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色欲も良いことばかりでは無い
《十一之罪》疑問⇒確信
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人が罪を犯す時には、必ず理由がある。
例えば親や友の仇、過去に起こった何らかの恨み、国やひとの為などあるが、私が一番下衆の極みだと思うのが、『憂さ晴らし』だと思っている。
しかし、ただの憂さ晴らしなら、また違う人を探せばいい。
なぜ、この子を執拗に追っていたのだろう...。
やはりこの子は...
「さて、ブラーズ。お前も明日がある。君も病み上がりだ。早々に寝るといい。」
...ルシフはそう言うが、三人か...。
まあ外に出すよりも安全なのは間違いないのだが...
「あのなぁ...、女二人に男混ぜて...、お前はいいとして、エーシュ、君は良いのか?」
「その男がお前なら、大丈夫と私は思っていたのだが?」
...私じゃなかったらこいつはどうしたのだろう。少し気になるところである。
さて、私はオドを長時間使ったため少しばかり眠かった。
「先に寝てる。お前達も遅くならない内にな...。」
「うむ、私は寝付けそうにない。もう少し起きているよ。」
「ん。じゃあな。」
大きく欠伸をし、ベッドに入り込むと二人を背に私は、寝た。
※※※※※
......誰かの気配がする。
無理矢理意識をハッキリとさせ、気配のする後ろを向くと、誰かの頭が見えた。
エーシュが、私の背中にくっついて寝ていたのだった。
布団をかぶっていない。
冷えるのは可哀相だと思い、自分のかぶっていた布団の一部を掛けてあげようと身をよじる。
すると、エーシュが目をうっすらと開いた。
「あ、ごめんな、起こしちまった...」
「......、あっ...その、ごめんなさい...」
私が彼女に向き直り軽く謝ると、エーシュも合わせて謝罪の言葉を口にする。
彼女の謝罪は、恐らく私のベッドに入ってきた事についてだろう。
仕方もない事だ。男にあんなになるまで傷付けられ、トラウマにならないはずが無い。
証拠に、謝るエーシュの身体は、少し震えていた。
「あー...、まぁ、気にするな。そんな日もある。」
「......。」
生憎、私はこういう時にどういう言葉をかければ良いのかを知らない。
「...一つだけ、聞いてもいいか?」
「...はい。」
冒頭から、私は気になる箇所があった。
「君は今回、あんな奴らに襲われてしまった。それも、誰が聞いても卑劣な理由でだ。」
エーシュは黙って頷く。
「で、だ。これは私の勘なのだが、ああ言った事はもしかして、前にもあった事があるんじゃないのか?」
「っ...!」
エーシュはハッとし、唇を噛み締めた。
...ビンゴだ。つまり、予想通りである。彼女はやはり......
「ん、ごめんな。答えなくて良いよ。」
「ごめん、なさい...。」
謝ることではない。
人間誰しも、生きている以上隠し事はある。深入りしても、いい事の場合はまず無い。
私が励ましのつもりで彼女の頭をぽんぽんと叩くと、彼女は力を抜いたのか、ほっと息を吐いた。
「ん、序に君が私の布団に入って来た理由も聞かないでおこう。あいつは......まだ寝てないのか...。あっちのベッド借りて、さっさと寝た方がいい。」
私がそう言うと、エーシュは私の撫でていた方の袖を両手で力なく握ってきた。
「その......少しだけ......。」
「......いいよ、別に。ただ私は寝かせて貰うからな?明日も出かけるし。」
こういう時に傍に誰かが居ないと、辛いものである。
私にその恐ろしさは分からないが、恐らく相当なものなのだろう。
「明日...?」
「あー、うん、選抜戦。名前くらいは聞いたことあるだろう?」
「お兄さん...出るの...?」
「まぁな。勿論、君にも応援には来てもらうぜ?」
「外...怖い...。」
「大丈夫大丈夫。さっきのお姉さんが、私の代わりに君を守ってくれる。」
彼女を外に出す事には、もう一つ別の理由があったのだが、それは彼女には伏せておく。
エーシュは少し沈黙した後、小さく首を縦に振った。
「よし、じゃあもう遅い。私の布団で狭くて申し訳ないが、明日の予選は夕刻だ。ゆっくりと寝るが良い。」
エーシュはうん、と言って瞼を閉じた。その表情には、少しだが笑みが戻っていた。
さて、私も寝なければ。
エーシュに背中を向け、私も目を閉じる。
明日はとても、忙しくなる......
...そんな気がする......
...zzz
───────────────
例えば親や友の仇、過去に起こった何らかの恨み、国やひとの為などあるが、私が一番下衆の極みだと思うのが、『憂さ晴らし』だと思っている。
しかし、ただの憂さ晴らしなら、また違う人を探せばいい。
なぜ、この子を執拗に追っていたのだろう...。
やはりこの子は...
「さて、ブラーズ。お前も明日がある。君も病み上がりだ。早々に寝るといい。」
...ルシフはそう言うが、三人か...。
まあ外に出すよりも安全なのは間違いないのだが...
「あのなぁ...、女二人に男混ぜて...、お前はいいとして、エーシュ、君は良いのか?」
「その男がお前なら、大丈夫と私は思っていたのだが?」
...私じゃなかったらこいつはどうしたのだろう。少し気になるところである。
さて、私はオドを長時間使ったため少しばかり眠かった。
「先に寝てる。お前達も遅くならない内にな...。」
「うむ、私は寝付けそうにない。もう少し起きているよ。」
「ん。じゃあな。」
大きく欠伸をし、ベッドに入り込むと二人を背に私は、寝た。
※※※※※
......誰かの気配がする。
無理矢理意識をハッキリとさせ、気配のする後ろを向くと、誰かの頭が見えた。
エーシュが、私の背中にくっついて寝ていたのだった。
布団をかぶっていない。
冷えるのは可哀相だと思い、自分のかぶっていた布団の一部を掛けてあげようと身をよじる。
すると、エーシュが目をうっすらと開いた。
「あ、ごめんな、起こしちまった...」
「......、あっ...その、ごめんなさい...」
私が彼女に向き直り軽く謝ると、エーシュも合わせて謝罪の言葉を口にする。
彼女の謝罪は、恐らく私のベッドに入ってきた事についてだろう。
仕方もない事だ。男にあんなになるまで傷付けられ、トラウマにならないはずが無い。
証拠に、謝るエーシュの身体は、少し震えていた。
「あー...、まぁ、気にするな。そんな日もある。」
「......。」
生憎、私はこういう時にどういう言葉をかければ良いのかを知らない。
「...一つだけ、聞いてもいいか?」
「...はい。」
冒頭から、私は気になる箇所があった。
「君は今回、あんな奴らに襲われてしまった。それも、誰が聞いても卑劣な理由でだ。」
エーシュは黙って頷く。
「で、だ。これは私の勘なのだが、ああ言った事はもしかして、前にもあった事があるんじゃないのか?」
「っ...!」
エーシュはハッとし、唇を噛み締めた。
...ビンゴだ。つまり、予想通りである。彼女はやはり......
「ん、ごめんな。答えなくて良いよ。」
「ごめん、なさい...。」
謝ることではない。
人間誰しも、生きている以上隠し事はある。深入りしても、いい事の場合はまず無い。
私が励ましのつもりで彼女の頭をぽんぽんと叩くと、彼女は力を抜いたのか、ほっと息を吐いた。
「ん、序に君が私の布団に入って来た理由も聞かないでおこう。あいつは......まだ寝てないのか...。あっちのベッド借りて、さっさと寝た方がいい。」
私がそう言うと、エーシュは私の撫でていた方の袖を両手で力なく握ってきた。
「その......少しだけ......。」
「......いいよ、別に。ただ私は寝かせて貰うからな?明日も出かけるし。」
こういう時に傍に誰かが居ないと、辛いものである。
私にその恐ろしさは分からないが、恐らく相当なものなのだろう。
「明日...?」
「あー、うん、選抜戦。名前くらいは聞いたことあるだろう?」
「お兄さん...出るの...?」
「まぁな。勿論、君にも応援には来てもらうぜ?」
「外...怖い...。」
「大丈夫大丈夫。さっきのお姉さんが、私の代わりに君を守ってくれる。」
彼女を外に出す事には、もう一つ別の理由があったのだが、それは彼女には伏せておく。
エーシュは少し沈黙した後、小さく首を縦に振った。
「よし、じゃあもう遅い。私の布団で狭くて申し訳ないが、明日の予選は夕刻だ。ゆっくりと寝るが良い。」
エーシュはうん、と言って瞼を閉じた。その表情には、少しだが笑みが戻っていた。
さて、私も寝なければ。
エーシュに背中を向け、私も目を閉じる。
明日はとても、忙しくなる......
...そんな気がする......
...zzz
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