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二章 侵略者と訪問者
第28話 嫉妬
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金城生徒会長は、さっき淹れたばかりのお茶を口に運んだ。湯気がたち、熱々のをスズと飲む。なんだか、穏やかな空気が流れているけど、静寂がただ続いているだけ。
家の中は、時計の針の音だけが響いている。天井を見上げれば、ダイヤモンドのシャンデリアであって、天井が高い。場違いが半端なさすぎて、そろそろ出たい。お茶を一服飲んだ生徒会長が、コップを静かに机に置くと口を開いた。
「あの子は俺が飼うよ」
突然の宣言に、俺たちは驚きを隠せなかった。元々はペットを募集していたのに、来た子はペットじゃなくて人間。普通は信用しない。それよか、追い出すはずだ。それなのに、受け入れた。
「そう言って、ただ調教したいだけでしょ! あんなことやこんなこと、または、やんなことまで!」
スターがカッと目を見開いて、生徒会長を人差し指で指差した。
「スターは黙ってろや」
俺はスターを退いてその間に立った。金城生徒会長は、難しい顔してスターに言われた「やんなこと?」と口ずさむ。
「ダスクの里親になってくれるのは正直嬉しい。けど、もう一度考えてください。触覚もあって人語も話せて、どっからどう見ても人間なのに、他の人はペットだって言う奇妙な展開に、ついてこれますか!?」
金城生徒会長は、目を見開いてその瞳の奥に、切羽詰まった表情で詰め寄る俺が映っていた。
ゴホンと一つ咳払いする。離れてくれ、という手が伸びてきて、俺はゆっくり離れた。強引過ぎたかも。俺はゆっくりまた椅子に座った。
「宇宙人なのは知ってる」
サラリと軽く言った。
「えぇ!?」
俺はもう一度席を立つ。どうして知っているのか、それは、さっき硝子の壺を割ったオービットが登場の際に『ダスク様から離れろ地球人! ダスク様は銀河天才美少女でゆくゆくはこの地球を侵略するお方! たかが地球人が触れていい方ではない!』
と、割った壺など気にせずダスクの手を引いて金城から遠ざけた。そして今は庭にいる。あいつめ、さらりと侵略者だって宣言して良いことなんかないぞ。
宇宙人であっても、引き取るといった。その理由は――面白そうだから。その理由を聞いて「は?」と間抜けな声が出た。
「ほんとに宇宙人がいたとは! 感慨深くないかい?」
「いえ」
一般的には確かに、その反応だよな。テレビやユウチュウブでUMAの情報があるが、どれもあやふやなものが多い。でも、目の前に確かなものがある。一般的に興味を持ちやすい。
もしかして、宇宙人の存在を知って、ユウチュウブに流したり、何か悪用とかするつもりじゃ。じと、と睨んだ。
「何もしないよ。ただ、宇宙人てどんな生活するのか興味があって、それと、どうやって過ごすのか面白そう」
そう言った生徒会長の目は、少年のようにキラキラしていた。仮面を被った偽物の顔じゃない。素で笑った。
普段飄々としているけど、笑うと、あどけない。少年の心を残したまま、成長した人みたい。
「分かりました。頼みます」
俺はペコリと頭をさげると、金城生徒会長は困った表情で笑った。ダスクの里親の人がこの人でよかった。もし、触覚が見えて悪用する人だったら、もし、触覚が見えない場合、ペットとして首輪に繋がる。そんな最悪の未来を想像したけど、良かった。この人で。
「帰るぞ、お前たち――」
くるりと振り向くと、スターとコスモの影がない。
それぞれに座っていた場所の前には、未だ熱々の湯気がたっていてるお茶碗が置いてあるだけ。
「あいつら! どこに」
「それなら庭に向かったよ」
金城生徒会が庭を指差した。
大きな窓。テレビよりも大きな窓を指差した。呑気にまたお茶を飲んでいる。俺は「開けます」と言って、椅子から立ち上がり、人ん家の窓を開けた。
生徒会長は、自分家だというのに呑気に座っているし、誰かが庭にいても気にもしない様子。これがお金持ちの性格なのか。窓を開けて、庭に出ると息が止まった。ありえない光景がそこには広がっていた。
庭の芝生が宙に浮いていた。
俺の背丈一つ上くらい。持ち上げているのは、オービット。赤い瞳がさらに光って、髪の毛は逆立っていた。まるで一本一本生きているような。メデューサみたい。
「どうして、どうしてあたしがこんな尽くしているのに、ダスク様は振り向いてくれないの? どうしてお言葉をかけてくれないの? どうして、どうして地球人ばかり味方するの!?」
庭についているライトが消え、窓ガラスがピシとヒビが入った。それだけじゃない。近隣の電気がパッと落ち、住宅街から様々な声が。
「落ち着いて! オービット、頼むから落ち着いて!」
ダスクが止に入っても、オービットは聞く耳持たず。暴走は続く。宇宙人の暴走であれば、迷わずコスモが特攻するのだが、そのコスモは地面に顔を打ち付けて身動きが取れない状態。
何かに圧迫されたように、骨がギシギシ歪み、地面に型を打ち込むほど、押し付けられている。この力は、オービットなのか。近寄った途端、スターが引っ張った。無言で首を振る。近づいちゃだめ、という顔。
「オービット、もうよしなさい。このままだとコスモが……」
「ずっとずっと推したい申していたのに、全然振り向いてくれない。これも全部、あいつのせい!」
オービットはギロリと睨んだ。窓越しに映っている生徒会長の姿。呑気に二杯目のお茶を啜っている。
オービットの口が微かに動き、何かを唱えた。すると、ヒビが入った窓ガラスが割れ、破片が生徒会長に向かっていく。
「生徒会長!」
駆けつける暇もない。
風のような速さで、破片は生徒会長の脳へ鋭く向かっていく。だが、それはできなかった。目と鼻の先で破片が止まり、バラバラと音を出して床に散らばる。
ダスクが寸前でその力を食い止めたのだ。オービットの力を抑制したからか、ダスクは肩で息をして膝をついた。
「大丈夫ですか!?」
俺が駆け寄ると生徒会長は、眉をひそめた。
「お茶が冷めた」
「そんなこと言ってる場合じゃない!」
でも元気そうで良かった。
コスモの力も解除されて、コスモは顔を上げたとき、地面に顔を打ち付けていて鼻が真っ黒になっていた。犬みたいに。ダスクのほうは、お茶を一服すると落ち着いた。
割れた窓ガラスや落ちたブレーカーは、スターが直すことに。
オービットは、庭で膝を抱えて座っていた。時折、小さな体が震えてて寂しそう。泣いているのかも。ダスクとスターは「ほっとけ」と言った。
生徒会長は、こんなことが日常茶飯事になると理解するとますます、宇宙人に興味がついた。ダスクのほうも、すぐに金城家に入ると。
「永遠の別れ」
「違うよ。言ったでしょ永遠の別れじゃないて、遊びにくるから」
コスモが切ない表情してたので、ダスクが優しく、穏やかに言った。金城家はそう遠くない。コスモから遊びにいける距離だ。
「それじゃあ、ゲーム機いっぱい持ってく」
コスモはキラキラした眼差し。
「楽しみにしてる」
ダスクも微笑んだ。
和んだ空気で、それ俺のゲーム機、だっていうのはムード壊しなので言わないでおこう。
オービットの件について、もうサターン様に報告しているらしい。階級が一つ落ちたはずだ。
サターン様の信用も落ちている。
暴走があった翌日、何事もなく日常が続いていた。こちらの世界を知らずに、平和に過ごして呑気だ。そして、また声をかけられた。
「おはよう」
朝の挨拶当番。生徒会長の札をつけて、ニコッと笑った。その笑みが、もう気色悪いと思わなかった。
「おはようございます」
生徒会長の朝も早い。ダスクも早かった。きっと、相性がいいだろう。
すると、今まで穏やかな風が吹いていたのが急に強風になった。校舎の窓ガラスが一気に割れる。学校中から悲鳴が響く。学校の前もおかしくなった。
学校の前は交差点があって、それが青になったり赤になったり、車が何台も停車してて、向こうでは車から湯気が出て、消防のサイレンが聞こえるけど、車がどこもかしこも渋滞してて、到着できない。
これは、一体何がどうなって。
「また彼女の仕業かい?」
生徒会長が厳しい顔をした。
交差点にいる真っ赤な目をしている彼女に視線を注いでいる。彼女とは、つまり、オービットだ。オービットの視線は、生徒会長だった。
「あいつ、反省してない!」
「ふむ。何故あんな眼差しを向けられるのか疑問だ」
生徒会長が顎に手を置いて考えている。マイペースか。
「そりゃ、逆恨みだ。会長、逃げましょう。ここは危ない」
俺は生徒会長の腕を掴んだ。でも、生徒会長はじっとオービットを見つめている。二人とも見つめ合って瞬きもせず、微動だにしない。
もしかして、アイコンタクトとっているのか。そんなわけない。間もなく、コスモがやってきてついでにガーディアンもやってきた。
宇宙人がいる方向に、必ずとやってくる組織。
家の中は、時計の針の音だけが響いている。天井を見上げれば、ダイヤモンドのシャンデリアであって、天井が高い。場違いが半端なさすぎて、そろそろ出たい。お茶を一服飲んだ生徒会長が、コップを静かに机に置くと口を開いた。
「あの子は俺が飼うよ」
突然の宣言に、俺たちは驚きを隠せなかった。元々はペットを募集していたのに、来た子はペットじゃなくて人間。普通は信用しない。それよか、追い出すはずだ。それなのに、受け入れた。
「そう言って、ただ調教したいだけでしょ! あんなことやこんなこと、または、やんなことまで!」
スターがカッと目を見開いて、生徒会長を人差し指で指差した。
「スターは黙ってろや」
俺はスターを退いてその間に立った。金城生徒会長は、難しい顔してスターに言われた「やんなこと?」と口ずさむ。
「ダスクの里親になってくれるのは正直嬉しい。けど、もう一度考えてください。触覚もあって人語も話せて、どっからどう見ても人間なのに、他の人はペットだって言う奇妙な展開に、ついてこれますか!?」
金城生徒会長は、目を見開いてその瞳の奥に、切羽詰まった表情で詰め寄る俺が映っていた。
ゴホンと一つ咳払いする。離れてくれ、という手が伸びてきて、俺はゆっくり離れた。強引過ぎたかも。俺はゆっくりまた椅子に座った。
「宇宙人なのは知ってる」
サラリと軽く言った。
「えぇ!?」
俺はもう一度席を立つ。どうして知っているのか、それは、さっき硝子の壺を割ったオービットが登場の際に『ダスク様から離れろ地球人! ダスク様は銀河天才美少女でゆくゆくはこの地球を侵略するお方! たかが地球人が触れていい方ではない!』
と、割った壺など気にせずダスクの手を引いて金城から遠ざけた。そして今は庭にいる。あいつめ、さらりと侵略者だって宣言して良いことなんかないぞ。
宇宙人であっても、引き取るといった。その理由は――面白そうだから。その理由を聞いて「は?」と間抜けな声が出た。
「ほんとに宇宙人がいたとは! 感慨深くないかい?」
「いえ」
一般的には確かに、その反応だよな。テレビやユウチュウブでUMAの情報があるが、どれもあやふやなものが多い。でも、目の前に確かなものがある。一般的に興味を持ちやすい。
もしかして、宇宙人の存在を知って、ユウチュウブに流したり、何か悪用とかするつもりじゃ。じと、と睨んだ。
「何もしないよ。ただ、宇宙人てどんな生活するのか興味があって、それと、どうやって過ごすのか面白そう」
そう言った生徒会長の目は、少年のようにキラキラしていた。仮面を被った偽物の顔じゃない。素で笑った。
普段飄々としているけど、笑うと、あどけない。少年の心を残したまま、成長した人みたい。
「分かりました。頼みます」
俺はペコリと頭をさげると、金城生徒会長は困った表情で笑った。ダスクの里親の人がこの人でよかった。もし、触覚が見えて悪用する人だったら、もし、触覚が見えない場合、ペットとして首輪に繋がる。そんな最悪の未来を想像したけど、良かった。この人で。
「帰るぞ、お前たち――」
くるりと振り向くと、スターとコスモの影がない。
それぞれに座っていた場所の前には、未だ熱々の湯気がたっていてるお茶碗が置いてあるだけ。
「あいつら! どこに」
「それなら庭に向かったよ」
金城生徒会が庭を指差した。
大きな窓。テレビよりも大きな窓を指差した。呑気にまたお茶を飲んでいる。俺は「開けます」と言って、椅子から立ち上がり、人ん家の窓を開けた。
生徒会長は、自分家だというのに呑気に座っているし、誰かが庭にいても気にもしない様子。これがお金持ちの性格なのか。窓を開けて、庭に出ると息が止まった。ありえない光景がそこには広がっていた。
庭の芝生が宙に浮いていた。
俺の背丈一つ上くらい。持ち上げているのは、オービット。赤い瞳がさらに光って、髪の毛は逆立っていた。まるで一本一本生きているような。メデューサみたい。
「どうして、どうしてあたしがこんな尽くしているのに、ダスク様は振り向いてくれないの? どうしてお言葉をかけてくれないの? どうして、どうして地球人ばかり味方するの!?」
庭についているライトが消え、窓ガラスがピシとヒビが入った。それだけじゃない。近隣の電気がパッと落ち、住宅街から様々な声が。
「落ち着いて! オービット、頼むから落ち着いて!」
ダスクが止に入っても、オービットは聞く耳持たず。暴走は続く。宇宙人の暴走であれば、迷わずコスモが特攻するのだが、そのコスモは地面に顔を打ち付けて身動きが取れない状態。
何かに圧迫されたように、骨がギシギシ歪み、地面に型を打ち込むほど、押し付けられている。この力は、オービットなのか。近寄った途端、スターが引っ張った。無言で首を振る。近づいちゃだめ、という顔。
「オービット、もうよしなさい。このままだとコスモが……」
「ずっとずっと推したい申していたのに、全然振り向いてくれない。これも全部、あいつのせい!」
オービットはギロリと睨んだ。窓越しに映っている生徒会長の姿。呑気に二杯目のお茶を啜っている。
オービットの口が微かに動き、何かを唱えた。すると、ヒビが入った窓ガラスが割れ、破片が生徒会長に向かっていく。
「生徒会長!」
駆けつける暇もない。
風のような速さで、破片は生徒会長の脳へ鋭く向かっていく。だが、それはできなかった。目と鼻の先で破片が止まり、バラバラと音を出して床に散らばる。
ダスクが寸前でその力を食い止めたのだ。オービットの力を抑制したからか、ダスクは肩で息をして膝をついた。
「大丈夫ですか!?」
俺が駆け寄ると生徒会長は、眉をひそめた。
「お茶が冷めた」
「そんなこと言ってる場合じゃない!」
でも元気そうで良かった。
コスモの力も解除されて、コスモは顔を上げたとき、地面に顔を打ち付けていて鼻が真っ黒になっていた。犬みたいに。ダスクのほうは、お茶を一服すると落ち着いた。
割れた窓ガラスや落ちたブレーカーは、スターが直すことに。
オービットは、庭で膝を抱えて座っていた。時折、小さな体が震えてて寂しそう。泣いているのかも。ダスクとスターは「ほっとけ」と言った。
生徒会長は、こんなことが日常茶飯事になると理解するとますます、宇宙人に興味がついた。ダスクのほうも、すぐに金城家に入ると。
「永遠の別れ」
「違うよ。言ったでしょ永遠の別れじゃないて、遊びにくるから」
コスモが切ない表情してたので、ダスクが優しく、穏やかに言った。金城家はそう遠くない。コスモから遊びにいける距離だ。
「それじゃあ、ゲーム機いっぱい持ってく」
コスモはキラキラした眼差し。
「楽しみにしてる」
ダスクも微笑んだ。
和んだ空気で、それ俺のゲーム機、だっていうのはムード壊しなので言わないでおこう。
オービットの件について、もうサターン様に報告しているらしい。階級が一つ落ちたはずだ。
サターン様の信用も落ちている。
暴走があった翌日、何事もなく日常が続いていた。こちらの世界を知らずに、平和に過ごして呑気だ。そして、また声をかけられた。
「おはよう」
朝の挨拶当番。生徒会長の札をつけて、ニコッと笑った。その笑みが、もう気色悪いと思わなかった。
「おはようございます」
生徒会長の朝も早い。ダスクも早かった。きっと、相性がいいだろう。
すると、今まで穏やかな風が吹いていたのが急に強風になった。校舎の窓ガラスが一気に割れる。学校中から悲鳴が響く。学校の前もおかしくなった。
学校の前は交差点があって、それが青になったり赤になったり、車が何台も停車してて、向こうでは車から湯気が出て、消防のサイレンが聞こえるけど、車がどこもかしこも渋滞してて、到着できない。
これは、一体何がどうなって。
「また彼女の仕業かい?」
生徒会長が厳しい顔をした。
交差点にいる真っ赤な目をしている彼女に視線を注いでいる。彼女とは、つまり、オービットだ。オービットの視線は、生徒会長だった。
「あいつ、反省してない!」
「ふむ。何故あんな眼差しを向けられるのか疑問だ」
生徒会長が顎に手を置いて考えている。マイペースか。
「そりゃ、逆恨みだ。会長、逃げましょう。ここは危ない」
俺は生徒会長の腕を掴んだ。でも、生徒会長はじっとオービットを見つめている。二人とも見つめ合って瞬きもせず、微動だにしない。
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