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色欲も良いことばかりでは無い
《十二之罪》予選と言う名の消化試合
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勇者選抜戦、剣士予選当日。
王都の開催する大きなイベントの為、朝から王都中が騒がしかった。
そんな中を私、ルシフ、エーシュの三人は...
「なんか、凄い見られてるな...」
「うぅ......。」
「人の目など気にするな、とも言いづらい程だな、これは...」
凄く、周囲の人に見られながら、城まで歩いていた。
参加者はそこまで注目されるのだろうか。いや、そうではない。私は薄々、気が付いていた。
しかし少し予想より上を行っていた。
これは何かしらの対策が必要だ。
私たちは大通りから逸れ、小道に入る。
人の目はここまで来なかった。今である。
ブラーズは体内のオドを外へ引き出した。
すると彼の左腕が白い輝きに包まれた。
その手でエーシュの手を握る。彼女は最初おどおどしていたものの、慣れてきたのか私の手をぎゅっと右手で握り返してきた。
すると私の腕と同じように、彼女の身体も淡く輝きだした。
これでよし。
私たちは再び、大通りへと戻った。
すると......
「...えっ......なんで...?」
「どうだ、凄いだろう?」
これが私の使う魔法の一つ、自身に当たる光を調節し、姿を見えなくさせる効果を持つ。
ただしこの魔法は自身にのみしか効果が無く、他人を消す為には何処か触れ続けていなければならない。それに、隠せるのはあくまで『姿だけ』である。
私はこれを、『迷彩』と呼んでいる。
しかし、どうやら効果てきめんであったようだ。
先程までの異常な注目は消え、私たちは間違いなく、民衆に紛れる事が出来た。
そしてこれは、ある事の確信へと繋がったのである。
「あ、そうだ。予選が終わったら、少し君に伝えておきたい事がある。今はあまり時間が無いからな。」
エーシュは私を見てこくん、と頷くと、私の左手をさらにぎゅっと、強く握ってきた。
※※※※※
城の周囲には、既に人だかりが出来ていた。
「予選で何人落ちるんだ?」
「二十人だよ。で、本戦では更に半分の十人。出来ればその中に私が入って居れば嬉しいがな。」
剣士の登録者は四十は出場しているらしい。競争率はそれなりに高いと見える。
「私...も、応援してます...っ」
エーシュが繋いでいない方の手で拳を握って見せてくる。
なんだこいつ、可愛い。モフりたい。
因みにエーシュは昨日の夜以降、少しだが明るさを取り戻している。
口数も増えてきていて、良い傾向だ。
城の前にはガタイのいい背の高い門番が二人いて、片方は騎槍、片方は青竜刀を片手に構えて城の入口を守っている。
私は受付で渡されたバッジを騎槍を持った門番に見せると、兵士は私たちを連れ、城内へと案内された。
入って長い廊下を直進し、ドアを一つ隔てたところにある大広間が観賞の席であり、私はそこで二人と別れを告げ、私は更にその奥へと歩いて行った。
その時私がエーシュと手を離した事により迷彩が解除され、一瞬だが大注目を浴びた事は言うまでもない。
そっちの事はルシフに任せよう。あいつならうまくやってくれるさ。
私は大広間から入って、右側にある扉の奥へ入った。
長いレッドカーペットの廊下を歩き、両開きの扉を開くと、光が差し込んできた。
外に出た。
外、という表現が正しいのかは分からなかったが、此処が選抜戦の会場らしい。
既に何人もの剣士がそこで準備運動のようなことをしていた。
会場は至ってシンプルな闘技場であり、とても大きな円形の平地である。
ただしそこに行く為には1本の鉄の橋を渡る必要があり、周囲には巨大な堀が、そしてその中には水がびっしりと溜まっていた。
成程。
会場の形からして恐らくは場外アウトも有り得るだろう。
まあ予選だし、などと軽い気持ちで、私は橋を渡った。
勇者選抜戦予選、間もなく開始である。
王都の開催する大きなイベントの為、朝から王都中が騒がしかった。
そんな中を私、ルシフ、エーシュの三人は...
「なんか、凄い見られてるな...」
「うぅ......。」
「人の目など気にするな、とも言いづらい程だな、これは...」
凄く、周囲の人に見られながら、城まで歩いていた。
参加者はそこまで注目されるのだろうか。いや、そうではない。私は薄々、気が付いていた。
しかし少し予想より上を行っていた。
これは何かしらの対策が必要だ。
私たちは大通りから逸れ、小道に入る。
人の目はここまで来なかった。今である。
ブラーズは体内のオドを外へ引き出した。
すると彼の左腕が白い輝きに包まれた。
その手でエーシュの手を握る。彼女は最初おどおどしていたものの、慣れてきたのか私の手をぎゅっと右手で握り返してきた。
すると私の腕と同じように、彼女の身体も淡く輝きだした。
これでよし。
私たちは再び、大通りへと戻った。
すると......
「...えっ......なんで...?」
「どうだ、凄いだろう?」
これが私の使う魔法の一つ、自身に当たる光を調節し、姿を見えなくさせる効果を持つ。
ただしこの魔法は自身にのみしか効果が無く、他人を消す為には何処か触れ続けていなければならない。それに、隠せるのはあくまで『姿だけ』である。
私はこれを、『迷彩』と呼んでいる。
しかし、どうやら効果てきめんであったようだ。
先程までの異常な注目は消え、私たちは間違いなく、民衆に紛れる事が出来た。
そしてこれは、ある事の確信へと繋がったのである。
「あ、そうだ。予選が終わったら、少し君に伝えておきたい事がある。今はあまり時間が無いからな。」
エーシュは私を見てこくん、と頷くと、私の左手をさらにぎゅっと、強く握ってきた。
※※※※※
城の周囲には、既に人だかりが出来ていた。
「予選で何人落ちるんだ?」
「二十人だよ。で、本戦では更に半分の十人。出来ればその中に私が入って居れば嬉しいがな。」
剣士の登録者は四十は出場しているらしい。競争率はそれなりに高いと見える。
「私...も、応援してます...っ」
エーシュが繋いでいない方の手で拳を握って見せてくる。
なんだこいつ、可愛い。モフりたい。
因みにエーシュは昨日の夜以降、少しだが明るさを取り戻している。
口数も増えてきていて、良い傾向だ。
城の前にはガタイのいい背の高い門番が二人いて、片方は騎槍、片方は青竜刀を片手に構えて城の入口を守っている。
私は受付で渡されたバッジを騎槍を持った門番に見せると、兵士は私たちを連れ、城内へと案内された。
入って長い廊下を直進し、ドアを一つ隔てたところにある大広間が観賞の席であり、私はそこで二人と別れを告げ、私は更にその奥へと歩いて行った。
その時私がエーシュと手を離した事により迷彩が解除され、一瞬だが大注目を浴びた事は言うまでもない。
そっちの事はルシフに任せよう。あいつならうまくやってくれるさ。
私は大広間から入って、右側にある扉の奥へ入った。
長いレッドカーペットの廊下を歩き、両開きの扉を開くと、光が差し込んできた。
外に出た。
外、という表現が正しいのかは分からなかったが、此処が選抜戦の会場らしい。
既に何人もの剣士がそこで準備運動のようなことをしていた。
会場は至ってシンプルな闘技場であり、とても大きな円形の平地である。
ただしそこに行く為には1本の鉄の橋を渡る必要があり、周囲には巨大な堀が、そしてその中には水がびっしりと溜まっていた。
成程。
会場の形からして恐らくは場外アウトも有り得るだろう。
まあ予選だし、などと軽い気持ちで、私は橋を渡った。
勇者選抜戦予選、間もなく開始である。
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