転生して竜人に育てられた俺は最強になっていた (旧題 two of reincarnation )

カグヤ

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第二章 魔導士学園 編

リーン

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~リーンの視点~

 私は北の大陸の南に位置する密林地帯の中にあるエルフの里で生まれた。

 私は魔法の才能があった。雷、土、風、光の4つの属性の魔法を扱うことができた。私は小さいころより、大賢者カダフィの遺した『信託の書』を読むのが好きだった。

 そこには、魔法の使い方、練習方法、魔法の特性など魔法に関する基礎的な事が書かれていた。
私は、それを読み独学で魔法を覚えた。

 そして私はエルフの学校に入学したとき、周りには私ほど魔法を使えるものがいなかった。教師ですら、私のように4つの属性を持つものはいなかった。せいぜい2つか3つしか属性は持ってはいなかったのだ。

 そして、大賢者カダフィの『信託の書』には、冒険の記録というものがあった。
 その記録こそが、私をこの閉鎖的なエルフの里の外へと誘う要因となった。
冒険の記録には、1000年以上前の魔王との戦いが綴られていた。人間の勇者と大賢者カダフィ、そして竜の力を以てその時の魔王を打ち倒したのだ。

 その冒険譚はどんなフィクションの物語よりも私をワクワクさせた。
私はこの本を読みながら、いつか私も仲間を組んで冒険をしたいという思いが大きくなっていった。
『信託の書』には大賢者カダフィの予言で締めくくられていた。

 魔王は時を経て復活する。後世のものに魔王を打倒してほしい。
ほとんどのエルフはこの予言を信じてはいなかった。大賢者カダフィの死んだ直後は信じる者も多かったが、1000年以上も魔王が復活したという噂がなかったからである。
 しかし、私はこの予言を信じていた。私が生きているうちに魔王が復活したならば、必ず私の手で魔王を打ち倒すのだ。

 けれども、それには問題があった。エルフの里にいたのではこれ以上の魔法の成長が望めそうになかったのだ。

 閉鎖的な里は新しい知識を取り入れることをしていなかった。私は20年で、この里で私のできる事はなくなったことを悟った。

 周りのみんなは魔法が向上しなくても特に焦ってはいなかった。1000年間ずっと平和にやっているので、特に魔法を覚える事に執着しているわけではなかった。

 私はというと、魔王復活が明日にでも起こるのではという焦燥感が常にあった。
 そんな時である。1年に一度、南の大陸へと渡る船に乗っていたエルフの情報に面白いものがあった。メガラニカ王国という人間の国にある魔導士学園で、種族問わず優秀な魔法使いを広く生徒として募集しているという事だった。

 私はその情報に食いついた。南の大陸へは両親と共に訪れたことがある。港町は活気があったのを覚えている。魔導士学園に入学すれば、私の魔法技術の停滞感を打開してくれるのではと考えた。

 私は南の大陸へと行くための手段を考えるため、海岸へと向かうと、幸運な事に一隻の船を発見した。何日かおきに見に行ったが、誰も使っている形跡がなかった。これは、大賢者カダフィの導きに違いないと確信した。

 私は渡航のための準備を始めた。南の大陸の言語を習得し、少しずつ南の大陸で使えるお金を貯めていった。

 そして、いざ出向しようと思い船に向かってみると、船が出向しようとしていた。私は慌てて飛び乗った。

 そこには、1匹の猫を連れた人間の少年が乗っていた。
 どうやら、その少年も南の大陸へと向かうらしい。見た目は私と同じくらいの若さであるが、エルフの寿命は人間のそれに比べてはるかに長い。私は20歳であったが、少年はもっと年下であるだろう。

 そして、私が雷の魔法でイカの魔獣を追い払ったの見て、驚いたことだろう。

 いつも寝るときは裸で寝ていたので、その癖が出て、少年に少し見られてしまったが、年下という事であまり気にならなかった。少年は恥ずかしそうにしているように見えた。

 その少年は名前をアギラといった。
 アギラの作る料理は絶品だった。海の上だというのに、魚介類以外のいろいろな食材を使った料理が出てきた。どのようにして、食材を調達しているのか分からなかった。しかし、美味しさに夢中であまり気にならなかった。

 私たちは南の大陸へ無事到着したのだが、アギラとは別行動をとることとなった。アギラの絶品料理を食べれなくなるのは残念だったけど、私にはやるべきことがあるのだ。私は1人でメガラニカ王国に向かうことにした。

 港町を出ると、私は2人の魔法使いに襲撃を受けた。土属性の魔法を2人は詠唱した。私はとっさに風魔法を詠唱し、2人の魔法使いを吹き飛ばした。

 しかし、その後ろには3人の新手が控えていた。私は何が何やら分からなかったので、ひとまず森の中に逃げ込んだ。

 しばらくすると、さっきの3人とは違う4人の男たちと森の中で出くわした。1人の魔法使いが水魔法であたりに霧状の魔法を放った。

 水魔法は、私とは相性が悪かった。私は使える4つの属性のうち雷属性をもっとも得意としていた。
今、雷属性の魔法を使えば、霧を伝わって自分にもダメージを受けてしまう。

 しかし、4人はかたまらず4方から攻撃しようとしていた。4方向を同時に攻撃するには、雷属性の魔法を撃ちこんで、私が先に目を覚ます事に賭けることにした。

「 雷精よ 深淵なる力を以て 辺りを覆え 雷光陣ライトング・アレイ 」

私は賭けに敗れた。

 魔法防御を付与された鎧を着ているものがいたようだ。私は目覚めると首輪をつけれていた。
その首輪は私の魔法の発動を阻害していた。

 私は檻の中に入れられ、奴隷として売られるようだった。なぜこんなことになったのか分からなかった。放心状態になり何も考えることができなかった。できることは祈る事だけであった。私は大賢者カダフィに祈った。

 その祈りは聞き届けられた。
 港町で別れたはずのアギラが現れたのだ。アギラは私の事を助けようとしてくれていた。
しかし、男たちはアギラと戦う構えをとった。私は魔法を使って、援護しようとしたが、首輪の影響で一切魔法を出すことができなかった。

 アギラの命が危ない。私はこの身を盾にしてでも少年であるアギラを守ろうとした。
 しかし、一瞬で勝負はついた。というか、何が起きたのか分からなかった。気づいたら、9人いた男たちは全て気絶していた。

 私は、それまで張り詰めていた緊張の糸が切れて眠りに落ちてしまった。

 眠りから覚めると、私はアギラにおんぶされている状態だった。
 私はアギラから降りると、起きたことを説明した。アギラは私を信じてくれているようだ。
 私は、そこで閃いた。アギラが勇者で、私が魔法使い。そして、いろいろな冒険を一緒にして、魔王が現れたら一緒に倒すのだ。うん、悪くない。考えているうちに、このアイデアが非常にいいものに思えてきた。

 私はアギラに提案したが、アギラは勇者として登録はしていなかった。
 しかし、パーティーを一緒に組むことはOKしてくれたのだ。
 私はすごく嬉しかった。なぜこんなにも嬉しいのかは分からなかったが、とにかく嬉しかった。
そればかりか、一緒にメガラニカ王国に行ってくれるとのことだった。

 私は首に付いている首輪を外そうとしたが、外すことができなかった。アギラがその首輪を左右に引っ張るとその首輪は金属音をさせて、2つに分かれた。アギラの力は相当強いようだった。

アギラの身体能力は力だけではなかった。
アギラの歩く速さはかなり早かった。
「ちょっ、アギラ速すぎない?」

「そうかな………ごめん、いままで一人で旅してきたから………」
アーサーはアギラの頭の上にしがみついて、ずっと寝ていた。

 私もアギラにおぶってもらった方が早くつくのかも。私はアギラにおんぶされていたことを思い出した。それを思い出すと、なぜか胸の鼓動が少し早くなった気がした。

 その後、アギラは私の歩く速さに合わせて横並びで旅を続けた。2人で旅するのは楽しかった。大賢者カダフィも勇者と行動している時、こんな思いだったのだろうか。

 アギラはククリという町で私にローブを買ってくれた。白い色をして、魔法防御の付与がなされたローブだった。アギラがプレゼントしてくれた事が嬉しかったが、可愛いと言われたときは、あまりの嬉しさで顔をあげることができなかった。

 私たちが、ククリの町をでるとき、剣を持った4人の男たちに出会った。その構えから港町で出会った男たちより実力は上に感じた。

 私のせいでアギラに迷惑をかけるわけにはいかない。
 そう思うと、私は魔法の詠唱を開始した。しかし、アギラはそれを遮った。アーサーは相変わらずアギラの頭の上で寝ていた。ご主人の危機だというのに全く反応していなかった。

「ここで魔法を使ったら、目立つから俺がやるよ。」
アギラはそう言うと、前の時のように一瞬で4人の男を気絶させた。そして、追ってこれないように、4人を木に縛りつけていた。

 私はアギラの足を引っ張らないように、魔導士学園でもっと自分を磨かないといけないと気持ちを新たにした。

 私たちは馬車を借りて次の町へと向かった。
 アギラは自分もお尋ね者になっているかもしれないからと言って、次の町で自分用の黒いローブを買っていた。

 これで、襲われることはないだろうという事だった。私たちは色は違っていたが、同じような服を着ていた。それだけの事ではあるが、なぜか嬉しく感じてしまう。これが旅というものなんだろうか。
 そんなことを考えながら、メガラニカ王国を目指していたのだが、そんなに上手くはいかなかった。
私たちはまたしても、襲撃を受けることになった。

それにしても、何故バレてしまうのだろうか………
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