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第40話 劇的before after
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「あつい………」
俺は今太陽が頂点に昇った真昼間に家の庭に立っていた。
「それじゃあ、今から土属性をさらに開花させるためのエルフに伝わる訓練法を今から教えるのじゃ」
「外でないと駄目なんですか?」
「当り前じゃ。土魔法は、この大地にある土と触れ合うことによって、開花していくと言われているのじゃ。座学だけではイメージしづらいじゃろう」
あれから、初級の土魔法の呪文やイメージの仕方等を教わったのだが、一向に俺の土魔法は発動する気配がなかった。本当は、使えなくてもいいから、どんどんいろいろな土魔法を教えてもらえれば、それはそれで楽しいのだが、ラズエルデ先生はまずは初級が使えるようになってからと、こうして俺に土魔法を伸ばすための方法を伝授してくれるという事だった。
土を砂に変えるという土魔法の素質判定方法をイカサマしてた俺に素質が俺にあるかどうかが怪しい所だが、今となっては本当のことを言い出せない。
お兄様も俺には素質があると言っているのだし、そのうち何とかなるだろうと楽観視していたのだが………
「この辺りの土地は余っているのかのぅ?」
ラズエルデ先生は家の横の柵の内側の土地に四角い線を描いた。
「?……そうですね」
「では、始めるとしようかのぅ【لحصول على متحمس ، التربة.】」
ラズエルデ先生が呪文を詠唱すると四角く囲った線の内側の土の一部が揺れたり、盛りあがったり、と変な動きをし出す。少し経つと一列の畝が出来上がっていた。
「そして、ここに」持ってきた鞄から何かの苗を数本、取り出して、畝の上に放り投げた。「【أكل الشتلات】」
呪文を詠唱すると、土が苗を等間隔に動かして、地中に根の方を引きずり込んでいく。それは驚くべき光景であり、俺が呆気に取られていると、ほどなくして畝には苗が立った状態で植えられていた。
「このように土を動かす術を学ぶのに農作業は適しておるのじゃ。エルフ族はこのようにして、土魔法の才あるものは小さい時から作物を育てるのを手伝っているのじゃ」
「それって………」
それって、上手い事、労働力として使われるための方便ではないのだろうか。なんてことを思って口に出そうになるのをぐっとこらえる。
「いや、なるほどですね。土と触れ合っていると、土魔法は上達していくというわけですか………ちなみにこの苗は何の苗なんですか?」
「これはサツマイモの苗じゃ。今からでも上手い事育てれば秋頃には収穫ができるじゃろう。残りはジーク、お主が植えるのじゃ」
「僕がですか?!」
「そうじゃ。お主には土魔法の才能は確かにあるのじゃ。サボらずにやっておれば、最低でも2,3日でできるようになるじゃろう」
うっ、どうせならここで、瞬時に真似して、「何じゃとー。もうできてしまったのか? ジークお主は天才じゃ」っていうのをしたいところだが、土魔法は未だに発動の兆しを見せていない。
俺は駄目もとで、ラズエルデ先生に教えられた呪文を詠唱してみる。しかし、一向に土が動く気配が感じられない。そして、暑い。ただ立っているだけなので、余計に暑さを感じてしまう。
そして、この日は土魔法が発動せずに終わった。
「次に来るまで毎日この訓練はやっておくのじゃ」
夕方頃にラズエルデ先生は帰っていった。
翌日、俺は早起きして庭先に出た。
昼間は暑いからな。朝にちょっとやって無理なら、仕方がないので自分の手で耕してしまおうと決心した。それには涼しい間にやってしまうのがベストだ。ラズエルデ先生曰く、この訓練方法は土魔法の才能があれば、誰でも簡単にできてしまうものなのだろう。しかし、それができないという事は俺に土魔法の才能はないということだ。いつもみたいに精霊とかが手助けしてくれることを期待したが、一向にその気配がない。
俺は少し呪文を唱えて、地面の様子を観察する。
「………うん。俺には土魔法の才能はなさそうだな」
しかし、いろいろな魔法を見れるのは楽しいので、ラズエルデ先生の土魔法の授業は是非このまま受けたいところである。
俺は家にあった庭師が使うためのスコップを手に取り、先生の畝の隣の土をスコップで掘り返す。
少しして俺は気づいてしまった。
「………暑いし。こんな事はやってられない」
俺はスコップを放り投げた。どうやら早起きしたつもりが、太陽はすでに天頂へと昇ろうとしていた。
ここはファンタジーの世界なのだ。いまある手札でこの土地を耕してしまえばいいのだ。俺が今のところ使えるのは闇・光・風とこの三種だ。この中で一番耕すことにイメージしやすいのは風魔法だ。
俺は前世で見たことのある耕運機をイメージして、風魔法でその動きをトレースする。小さな風の回転を数個横に並べて、土と空気が混じり合うように前方へと動き出していく。
「おお、素晴らしい」
イメージ通りに土が掘り返されて前方へと進んでいく。そういえば石灰とか肥料を撒くといいって聞いた事があるのを思い出した。手元にそんなものがないので、栄養分をイメージして、光魔法をまき散らしておくことにする。
先生の横の土地をあらかた混ぜ返し終わったので、次は小さな風の回転の角度と大きさを中心の数個だけV字になるように並べて大きくイメージする。そして、その回転を前方へと動かす。
すると何ということでしょう。平らだった混ぜ返された土が、V字で掘ったところは深く、舞い上がった土が横へと流れ2列の畝が出来上がっているじゃあないですか。細やかに風魔法で制御された土はまるで2進数の3を連想させるかのように整然と並んでいます。
俺は風の回転を往復させていき、最終的に畝を8列も作り出すことに成功した。
風魔法【耕運機】が誕生した瞬間であった。
俺は今太陽が頂点に昇った真昼間に家の庭に立っていた。
「それじゃあ、今から土属性をさらに開花させるためのエルフに伝わる訓練法を今から教えるのじゃ」
「外でないと駄目なんですか?」
「当り前じゃ。土魔法は、この大地にある土と触れ合うことによって、開花していくと言われているのじゃ。座学だけではイメージしづらいじゃろう」
あれから、初級の土魔法の呪文やイメージの仕方等を教わったのだが、一向に俺の土魔法は発動する気配がなかった。本当は、使えなくてもいいから、どんどんいろいろな土魔法を教えてもらえれば、それはそれで楽しいのだが、ラズエルデ先生はまずは初級が使えるようになってからと、こうして俺に土魔法を伸ばすための方法を伝授してくれるという事だった。
土を砂に変えるという土魔法の素質判定方法をイカサマしてた俺に素質が俺にあるかどうかが怪しい所だが、今となっては本当のことを言い出せない。
お兄様も俺には素質があると言っているのだし、そのうち何とかなるだろうと楽観視していたのだが………
「この辺りの土地は余っているのかのぅ?」
ラズエルデ先生は家の横の柵の内側の土地に四角い線を描いた。
「?……そうですね」
「では、始めるとしようかのぅ【لحصول على متحمس ، التربة.】」
ラズエルデ先生が呪文を詠唱すると四角く囲った線の内側の土の一部が揺れたり、盛りあがったり、と変な動きをし出す。少し経つと一列の畝が出来上がっていた。
「そして、ここに」持ってきた鞄から何かの苗を数本、取り出して、畝の上に放り投げた。「【أكل الشتلات】」
呪文を詠唱すると、土が苗を等間隔に動かして、地中に根の方を引きずり込んでいく。それは驚くべき光景であり、俺が呆気に取られていると、ほどなくして畝には苗が立った状態で植えられていた。
「このように土を動かす術を学ぶのに農作業は適しておるのじゃ。エルフ族はこのようにして、土魔法の才あるものは小さい時から作物を育てるのを手伝っているのじゃ」
「それって………」
それって、上手い事、労働力として使われるための方便ではないのだろうか。なんてことを思って口に出そうになるのをぐっとこらえる。
「いや、なるほどですね。土と触れ合っていると、土魔法は上達していくというわけですか………ちなみにこの苗は何の苗なんですか?」
「これはサツマイモの苗じゃ。今からでも上手い事育てれば秋頃には収穫ができるじゃろう。残りはジーク、お主が植えるのじゃ」
「僕がですか?!」
「そうじゃ。お主には土魔法の才能は確かにあるのじゃ。サボらずにやっておれば、最低でも2,3日でできるようになるじゃろう」
うっ、どうせならここで、瞬時に真似して、「何じゃとー。もうできてしまったのか? ジークお主は天才じゃ」っていうのをしたいところだが、土魔法は未だに発動の兆しを見せていない。
俺は駄目もとで、ラズエルデ先生に教えられた呪文を詠唱してみる。しかし、一向に土が動く気配が感じられない。そして、暑い。ただ立っているだけなので、余計に暑さを感じてしまう。
そして、この日は土魔法が発動せずに終わった。
「次に来るまで毎日この訓練はやっておくのじゃ」
夕方頃にラズエルデ先生は帰っていった。
翌日、俺は早起きして庭先に出た。
昼間は暑いからな。朝にちょっとやって無理なら、仕方がないので自分の手で耕してしまおうと決心した。それには涼しい間にやってしまうのがベストだ。ラズエルデ先生曰く、この訓練方法は土魔法の才能があれば、誰でも簡単にできてしまうものなのだろう。しかし、それができないという事は俺に土魔法の才能はないということだ。いつもみたいに精霊とかが手助けしてくれることを期待したが、一向にその気配がない。
俺は少し呪文を唱えて、地面の様子を観察する。
「………うん。俺には土魔法の才能はなさそうだな」
しかし、いろいろな魔法を見れるのは楽しいので、ラズエルデ先生の土魔法の授業は是非このまま受けたいところである。
俺は家にあった庭師が使うためのスコップを手に取り、先生の畝の隣の土をスコップで掘り返す。
少しして俺は気づいてしまった。
「………暑いし。こんな事はやってられない」
俺はスコップを放り投げた。どうやら早起きしたつもりが、太陽はすでに天頂へと昇ろうとしていた。
ここはファンタジーの世界なのだ。いまある手札でこの土地を耕してしまえばいいのだ。俺が今のところ使えるのは闇・光・風とこの三種だ。この中で一番耕すことにイメージしやすいのは風魔法だ。
俺は前世で見たことのある耕運機をイメージして、風魔法でその動きをトレースする。小さな風の回転を数個横に並べて、土と空気が混じり合うように前方へと動き出していく。
「おお、素晴らしい」
イメージ通りに土が掘り返されて前方へと進んでいく。そういえば石灰とか肥料を撒くといいって聞いた事があるのを思い出した。手元にそんなものがないので、栄養分をイメージして、光魔法をまき散らしておくことにする。
先生の横の土地をあらかた混ぜ返し終わったので、次は小さな風の回転の角度と大きさを中心の数個だけV字になるように並べて大きくイメージする。そして、その回転を前方へと動かす。
すると何ということでしょう。平らだった混ぜ返された土が、V字で掘ったところは深く、舞い上がった土が横へと流れ2列の畝が出来上がっているじゃあないですか。細やかに風魔法で制御された土はまるで2進数の3を連想させるかのように整然と並んでいます。
俺は風の回転を往復させていき、最終的に畝を8列も作り出すことに成功した。
風魔法【耕運機】が誕生した瞬間であった。
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