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三 坂井ミリはまだ知らない
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「やっぱりカイさんに子供扱いされるの納得できないです。どーにか仕返しできないですかね……」
「言っとくけどそれ、俺は手伝わないからね」
「んぎぎぎ」
まさか本当に俺に手伝わせるつもりだったのかミリは奇声を漏らして悔しがった。
「なんであんなに自分でやれってお説教ばっかりするんでしょうか。フツーに教えてくれればいいのに」
「でもその西川も今日限りで帰ってこないかもしれない」
それを聞いてミリは子供らしい大げさな感情で大きく顔をしかめた。意地の悪い問だったかもしれない。でも現実にありえる話だ。それもわかってないんだろうか。それとも、やっぱり思い知ることもなく生きているのか。
「帰ってこないってのはつまり、死ぬかもってこと」
「そのぐらい、意味ちゃんとわかってます」
「それはよかった。安心した」
底意地は悪かったかもしれないが、嫌味のつもりはなかった。しかし当然、ミリはむっと口をとがらせた。
「カイさんは、死なないですよ。だって訓練とか検査の成績もわたしの次にいいですし、すごく強いです。それに今日はナユさんも一緒です。だから大丈夫ですよ」
「……そうかな。いつも一人で勝手に無茶しているけど」
「でもほんとに一人なわけじゃないです。全部一人でできるみたいな顔してますけど! てゆうかわたしにも一人でなんでもやれってめっちゃ言いますけど、なんでも一人でできる人なんかいないですよ! 大人とか子供とか関係ないです」
それはそうかも。部分的に同意。ミリの言うことはほとんど自分ひとりで宿題もできないことへの言い訳だったかもしれないけど、言葉の意味だけならある種の一般論で、正論だ。
あいつは一体何がしたいんだろう。
「前に言ってた嘘の話とか、ほんとほんとに最低です」
「嘘? 何の話」
「怪我してすごく痛かったけどわたしに心配させたくないから嘘ついてたって言ってたんです。自分だけ我慢したらいいみたいなの、一人でなんでもできるって思ってるからですよ。でもそんなの悲しいです」
ああ、やりそうな話だ。そういうやつだし、俺にもちょっと意味がわからない。我慢していいことあるの? って思うし。
でもそれを思い出してこんなに怒ってるのも、ちょっとどうかと思うけど。
「落ち着きなよ。宿題するんじゃなかった?」
「おお、お、落ち着いてます。でもすごく、心配になってきました! 信之さんが、カイさん死ぬかもとか言うから! いやだ!」
「いやミリは死なないって言い切ったじゃん」
「そうなんですけど!」
一度思い込むと手がつけられないようで、ミリは勢いよくイスから立ち上がった。
「いいこと思いつきました! カイさんだって一人でなんでもやってるわけじゃないことを思い知らせてやります!」
「どうやって?」
「ピンチになったところをわたしがかっこよく助けます! ていうかそもそもそのためにわたしはここに待機してるんですよね!」
「まあ、俺はそうだよ」
前線以外でのサポートという意味では。でもミリは違う。置いてかれたのはそういう理由じゃない。
「さっき増援いらないって言われたばっかりだけど。あいつらいい感じにピンチになってくれてるといいね?」
「なに言ってるんですか。ピンチになんかなってないほうがいいです」
それも心底正論。しかも痛ましく、心配そうな顔。この子マジで言ってるんだ。
「言っとくけどそれ、俺は手伝わないからね」
「んぎぎぎ」
まさか本当に俺に手伝わせるつもりだったのかミリは奇声を漏らして悔しがった。
「なんであんなに自分でやれってお説教ばっかりするんでしょうか。フツーに教えてくれればいいのに」
「でもその西川も今日限りで帰ってこないかもしれない」
それを聞いてミリは子供らしい大げさな感情で大きく顔をしかめた。意地の悪い問だったかもしれない。でも現実にありえる話だ。それもわかってないんだろうか。それとも、やっぱり思い知ることもなく生きているのか。
「帰ってこないってのはつまり、死ぬかもってこと」
「そのぐらい、意味ちゃんとわかってます」
「それはよかった。安心した」
底意地は悪かったかもしれないが、嫌味のつもりはなかった。しかし当然、ミリはむっと口をとがらせた。
「カイさんは、死なないですよ。だって訓練とか検査の成績もわたしの次にいいですし、すごく強いです。それに今日はナユさんも一緒です。だから大丈夫ですよ」
「……そうかな。いつも一人で勝手に無茶しているけど」
「でもほんとに一人なわけじゃないです。全部一人でできるみたいな顔してますけど! てゆうかわたしにも一人でなんでもやれってめっちゃ言いますけど、なんでも一人でできる人なんかいないですよ! 大人とか子供とか関係ないです」
それはそうかも。部分的に同意。ミリの言うことはほとんど自分ひとりで宿題もできないことへの言い訳だったかもしれないけど、言葉の意味だけならある種の一般論で、正論だ。
あいつは一体何がしたいんだろう。
「前に言ってた嘘の話とか、ほんとほんとに最低です」
「嘘? 何の話」
「怪我してすごく痛かったけどわたしに心配させたくないから嘘ついてたって言ってたんです。自分だけ我慢したらいいみたいなの、一人でなんでもできるって思ってるからですよ。でもそんなの悲しいです」
ああ、やりそうな話だ。そういうやつだし、俺にもちょっと意味がわからない。我慢していいことあるの? って思うし。
でもそれを思い出してこんなに怒ってるのも、ちょっとどうかと思うけど。
「落ち着きなよ。宿題するんじゃなかった?」
「おお、お、落ち着いてます。でもすごく、心配になってきました! 信之さんが、カイさん死ぬかもとか言うから! いやだ!」
「いやミリは死なないって言い切ったじゃん」
「そうなんですけど!」
一度思い込むと手がつけられないようで、ミリは勢いよくイスから立ち上がった。
「いいこと思いつきました! カイさんだって一人でなんでもやってるわけじゃないことを思い知らせてやります!」
「どうやって?」
「ピンチになったところをわたしがかっこよく助けます! ていうかそもそもそのためにわたしはここに待機してるんですよね!」
「まあ、俺はそうだよ」
前線以外でのサポートという意味では。でもミリは違う。置いてかれたのはそういう理由じゃない。
「さっき増援いらないって言われたばっかりだけど。あいつらいい感じにピンチになってくれてるといいね?」
「なに言ってるんですか。ピンチになんかなってないほうがいいです」
それも心底正論。しかも痛ましく、心配そうな顔。この子マジで言ってるんだ。
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