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第71話 美味い話には裏がある?!
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今日は王都にある『止まり木亭』の1つのテーブルを昼の営業を過ぎたころに予約をしていたので、俺は席についた。
他の席には、すでにアリトマさんとフローリアさんが座っている。誰も来ないという最悪の事態は避けることができたようで安堵する。しかし、円形のテーブルの周りには8席用意されているというのに、自分を含め3人しか来ていないのはちょっと寂しい。
「お昼時は少し過ぎていますが、自由に注文して頂いていいですよ。前にも申し上げた通り、今日は僕が奢りますので」
「本当に、いいんですか?」
「私は、まだお昼を食べてないのだけど、注文してもいいの?」
お昼を少し過ぎているのは、今日は家で昼食を食べてから出てきているからである。昼食代を払いたくないからではなく、今日は自宅で食べねばならなかっただけである。フローリアさんはこの時間でも、まだ昼食を食べていないということなので、昼食をごちそうになる気満々で来たのであろう。
「いいですよ。お金に関しては気にしないでください。今日話を聞きに来てくれた報酬ということで」
「そう………じゃあ、私はこのグレートボアのワイン煮込みとサラダを頂いても?」
「それでいいですよ」
ちゃっかりこの店で一番高い食べ物を頼むフローリアさん。といっても大衆食堂なのでたかが知れている。
「わ、私は紅茶とこのフルーツの盛り合わせを頂きます」
「う、それも美味しそうね」
「食後にそれも追加で頼んでいいですよ」
「そうなの?! じゃあ、お願いしていいかしら」
「ええ、どうぞ、どうぞ」
そんな会話をしていると、1班にいた赤髪の青年がやって来て、ドカリと音を立てて椅子に座った。
「昼から、豪勢なことだな。俺もこちらの彼女と同じものを注文してもいいか? あと追加でパンも」
「ええ、いいですよ」
「流石、ダリオ工房に受かっただけあるな。金回りが良くて羨ましいぜ」
「いえ、ダリオ工房は断りをいれましたので、あちらで働くことはないですね」
「えっ?」
フローリアさんとアリトマさんは驚きの声を上げた。
「お金に関しては心配しないでください。こう見えてそこそこお金は持っていますから」
「お前、もしかして、どこかの貴族とかじゃないだろうな? いい話があるから是非来てほしいって言われて来たが、厄介事とかならやめてくれよ」
貴族どころか王族なのだが、それを言ってしまえば萎縮してしまうだろう。ここは冒険者グリフィスとして振る舞っていくしかない。
「いえいえ、そんなことはないので安心してください。今日話を聞いて、興味がなければ、これっきりで構いませんので」
「そうか。それで、この前言ってた【いい話】ってのは何なんだ? てっきりダリオ工房に入る方法でも教えてくれるのかと思っていたんだがな」
「そうですね。もう少し待ってもらってもいいですか? もう何人か来るかもしれないですし」
「もう来ないんじゃないか? ここに来るまで、お前の怪しい話を信じて来るなんて俺くらいだと思っていたぐらいだからな」
「怪しい………ですか?」
俺は、他2人の顔を伺う。
「そうね。受かったあなたが、落ちた人たちに声をかけて回っていたからね。自慢話を聞かされるとか思った人もいるんじゃないかしら」
「……それじゃあ、フローリアさんは、何で来てくれたんですか?」
「わ、私は、ちょっと、試験代とかで今月ピンチだったので、ただでご飯を食べれるならと思って………」
フローリアさんの声量はだんだんと小さくなって、最後の方は聞き取れなかった。かつかつの生活を送っているのだろう。
「アリトマさんは?」
「君が僕の絵を絶賛してくれたからね。僕の絵は、どの工房でも認められなかったんだけど、僕の絵に価値があるって言ってくれた君の話を聞いてみたくてね」
「私の絵に価値があるなんてことは言われなかったんだけど……」
アリトマさんだけ、かなりべた褒めして今日来てもらったのだが、他の人にはそこまで熱心に勧誘していなかった。これはフローリアさんの絵も誉めておくべきだろう。
「フローリアさんの絵も素晴らしい魅力がありましたよ」
「でも合格できなかった………」
「適材適所というやつです。捨てる神あれば、拾う神ありって言いますからね。ダリオ工房で受からなくても、他でその絵を活かすことができるかもしれません」
「だけど、私は他の工房でも試験に落ちてしまっているのよ。絵で食べていくのは諦めなければいけないわ。残念だけど………」
「いえ、ところが諦める必要はありません。もし今から僕が話す内容を気にいっていただければ、絵の仕事で生計を立てることも可能ですし、結果を出していただければ、試験の時に言っていた王子の肖像画を描くということも可能です」
「えっ? それってどういうこと?」
「どうやら、もう1人来たみたいなので、あの人が席に着いたら、先日話した【いい話】というものを説明させてもらいます」
『止まり木亭』の正面扉から入って来たのは同じ班で手のひらをくるくる回転させていたオスカーさんだった。
オスカーさんは俺を見つけると、ゆっくりと近づいて席に着いた。
「それで【いい話】とは一体どういった内容なんですか? ダリオ工房に受かる方法を教えてもらえるんですか?」
オスカーさんも赤髪の青年と同じように勘違いしているようである。
「いえ、そのような方法は知らないですよ。オスカーさんが来る前にも言っていたのですが、僕はダリオ工房には入らないので」
「………無駄足でしたか。一縷の望みにかけて、ここにやって来てしまった自分が情けない。では、私はこれで失礼します」
オスカーさんは来て早々席から立ちあがり帰ろうとする。
「待ってください、オスカーさん。話だけでも聞いていきませんか。前にも言ったように何でも奢りますよ」
「年下に奢ってもらおうとは思いませんよ。それでは、失礼する」
オスカーさんはため息をついて、立ち上がった。
「絵の仕事ができますよ。それも、一回だけではなくずっと。それを職にして暮らしていくことができるんですよ。興味はありませんか?」
「本当ですか?」
俺が頷くのを見て、オスカーさんは再び席に座る。
「それではお話しましょう。僕が始める新しい工房【トキワ工房】について………」
他の席には、すでにアリトマさんとフローリアさんが座っている。誰も来ないという最悪の事態は避けることができたようで安堵する。しかし、円形のテーブルの周りには8席用意されているというのに、自分を含め3人しか来ていないのはちょっと寂しい。
「お昼時は少し過ぎていますが、自由に注文して頂いていいですよ。前にも申し上げた通り、今日は僕が奢りますので」
「本当に、いいんですか?」
「私は、まだお昼を食べてないのだけど、注文してもいいの?」
お昼を少し過ぎているのは、今日は家で昼食を食べてから出てきているからである。昼食代を払いたくないからではなく、今日は自宅で食べねばならなかっただけである。フローリアさんはこの時間でも、まだ昼食を食べていないということなので、昼食をごちそうになる気満々で来たのであろう。
「いいですよ。お金に関しては気にしないでください。今日話を聞きに来てくれた報酬ということで」
「そう………じゃあ、私はこのグレートボアのワイン煮込みとサラダを頂いても?」
「それでいいですよ」
ちゃっかりこの店で一番高い食べ物を頼むフローリアさん。といっても大衆食堂なのでたかが知れている。
「わ、私は紅茶とこのフルーツの盛り合わせを頂きます」
「う、それも美味しそうね」
「食後にそれも追加で頼んでいいですよ」
「そうなの?! じゃあ、お願いしていいかしら」
「ええ、どうぞ、どうぞ」
そんな会話をしていると、1班にいた赤髪の青年がやって来て、ドカリと音を立てて椅子に座った。
「昼から、豪勢なことだな。俺もこちらの彼女と同じものを注文してもいいか? あと追加でパンも」
「ええ、いいですよ」
「流石、ダリオ工房に受かっただけあるな。金回りが良くて羨ましいぜ」
「いえ、ダリオ工房は断りをいれましたので、あちらで働くことはないですね」
「えっ?」
フローリアさんとアリトマさんは驚きの声を上げた。
「お金に関しては心配しないでください。こう見えてそこそこお金は持っていますから」
「お前、もしかして、どこかの貴族とかじゃないだろうな? いい話があるから是非来てほしいって言われて来たが、厄介事とかならやめてくれよ」
貴族どころか王族なのだが、それを言ってしまえば萎縮してしまうだろう。ここは冒険者グリフィスとして振る舞っていくしかない。
「いえいえ、そんなことはないので安心してください。今日話を聞いて、興味がなければ、これっきりで構いませんので」
「そうか。それで、この前言ってた【いい話】ってのは何なんだ? てっきりダリオ工房に入る方法でも教えてくれるのかと思っていたんだがな」
「そうですね。もう少し待ってもらってもいいですか? もう何人か来るかもしれないですし」
「もう来ないんじゃないか? ここに来るまで、お前の怪しい話を信じて来るなんて俺くらいだと思っていたぐらいだからな」
「怪しい………ですか?」
俺は、他2人の顔を伺う。
「そうね。受かったあなたが、落ちた人たちに声をかけて回っていたからね。自慢話を聞かされるとか思った人もいるんじゃないかしら」
「……それじゃあ、フローリアさんは、何で来てくれたんですか?」
「わ、私は、ちょっと、試験代とかで今月ピンチだったので、ただでご飯を食べれるならと思って………」
フローリアさんの声量はだんだんと小さくなって、最後の方は聞き取れなかった。かつかつの生活を送っているのだろう。
「アリトマさんは?」
「君が僕の絵を絶賛してくれたからね。僕の絵は、どの工房でも認められなかったんだけど、僕の絵に価値があるって言ってくれた君の話を聞いてみたくてね」
「私の絵に価値があるなんてことは言われなかったんだけど……」
アリトマさんだけ、かなりべた褒めして今日来てもらったのだが、他の人にはそこまで熱心に勧誘していなかった。これはフローリアさんの絵も誉めておくべきだろう。
「フローリアさんの絵も素晴らしい魅力がありましたよ」
「でも合格できなかった………」
「適材適所というやつです。捨てる神あれば、拾う神ありって言いますからね。ダリオ工房で受からなくても、他でその絵を活かすことができるかもしれません」
「だけど、私は他の工房でも試験に落ちてしまっているのよ。絵で食べていくのは諦めなければいけないわ。残念だけど………」
「いえ、ところが諦める必要はありません。もし今から僕が話す内容を気にいっていただければ、絵の仕事で生計を立てることも可能ですし、結果を出していただければ、試験の時に言っていた王子の肖像画を描くということも可能です」
「えっ? それってどういうこと?」
「どうやら、もう1人来たみたいなので、あの人が席に着いたら、先日話した【いい話】というものを説明させてもらいます」
『止まり木亭』の正面扉から入って来たのは同じ班で手のひらをくるくる回転させていたオスカーさんだった。
オスカーさんは俺を見つけると、ゆっくりと近づいて席に着いた。
「それで【いい話】とは一体どういった内容なんですか? ダリオ工房に受かる方法を教えてもらえるんですか?」
オスカーさんも赤髪の青年と同じように勘違いしているようである。
「いえ、そのような方法は知らないですよ。オスカーさんが来る前にも言っていたのですが、僕はダリオ工房には入らないので」
「………無駄足でしたか。一縷の望みにかけて、ここにやって来てしまった自分が情けない。では、私はこれで失礼します」
オスカーさんは来て早々席から立ちあがり帰ろうとする。
「待ってください、オスカーさん。話だけでも聞いていきませんか。前にも言ったように何でも奢りますよ」
「年下に奢ってもらおうとは思いませんよ。それでは、失礼する」
オスカーさんはため息をついて、立ち上がった。
「絵の仕事ができますよ。それも、一回だけではなくずっと。それを職にして暮らしていくことができるんですよ。興味はありませんか?」
「本当ですか?」
俺が頷くのを見て、オスカーさんは再び席に座る。
「それではお話しましょう。僕が始める新しい工房【トキワ工房】について………」
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