造人間ですからね。軍の関係で赤ちゃんのときに養子にしてくれたんです。でもそんなの関係なくないですか。なんで血の繋がりとかの話したんですか?」
「いや別に……」
ミリは本当にわかってない。自分が全うに子供として扱われていないことについてだ。それで周囲も本人も不自由しないからか、それともその方がよほど好都合なのか。
でもそれもこんな時代じゃ仕方がない。生まれつき人間でもないんだし。人間の子供みたいに真面目に宿題したり将来の目標を持ったりする必要がないんだ。
西川だけはずっとこいつを子供扱いしてるけど。
「わたしもカイさんたちと一緒にお仕事の方が良かったです。なんで寄生体の調査には連れてってもらえないんですかね……」
「出先で子守したくないんじゃない?」
というのは西川の代弁としては完璧なはずだ。言い方、喋り方は違ったかもだけど。
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