転生して竜人に育てられた俺は最強になっていた (旧題 two of reincarnation )

カグヤ

文字の大きさ
2 / 123
第一章 ルード皇国 編

人ではない何か

しおりを挟む
 目を覚ますと、俺はベビーベッドの上に横たわっていた。天井を見上げると、ガラス張りになっており、空が一望できた。そして、そのガラスの向こう側には、満点の星空が広がっていた。

同じ部屋には、他に2人の気配があった。会話が聞こえてくるのだが、どうやらまだまだ疲れているようで、気を抜くとすぐに深い眠りに落ちそうになる。

「・・・この地区で育てる許可が下りた。・・・・・。」

「・・・あんな子を利用するなんて、可哀そうだわ・・・」

「・・・・・あの森に人がいること自体考えられない・・・それも赤子だ・・・・・何か意味があるのかもしれない・・・」

「・・・可愛らしい子供にしか見えないわ。・・・私もこんな状態だし・・・・・」

「・・・その解決につながるかもしれない・・・・」

「・・・私のことはもう・・・そんなことよりあの子は我が子として育ててあげたいわ。・・・」

「・・・そうだな・・・」

 会話の流れとしては俺をひきとってくれることが決まったということか。何にしても良かった。俺は安心から再び深い眠りへとついた。

 赤ん坊の仕事は寝ることだとは、よく言ったもので俺は一日の大半を寝て過ごした。いろいろとしたいことはあったのだが、自分では体を動かすことができずに、仕方なく睡魔に負けて眠るということを繰り返した。
しかし、ただずっと眠っていたというわけではない。情報はどんどんと集めていった。
 あれから分かったのは、俺を助けてくれたイケメンはアギリスという名前で、その妻はルーラという名前だということ。そして、この夫婦は森で拾った俺を自分の子供として育ててくれることになったこと。どうやら、何かしらの助けとなることを期待しているようなのだが、それが何かまでは全くわからない。自分に何か能力を見出して、期待しているのであれば、それに応えたいと思っている。

 ルーラは、すごい美人で20歳くらいに見えた。髪の色は金髪というよりはやや黄色に近く、瞳の色は少し赤みがかっているのが、前の世界の常識とずれがあった。しかし、そんなことは気にならないほど美貌を彼女は持っていた。

「母さんのルーラですよ。あちらが父さんのアギリスです。そしてあなたは、私たちの息子、アギラです。元気に育ってくださいね。」

 俺はほぼ毎日、ルーラに抱かれてこの言葉をかけられた。
俺はこの新しい世界でアギラという名前をもらったのである。そして、まだ1歳にも満たない赤ん坊にとっては拾われたことを知っていてはいけないのである。ということは、2人のことを本当の父と母と思うことが最善であることに思えたのである。

そうして、まだ歯が生えそろってない俺は何とか発声できたのは、
「 マーマ、、、パーパ。」
という一言であった。

それを聞いたルーラは
「喋ったわ、私のことをママだと。あなたのこともパパと言ってるのよ。」
満面の笑顔で、俺のことを抱きかかえていた。

「マーマ、パーパ」
ルーラが嬉しそうにしてくれるので、俺も嬉しくなって何度も呼んだ。

 俺の食事はというと、牛のミルクを哺乳瓶で飲ましてもらっていたのだが、ルーラがそれだけでは足りないのではということで、近所の人を乳母として雇ったのだ。その乳母は、名前をシンディーといった。ルーラとは仲が良く、丁度シンディーにも子供が生まれたばかりで1人に乳をやるのも、2人にやるのも変わらないということで、俺にも乳をくれるということだった。俺としては恥ずかしいので哺乳瓶でもよかったのだが、断ることもできなかった。

 シンディーは、赤い髪で胸はかなり大きく、日に焼けた体は褐色で健康的だった。そして、ルーラとは違うタイプの美形だった。歳はルーラと同じく20歳くらいに見えた。

 俺は右手に抱えられ、シンディーの乳首を咥えて、乳を吸った。すごい恥ずかしかったが、いくらか飲むと睡魔が襲ってきて、心地よい気分で眠りについた。

 ルーラは、あまり元気な体ではなかった。というよりも、疲れやすい体質なのか、一日の大半をベッドで過ごしていた。そして、俺はそのベッドの隣に設置されたベビーベッドで寝たり、ルーラのベッドで一緒に寝たりしていた。

 こうして、俺の日常が過ぎていく中、俺は驚愕の事実に気づいてしまった。
それに気づいたのはシンディーが娘のウェンディーを抱いて、俺の世話をしに来てくれたときだった。
シンディーは椅子に座り、腕と膝を使い、俺を右手に、ウェンディーを左手に抱いて、同時に乳をあげようとした時に、俺は初めて気づいたのだ。

 ウェンディーの尻のあたりから、ドラゴンの尻尾のようなものが生えており、それが丸まってウェンディーのお腹のところまできていたのある。
 この時初めて理解したのである。自分が人ではない何かによって育ててもらっていることを・・・
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

処理中です...