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色欲も良いことばかりでは無い
《十八之罪》切り札は天の上に
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この世界の魔法には、『発動した時の周囲の環境によって能力が変わる』特性がある。
火属性は周囲の気温、室温が高い程。
水属性は周囲の室温が高い程。
風属性は天候が荒れている程。
土属性は周囲に自然が多い程。
闇属性は夜が深い程。
毒属性は唯一、周囲の環境に左右されない。
そして聖属性は、太陽が高い所にある程。そしてこれこそが、私の持つ切り札の一つである。
聖属性の持つ力は、太陽が丁度真上に来たところで最大となる。そしてその力は時間限定となるが、全魔法を遥かに凌駕する。
先ほどまで男の攻撃を交わしてばかりだった私は、タイミングを見つけてステージの中央に跳んで移動した。
片手を空に向かって伸ばし、体内のオドを練り始める。
すると太陽の輝きが増し、遂には眩しさで太陽を見なくても、目を開けて居られないほどになってしまった。
男はその眩しさに目を鎧の上から腕で隠す。
開始直後の目くらましとは訳が違い、光を直視すれば目が焼かれる程だ。
聖属性の魔法の用途は、「光を操る」事である。
太陽が頂点に現れ、聖属性の魔法の威力が上がると同時に私は、太陽の光を増幅させた。ただそれだけである。
だがこれだけでいい。太陽の光が増す事で、それが反射した光も増幅する。光はくなればなるほど熱を持ち、遂には周囲のものが少しずつ燃え始めていた。
ステージの周囲を囲うようにある水に反射した光も含め、全方位から男を焼き尽くす。
因みに私は迷彩を併用し、光の影響は受けなかった。
迷彩は「光の角度の調節」であり、それで身体を守ったのだ。
しかし残念ながら周囲は真っ白な世界に包まれており、私自身も周囲を見渡せない。発動したら私自身何も出来ないのが嫌なところだ。だから何が起こっているかは周囲の音で察知するしかない。
聞こえてくるのは男の苦悶の声、これは対戦相手である男の声だ。そしてパチパチと、火花がはじける音。後始末を考えると少し鬱になる。
そろそろ制限時間だ。
私はそっと、光の強さを弱くしていく。
辺りを見渡すと、ステージの外に生えていた花は完全に枯れ、燃えていた。
そして私の目の前には、焼け焦げて倒れた男がいた。
...死んでないよな?
ここまできて心配になってきた。
耳を男の近くに近付けて呼吸音を確認。
まだ生きている。ならいい。
法螺の音色が聞こえてこないのは、恐らく兵士が逃げたからだろう。
城の中から一人の兵士が走ってあらわれ、法螺を吹く。
多少のやり過ぎた感はあるが、何はともあれ...
予選第一回戦、終了である。
※※※※※
試合が終わって部屋に戻った私は、オドを回復する為にベッドに横になっていた。
太陽は頂点を微妙だが過ぎている。奥の手はもう使えない。
次からは純粋な実力勝負となるだろう。
私が戦う回数は合計で三戦。試合はきちんと順番にやっているおかげで次の対戦相手は大体分かるのだが、試合の中継を見ない私は目の当たりにするまで対戦相手が誰かは解らない。
最初に対戦相手の名前を教えて貰ったが、顔も知らないんじゃ覚える事も出来なく、すぐに忘れてしまった。
出番が無くて暇をしていた私は、ふと、思うところがあった。
この城の王を、私は一度も見ていないのである。
まあ、選抜戦を勝ち進めば、謁見の機会もあるだろう。
......
兵士が部屋の扉をノックしてきた。
オドを全回復するくらいの睡眠は取れたので、さっさとベッドから降りる。
庭に着いたが、中央のステージには誰もいない。
今回は遅れずに着いたようだ。
一足先にステージに移動し、対戦相手を待つ。
人影が見えた。そちらに目をやる。
細い体躯に焦げ茶色のローブという、シンプルだが動きやすい服装の男は、フードで顔が隠れてよく見えない。
武器は既に抜刀されているようで、両手には一本ずつ、細い双剣が握られていた。その刀身は赤く、妖しく輝いている。
男はステージに到着するなり、戦闘体型に入った。
その構えには一切のスキが無く、剣の腕はそれだけで高い事が分かる。
接続を発動し、光を握って手を引くと、一振りの黒光りする刀が手に握られた状態で現れた。
どうしてこうも、名を名乗らずに戦うのだろう。
どの世界にも騎士道というものはあるのだが、どうやら剣士と騎士は違うらしい。
少し残念な気持ちを覚えたまま第二試合、私にとっては準決勝が始まった。
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火属性は周囲の気温、室温が高い程。
水属性は周囲の室温が高い程。
風属性は天候が荒れている程。
土属性は周囲に自然が多い程。
闇属性は夜が深い程。
毒属性は唯一、周囲の環境に左右されない。
そして聖属性は、太陽が高い所にある程。そしてこれこそが、私の持つ切り札の一つである。
聖属性の持つ力は、太陽が丁度真上に来たところで最大となる。そしてその力は時間限定となるが、全魔法を遥かに凌駕する。
先ほどまで男の攻撃を交わしてばかりだった私は、タイミングを見つけてステージの中央に跳んで移動した。
片手を空に向かって伸ばし、体内のオドを練り始める。
すると太陽の輝きが増し、遂には眩しさで太陽を見なくても、目を開けて居られないほどになってしまった。
男はその眩しさに目を鎧の上から腕で隠す。
開始直後の目くらましとは訳が違い、光を直視すれば目が焼かれる程だ。
聖属性の魔法の用途は、「光を操る」事である。
太陽が頂点に現れ、聖属性の魔法の威力が上がると同時に私は、太陽の光を増幅させた。ただそれだけである。
だがこれだけでいい。太陽の光が増す事で、それが反射した光も増幅する。光はくなればなるほど熱を持ち、遂には周囲のものが少しずつ燃え始めていた。
ステージの周囲を囲うようにある水に反射した光も含め、全方位から男を焼き尽くす。
因みに私は迷彩を併用し、光の影響は受けなかった。
迷彩は「光の角度の調節」であり、それで身体を守ったのだ。
しかし残念ながら周囲は真っ白な世界に包まれており、私自身も周囲を見渡せない。発動したら私自身何も出来ないのが嫌なところだ。だから何が起こっているかは周囲の音で察知するしかない。
聞こえてくるのは男の苦悶の声、これは対戦相手である男の声だ。そしてパチパチと、火花がはじける音。後始末を考えると少し鬱になる。
そろそろ制限時間だ。
私はそっと、光の強さを弱くしていく。
辺りを見渡すと、ステージの外に生えていた花は完全に枯れ、燃えていた。
そして私の目の前には、焼け焦げて倒れた男がいた。
...死んでないよな?
ここまできて心配になってきた。
耳を男の近くに近付けて呼吸音を確認。
まだ生きている。ならいい。
法螺の音色が聞こえてこないのは、恐らく兵士が逃げたからだろう。
城の中から一人の兵士が走ってあらわれ、法螺を吹く。
多少のやり過ぎた感はあるが、何はともあれ...
予選第一回戦、終了である。
※※※※※
試合が終わって部屋に戻った私は、オドを回復する為にベッドに横になっていた。
太陽は頂点を微妙だが過ぎている。奥の手はもう使えない。
次からは純粋な実力勝負となるだろう。
私が戦う回数は合計で三戦。試合はきちんと順番にやっているおかげで次の対戦相手は大体分かるのだが、試合の中継を見ない私は目の当たりにするまで対戦相手が誰かは解らない。
最初に対戦相手の名前を教えて貰ったが、顔も知らないんじゃ覚える事も出来なく、すぐに忘れてしまった。
出番が無くて暇をしていた私は、ふと、思うところがあった。
この城の王を、私は一度も見ていないのである。
まあ、選抜戦を勝ち進めば、謁見の機会もあるだろう。
......
兵士が部屋の扉をノックしてきた。
オドを全回復するくらいの睡眠は取れたので、さっさとベッドから降りる。
庭に着いたが、中央のステージには誰もいない。
今回は遅れずに着いたようだ。
一足先にステージに移動し、対戦相手を待つ。
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細い体躯に焦げ茶色のローブという、シンプルだが動きやすい服装の男は、フードで顔が隠れてよく見えない。
武器は既に抜刀されているようで、両手には一本ずつ、細い双剣が握られていた。その刀身は赤く、妖しく輝いている。
男はステージに到着するなり、戦闘体型に入った。
その構えには一切のスキが無く、剣の腕はそれだけで高い事が分かる。
接続を発動し、光を握って手を引くと、一振りの黒光りする刀が手に握られた状態で現れた。
どうしてこうも、名を名乗らずに戦うのだろう。
どの世界にも騎士道というものはあるのだが、どうやら剣士と騎士は違うらしい。
少し残念な気持ちを覚えたまま第二試合、私にとっては準決勝が始まった。
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