三世町には絶対に住むな！

第2話 大学生活

　わたし、宇井春日菜は今年から大学生です。初めての一人暮らし。憧れていた都会で楽しいキャンパスライフを過ごそうと思っていた矢先、アパートでおかしなものを発見したのです。
「『助けて』てどういう意味だと思う？」
「は？」
　聞かれた子は、すっとキョンな声をあげてまじまじ凝視した。ここは食堂。向かい合わせに座っているのは、高校から仲良しの天津　佐江あまつ　さえ。

　顔も良くてスタイル抜群で、毎日着てくる服はお洒落。こんな貧乏くさいわたしと、仲良くしてくれる。

　
　佐江ちゃんに話を聞かせていた。
「そういや、日菜はどこにいるんだっけ？」
「三世街だよ」
　そう言うと佐江ちゃんの顔色がさあ、と青くなった。持っている箸をポトリと落とす。佐江ちゃんだけじゃない。わたしがこの街を口にすると、ざわざわ騒がしい食堂がしん、と静まり返った。食堂にいる人たちの視線が一斉にこちらを向く。
「あ、あんた、ほんとにあの街に住んでいるの？」
　佐江ちゃんは恐る恐る聞いてきた。皆の顔も青くなって食べている箸も止まっている。一体何がどうなっているのやら。佐江ちゃんは食堂の異変に気がついて、わたしの腕を掴んで食堂から離れた。
「な、何？」
「いい？　あの街は絶対に住んじゃいけないの！　電車で通りたくもない。あの街は呪われている。人がすぐに死ぬのよ。疎い日菜でも知っているかと思ったら――……はぁ」
　佐江ちゃんは顔に手を置いて大きなため息をついた。　
　
　三世街は行き着く人間がすぐに死ぬ。祟りでもあるんじゃないかと。故にこう言われている。三世街には絶対に住むなと。